竜装機バルザーク

@graphite24

第0話

 ドラゴン、それは人類にとって明確な敵対者である。奴らを殲滅しない限り、我々人類の安寧の時は訪れないだらう。


──────


「パイロット、応答願います。」

 野良のレッサードラゴンを一体倒した時、司令室にいるオペレーターから、パイロットスーツのヘルメットに内蔵された通信機へと通信が入る。


「こちらパイロット、何かありましたか?」

 直ぐに通信に答える。


「ワイバーンの群れがそちらに向かっています。無理な戦闘は避け、直ちに帰投してください。」


 どうやら面倒なことに群れがやってきたらしい。恐らく戦闘音に惹かれてやってきたのだろう。機体の損傷は少ないものの残弾は30%を切っており、いくら一番弱いワイバーン種だとしても全て倒し切ることは難しいと思う。ここは素直に従うとしよう。


「了解、帰投します。」

 俺は、愛機のサンダルフォンのブースターを唸らせ、母艦へと向かった。


──────


 西暦2030年、奴らは宙からやってきた。小さな個体ですら10mをゆうに超え、巨大な翼で空を飛び、鉄を豆腐のように砕く強靭な牙と爪、口から放たれる全てを滅する熱線。

 ドラゴンは、瞬く間に人類を蹂躙し、人類は地下に追いやられた。それから約50年間、未だ地上を奪還する事は叶わない。


 しかし、人類は無抵抗ということではなかった。

 竜装機バルザーク、ドラゴンの亡骸から入手した竜核と呼称される奴らの心臓を搭載し、飛行能力を持った全長15m程の半人型、半竜型の姿をした駆動兵器。これにより、ほんの僅かだが、人類はドラゴンへの抵抗力を手に入れたのだった。


 これは、宙からの侵略者への儚いレジスタンスよ物語である。

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