なにか、

なにかわからない

さみしいもののために

わたしは

ずっとめをつむって

なにかわからない

うつくしいもののために

わたしは

ずっとおびえている


※※※


わからないけど、


わからないから、


だからただねむっていてほしい。目覚めるまえに、まぶたをひらかないで。


※※※※


明日が来るのがこわいときがあります。時間によって区別された明日の中に、その明確な理由が潜んでいるときは、ただ重苦しい圧迫感があります。


ただ、なんでこわいのか、わからないときがあります。漠然とこわい。


特にそれは、まだ物心ついたばかりの小さな時によく感じたことだったように思います。朝が来るのがこわくて、ずっと泣いていました。


当時の私は、夜が明ける仕組みも、24時間という1日の区切りも、なにもわからない。夜が来ることは必然の不安でしたが、暗い中で目を閉じて眠るという動作のあとに来る朝という現象は、なにか別の不安をかきたてられていたのかもしれません。


今、わたしはこうして、こわかったと形にし、あのこわさに何となく理由をつけることが出来ます。けれど、そうするほどにあのときのこわさは遠くに逃げていってしまう。そうして遠い日のわたしをおびやかすような気がするのです。

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