#15 新居
目を覚ますと、隣でレイラはまだ寝ていた。
俺は昨日のことを思い出す。
「やり過ぎたか……」
彼女を起こさないようにゆっくり起き上がる。
「痛ぇ……」
昨日久しぶりに一日中、野外運動したので2年ぶりの筋肉痛が来た。
俺はプルプル震えながら、ベッドを降りカーテンを開ける。
太陽はもうだいぶ高くなっていた。
筋肉痛に耐えながら着替える。
今日も訓練しようと思ったけど、筋肉痛だしどうしよう。
腕を回してみるが、痛くて上がりきらない。
ひょっとして、治癒の力で自分の筋肉痛も解消するんじゃないか?
試してみる。
筋肉痛の酷かった腕に集中して、楽になるイメージをする。
腕を回してみる。
「おお、楽になったぞ」
これは便利だ。
神様ありがとうございます。
ベッドの上のレイラがのそっと起き上がった。
こちらに背を向け、目を擦っているようだ。
背中に陽が差し、絵画の1枚みたいだ。
「おはよう、レイラ」
「おはようございます、ご主人様」
彼女はベッドから降り、着替えを手に取る。
「昨日はやりすぎたと思う、ごめんね」
昨日の事を謝る。
「大丈夫です、ご主人様。
私はとても満たされました」
にっこりと微笑んでくれる。
「身体の痛いところない?
治せると思うけど?」
「痛みはありませんが、股が多少ジンジンします」
そう言って彼女は自分の股をさすっていた。
「あ」
彼女は自分の指を見ていた。
「どうした?」
「ご主人様のが出てきてしまいました」
彼女が指についた白濁液を見せてくる。
彼女はその指を舐めて、妖しい目つきをする。
目に毒だ。
俺は目をそらす。
彼女が近づいてきて俺の手を取る。
そして、自分の股に導いて来る。
俺の指にも白いものがついていた。
彼女はその指を口元に持っていき、舌で舐め取った。
「朝から誘惑するのは止めてくれ」
「はい、ご主人様」
俺はレイラを抱えてベッドに戻った。
それから2週間後、ダダリオ商会から家が完成したとの連絡を受けた。
この2週間は野外訓練をしつつ、マルロスさんの所に行き奴隷の治療などをしていた。
訓練は徐々にだが成果を上げて一角ウサギをレイラの補助無しで複数匹狩れるようになった。
一度ダダリオ商会に行って俺の発案した物の試作品の確認もした。
レイラと俺は生活に慣れて、充実した毎日を送っていた。
「こんにちは、アルベルトさん」
言われた住所にやって来た。
そこは閑静な住宅街と言える地区だった。
「お久しぶりです、ヨシユキ様」
そこにはもう家が建っていた。
なんという早さだろうか。
「素晴らしい家が建ちました。
早速ご案内します」
一階は居間になっていて、隣にキッチンがある。
個人的な要望で縁側を作って貰った。
和室も作りたかったが畳がないので断念した。
トイレは暖房便座とウォシュレットがついたものを作った。
これは火の魔石と水の魔石で結構簡単に出来たらしい。
二階は個室のフロアで寝室やら物置部屋やらがあった。
そしてレイラの要望の狭いお風呂を作ってもらった。
お風呂の横にはシャワーを作った。
シャワーはこの世界じゃ珍しいらしく、温度を変化させることが可能な特殊な水の魔石を用いて作ってもらった。
ホース部分がないので不思議だ。
裏庭にあたる場所には露天風呂が設置された。
俺は岩風呂を希望してしまったので重くて屋上に設置できなかった。
しっかり目隠しの植物や柵が用意されていたので人目は大丈夫そうだ。
「いい感じじゃないですか!」
この家に住めるのは嬉しい。
「トイレ、シャワー、露天風呂は素晴らしかったです。
あれらは売れることでしょう」
え?
「使ってみたんですか?」
「はい。
自分で使わなければ、その商品の良さはわからないですからね」
後でしっかり洗っておこう。
「もう私達は入居していいんですか?」
「はい、いつでも入居可能です。
家具などまだまだ必要になると思うので、是非うちをご利用下さい。
お安くしますよ」
前もって必要そうなものは手配しておいたが、足りないものは出てくるだろう。
「その時はよろしくお願いします」
俺たちは新居に移るために一度、宿に戻った。
宿に戻り荷物をまとめる。
二週間ちょい居た場所だ。
名残惜しい気持ちもあるが新居の楽しみの方が上回る。
受付で支払いをし、新居に向かう。
大した荷物は持っていないし家具は最低限しかないので、家がとても広く感じる。
お互いの部屋を決める。
寝室とは別だ。
多くはない荷物を運び終えると、もう陽が傾きかけていた。
今日からキッチンが使えるから、レイラの料理が食べたかったが材料などを買っていないので外食で済ませる。
帰ってくると早速露天風呂の準備をする。
使う前に一度掃除をする。
大事なことだ。
2人で掃除したが、結構でかいので時間がかかってしまった。
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