「天使のような彼女」

僕にはこの人生でもうこんなに好きになれる女性はいないであろうと思えるほど

愛していた彼女がいました。僕たちはまだ結婚とかも何も考えておらず、しかし、

両親にも催促されるようなことはなかったので、結婚話はほとんどありませんでした。


前置きはこれまでにして、本題に入ろうと思います。

僕はとある日、彼女ととても揉めてしまいました。今思えばとても些細なことでした。ですがその時の僕は、仕事でのストレスにより、冷静さを保てていませんでした。そして僕は、そんなに愛していた彼女に出ていけ!と怒鳴ってしまいました。


彼女は泣きながら僕の家を出ていきました。荷物はそのままで。


数時間後。僕は頭が冷え、同時になんて酷いことをしてしまったんだろうとあのときの自分を殴りたい気持ちでいっぱいでした。


数時間経ったとはいえ、彼女は戻ってきませんでした。さすがに酷い言葉を言ってしまったと、自分で深く反省をしていました。でも、過去の喧嘩でも、すぐ彼女は帰ってきていました。なにかがおかしいとすぐに察知した僕は、彼女が昔、骨折して入院していた病院に駆け込み、受付の方に彼女はここにいるかと聞きました。すると受付の方はすぐにパソコンで調べてくれ、はい、いますよ、と言った。部屋の番号を聞いて急いで彼女の元へと急ぎました。


個室ではなかったので、他の迷惑になると思い、急ぎたい気持ちは山々でも、そっとドアを開けました。するとそこには、頭と腕に包帯を巻き付けていた、無惨な状態の彼女がベッドに寝ていました。僕は何が起きているのかそこにいたお医者様に聞きました。


お医者様によると、彼女は僕と喧嘩をして家を勢いで出た後、やはり帰らなくてはならないと必死に僕の家まで走っていた時、信号が赤なのにも関わらず渡ってしまい、大型トラックにはねられてしまったという。そのときに、彼女の手の中にあったものを僕に渡してくださいました。それは、僕への手紙でした。


『ごめんなさい。私のせいであなたを怒らせてしまいました。

もうすぐ付き合って4年だったというのに直前の思い出がこれで本当にごめんなさい。こんな私だけど、一緒にいてくれてありがとう。次会う時までには、ちゃんと、いい彼女に成長してくるね。』


僕は涙が止まりませんでした。すると、お医者様が


『嘘だ…ろ…?そんな…』


といきなり言うので、目の前が涙で滲んでいましたがお医者様の方を向きました。

すると目の前の機械が鳴らなくなりました。僕はまさかそんな…!と思いました。


僕は彼女の手を力強く握りしめました。僕が仕事のストレスを彼女にぶつけなければ…、僕が家から追い出さなければ…こんな終わりにはならなかった…。


僕が彼女に、


『ごめん…僕のせいで…君の人生を終わらせてしまった…ごめんなさい…ごめんなさい…』


と言った瞬間、彼女の口が少しだけニコッとし、涙を流していました。

僕はそれを見て、更に涙が止まらなくなりました。










※この話はフィクションです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る