荒木 将一と朝倉 梨子

 Side 荒木 将一


 俺と梨子が出会ったのはまだ比良坂学園で普通に学生やっていた頃だ。

 

 俺はその頃、加々美 瞬たちと一緒に、文芸部と言う名のトラブルバスターのような学園生活を送り、その流れでレイプされようとしていた朝倉 梨子を助けて懐かれた。


 愛坂 マナ、本野 真清もそんな感じに事件を解決して、気が付いたら仲良くなっていた。



 学徒動員として戦場に送り込まれ、エースになり、傍にはマナや真清、そして梨子がいた。


 それが当たり前になっていた。


 だけど激しい戦果を潜り抜けていく内に何時か3人の中から一人を選ぼうと言う気持ちが強くなっていた。


 今にして思うと心が弱っていたのかもしれない。


 甘えたかったのかもしれない。


 そしてトドメが木里 翔太郎と手毬 サエの二人の存在。


 二人のようになりたい。


 二人みたいに恋愛出来たら。


 などと考えてしまうと同時に思った。


 何時か三人の中から誰かを選ばないといけないと。


 悩んだ。


 必死に悩んだ。


 自分の心に何度も問い掛けた。


 正直になった。


 決め手は正直自分でも分からない。


 逆を言えばそれぐらい3人を愛してたのだろう。


 だが決定を後押ししたのはマナと真清の二人だった。


 自分の選択により自信がもてるようになった。


 迷いも何もなく、朝倉 梨子を好きだと言えるようになった。


 本当に女性に恵まれたと思う。





 Side 朝倉 梨子


 私が選ばれた時、最初は意味を理解できなかった。

 

 だけど嬉しかった。


 嬉しくて嬉しくて涙が出た。


 心の奥底では二人(真清とマナ)に申し訳ない気持ちがあった。


 そりゃ何時か3人のうち、誰かが結ばれた時は恨みっこなしって決めてたけど。


 それでも、どうしても後ろめたさが付き纏った。


 だけどそんな気持ちを吹き飛ばしてしくれたのは将一と二人だった。


『俺は朝倉 梨子が好きだぁああああああああああああああああああああ!!』


『マナさん、真清さんもこんな俺を愛してくれてありがとうございました!! 本音を正直に言うと三人と添い遂げたかったです!! でも、この先の事とか産まれてくる子供とかの事を考えたらダメだと思いました!!』


『梨子を選んだのは悩んで悩んで悩んだ末に出した結論です!! 正直言うと、どうして梨子なのか問われても困ります! それぐらいにマナも真清さんの事も同じぐらい大好きでした!』

 

『でも梨子さんを選びました! 選んでしまいました! 理屈とかじゃないんです! マナと真清も積極的にアプローチしてきましたけど、心が惹かれたのは梨子さんなんです!』


『だから言います!! こんな自分でも愛してくれますか!? 梨子さん!!』


 あの将一の公衆の面前での叫びは生涯忘れない。


 二人も二人で、


「梨子、ちゃんと大切にしなさいよ」


「うん、まだ吹っ切れた感じしないけど、大分楽になった。幸せにね梨子」


「死ぬんじゃないわよ。死んだら私が将一をとるんだから」


「そうだよ、梨子。だからさっさと子供作って幸せな家庭を築きなさい」


 と、まあ友人にも恵まれた。


 だけど恋路の戦いは続いている。


「来たら不味い?」


「当然だよ。梨子とはライバル同士から友人になっただけだしね。それにどの道天王寺の人達を放っておいたら私達の命はないんでしょ?」


「それと梨子、ちゃんとハート握っときなさいよ。もしも手放す事になったら容赦なく将一を奪い取ってやるんだから」


 天王寺家のクーデターの時、マナと真清もなんだかんだで諦めてないっぽいし。


 まあ、逆の立場なら私もそんな風に狙い続けてたんだろうし――だから私は――


「だけど私、将一は3股するかと思ってたんだけど」


 とか、とんでもない事言っちゃったワケだけど。

 他の女ならともかくマナと真清との3股なら別にいいかなって思ったりするんだけどね、私は。

 二人とも満更でもなさそうだったし。


 でも、それだと将一の覚悟とか色々な物を台無しにしちゃうし、もうちょっと考えて物事を言うべきだったかなって今更ながら反省してる。


 二人とも早くいい男見つけなさいよ。

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