「幼稚園での恋愛」

 僕には幼稚園で好きな人がいた。

 その子の名前は、『織川おがわレナ』。

レナちゃんの可愛いところと言ったらもう、笑顔だ。笑顔が天使並みに可愛い。

 まだ幼稚園生だった僕は、レナちゃんに告白をした。


「レナちゃん!ぼくね、レナちゃんに言いたいことがあるの!」

「んー?なーに?りゅうがくん。」

「ぼくね、レナちゃんのことがだーいすきなの!!結婚してほしい!」

「りゅうがくん、おとなにならないと結婚はできないんだよ。だから、

 もし、レナとりゅうがくんがおとなになってまたどこかで会ったら、

 結婚しようね!」

「わかった!」


 まあ、今となっては、可愛いもんだ。幼稚園から小学校にレベルアップしたけど、

 レナちゃんは、ご両親の仕事の都合で、海外に移住することになったので、離れ離れになってしまった。中学生になって、高校生になって、大学生にまで成長して、

僕は夢だった海外での仕事を叶えるため、カナダに行った。


 英語は割とできる方だったので、日常会話に困ることはなく、仕事も捗り、社員としての信頼も得て、すっかりカナダに馴染んでいた。


 とある日、僕は仕事が休みだったので、一日フリーな気持ちでカナダでの散歩を楽しんでいた。その時、僕の横を女性が通りかかった。顔がちらっと見えたので見ると、見覚えのある顔であった。僕も日本人ではあるが、彼女も日本人のようであり、どこか少し、ハーフ感があった。でも、カナダでそんな見覚えのある女性がいるなんて思わないので、僕は無視していた。


 翌日の出勤日に、他社から、客が来るとのことで、僕の会社はドタバタしていた。


 いざ客が来た時、僕はネームカードを見てとても驚いた。

『織川レナ』と書いてあったのだ。幼稚園生のときの初恋の相手だ。

 同姓同名の別人を疑ったが、打ち合わせが終わった後、僕は織川さんに、確認だけしてみようと思い、勇気を出して、聞いてみることにした。


「あの、織川さん。」


 織川さんは僕の方を振り向くと、


「は、はい。何でしょう。えっと、、橋川龍雅はしかわりゅうがさんでしたね、先程はどうもありがとうございました。」


「あ、その節はどうも…。で、あの…織川さん、僕のこと、覚えてたりしませんか?」

「橋川さんですか。えっと…」

「T保育園にいた、龍雅ってやつ、覚えてないですか?」

「T保育園には…通っていましたね。そこに、龍雅さんという人は…」

「覚えてません…よね。だって、何十年も前の話ですもんね…」

「私に…プロポーズをしてくれた、あの龍雅さんでお間違いなかったら覚えてますよ。あの時は嬉しかったですよ。」

「その龍雅です!!良かった…覚えてくれてて…あのとき…大人になったら結婚しようと約束したの覚えてたらですけど…織川さんも…もう彼氏いますよね。」


 織川さんは、ふふっと笑うと、僕に言った。


「結婚しましょう、龍雅くん。あのときの約束通り。私は構いませんよ。」

「え?!え?!?!いいんですか!よろしくお願いします。じゃあもう、タメ口でいいかな、レナちゃん。」

「うん、いいよ。会社の人に伝えないとね。」

「そうだね。」


 数日後、僕らは同じ職場で働き、職場の人に結婚報告をすると、皆さん揃って、

 おめでとー!!や、まじでサプライズじゃん!!などの声が聞こえた。


 幼稚園からの約束なんて、大人になってしまえば消えてしまうのが普通ではあるが、こんな漫画みたいな出来事が起こるなんて僕も思わなかった。

 そして、レナちゃんはカナダ出身であって、お父様はカナダ人で、お母様は日本人らしく、ハーフらしい。ご両親は、僕を家に招き入れてくれて、今は彼女の家に住んでおり、新婚旅行にカナダを一周することになった。







 ※この話はフィクションです

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