第10話(SIDE B)


「……ねえ、みんな。何があったの?」


 葵の問いに応える者はいない。彼等は「永遠の楽園」と呼ばれるこの迷宮を、重い足取りで歩いている。肩を落としたその姿は地獄を彷徨う亡者と区別がつかず、彼等自身の心境としてもまた同様だった。


「……話は後だ。今は安全なところに」


 若葉がそれだけを言って先を急ぐ。葵は不満そうな顔をするがそれを飲み込み、前へと進んだ。

 先頭を歩くのは若葉で、その次に里緒。その次に総司で、最後尾が葵。若葉はその独特の嗅覚で敵が少ないと思える方へと突き進んでいる。それ以外に何も方針はなく、指針もなく、目標もなく、希望もなく、未来もなかった。

 が、さほど歩かないうちに里緒が疲労の限界となってその足が止まってしまった。彼女はその場にしゃがみ込んで身体を丸める。里緒の疲弊は肉体よりも精神的なものが大きく、顔に血色がほとんどなかった。


「……里緒ちゃん、大丈夫?」


 葵の気遣いに里緒は応えられなかった。里緒は葵から逃げるように顔を膝にうずめ、そのよそよそしい態度に葵が傷付く。だが若葉はもちろん総司にもフォローのしようがなかった。この新しい葵とどんな顔で接すればいいのか、彼等もまた決めかねているのだから。


「……済まなかった、委員長」


 脈絡のない若葉の謝罪に、総司が「何の話だ?」と首を傾げる。


「……今の向日にちゃんと説明するべきなのに、それができない。その勇気が持てない」


 その勇気が持てなかったために匡平が死ぬ結果となり、若葉は総司の責任を追及した。だが今、若葉は総司と同じ情報を持っていながら葵にそれを説明できない。その勇気を持てず、その決断ができないでいる。総司もまた、あの説明を一からまたやらなければならないと思うと気が重くなる一方だった。


「ちゃんと説明してよ!」


 腕を組んだ葵が総司の前に仁王立ちとなり、総司は「何を」と反射的に問うた。


「今内緒話していたこと! わたしに説明しなきゃいけないって、しっかり聞こえたんだからね!」


 総司は舌打ちしたくなるのを辛うじて堪えた。この場に四人しかおらず、これだけ近くに固まっていて、しかも葵の鋭い聴覚を前にして内密の話をするなど、最初から無理な話ではあった。総司は時間稼ぎをするように「判っている」と、重く長いため息をつく。だが、


「あいにくだが話は後回しだ」


 若葉が険しい顔で通路の奥を見つめた。総司もまたその方向へと視線を向けるがそこは塗り潰されたような暗闇だ。だがやがてそこに小さな灯火が見え、また何かの物音が聞こえてきた。次第にそれらが大きくなる。


「あんまり重くない足音……一〇もいないかも」


「強行突破するぞ」


 若葉は即断するが、それが正しいかどうか総司には判断できなかった。彼女が万全ならともかく、その左腕はもうわずかも動かず、使い物にならない。血も体力も既に相当量が失われており、彼女の限界もそう遠くない……未だそれが来ていないことが不思議なくらいだった。かと言って来た道を引き返したところですぐに追いつかれるのが目に見えており、そこでもまた敵集団に遭遇しないという保証は何もないのだ。

 やがて暗闇の中からリザードマンの雑兵集団が姿を現した。その数は一〇、彼等は総司達の姿を認めると歓喜と戦意の雄叫びを上げて突撃してくる。それを受けた若葉も敵へと向かって全力で疾走した。


「うおおっっ!」


「Gigigigi!」


 数秒を経て両者が激突し、一瞬にして三匹が打ち倒される。続けて速射砲のような蹴りが二匹のリザードマンを吹っ飛ばした。が、残ったリザードマンの一匹が懐から巻物を取り出してそれを広げる。巻物が光を放ち、若葉の動きが目に見えて鈍った。


「くそっ、魔法阻害の巻物か!」


 罵声を上げながら若葉が蹴りを放ち、それが空振りする。彼女の横を通り抜けた敵兵が総司達へと突進してきた。短剣を手にした葵が祝福を使おうとし、


「葵ちゃんだめ!!」


 里緒が葵に抱きついてその邪魔をした。葵の目が見開かれ、それが間近に迫ったリザードマンの姿を映している。敵兵が剣を振り上げ、振り下ろし、里緒が反射的に自分と葵を守るように右腕を突き出し――リザードマンがその腕を斬り落とした。


「いやーーああっっ!!」


 里緒の叫びはまるで魂に直接斬撃を受けたかのようだった。斬られて地面を転がる右腕は驚くほど白く、作り物のようだ。剣はそのまま里緒の大腿を斬りつけている。リザードマンがその剣を抜いてとどめを刺そうとするが、総司が横からそれの腹に剣を突き刺す方が先だった。大量の返り血が総司の身体に浴びせられる。


「はあ、はあ、はあ……」


 数メートルも動いていないにもかかわらず、まるで百メートルを全力疾走したかのようだった。ただでさえ残り少ない気力体力が払底寸前だが、休んでいる暇などない。


「てき、てきは」


 総司は右腕だけで剣を振り回し、剣に振り回されてその身体がよろめき、尻もちをついた。慌てて立ち上がろうとし、


「もう片付いた」


 顔だけ上げる総司の前に若葉が佇んでいる。彼女は――左腕が千切れて肘から先が失われていた。右腕には剣が貫通したままとなっていた。シャツの脇腹は血で染まっており、それが返り血ではないことは自明だった。


「と、虎姫……」


「まだ動ける」


 彼女はそう言うがどう見ても戦闘はもう不可能で、移動だけだとしてもそれが可能なのは長い時間ではなかった。


「と……とにかく安全な場所に」


 そんな場所がどこにあるのか、と自分で自分を嗤いたくなったが、今最優先するべきはともかく安静にすること、それができる場所に移動することだった。葵と総司で里緒を担ぐようにして歩き、若葉は自分の足で前へと進む。数十メートル進んだ通路の側面に階段が設置されていたのでそれを下って、その近くに小部屋を見つけたのでそこを避難所とした。階段や通路に何重にも結界の宝玉を設置したことは言うまでもない。

 力尽きた若葉が座り込んで壁に背中を預ける。その身体から流れる血が床に広がり続けた。総司は魔法のカバンから衣服を何枚も取り出し、さらにそれをコピーして簡易ベッドを設置。そこに里緒を寝かせた。葵が目を丸くしているが説明は後回しだ。里緒の右腕と太腿から流れる血は止まろうとせず、ベッド代わりの衣服が見る間に血で染まっていく。


「て……わたしのて……わたしのて……」


 里緒が自分の手の所在を問うようにそう言い続けている。バイオリンを奏でるための右腕は先ほどの場所に放置したままで、おそらく既にスライムによって分解されていることだろう。だが里緒はその事実を受け容れられないかのように、その問いをくり返していた。


「どうしよう、何とか止血を」


 葵が里緒のスカートをまくり上げて傷口を露わにし、反射的にそこから目を背けた。斬られたのは太腿の外側、足の付け根に近く、白い骨が見えている。布を当て、誰かのシャツを裂いて作った包帯で縛り、右腕にも同じ処置を施す。が、こんなものはただの気休めだ。一秒ごとに大量の血が流失し、同時に里緒の生命も喪われていく。その姿を総司達はただ傍観することしかできず――いや、打てる手が一つだけ残っている。


「桂川、判るか?」


 総司が魔法のカバンから取り出したのは「再生の巻物」だ。里緒の瞳がそれを映し、彼女はさらなる絶望に堕ちたように思われた。里緒がかすかに首を横に振り、総司も「そうか」と頷く。

 「再生の巻物」を使ったところで今の、この里緒が死ぬことには変わりなく、コピーされた新しい、無傷の里緒が作られるだけ。その新しい里緒がこの迷宮をあてもなく彷徨うことも、侵入者と戦わされることも何ら変わらず、匡平もおらず若葉も戦闘不能な今、まともに戦えずに一方的に殺されるだけという結末も変わらず――結局何一つ変わらない、変えられないのだ。里緒がここで死ぬという事実を。


「死にたくない……死にたくない……帰りたい……どうして……どうしてこんなことに……」


 うわ言のようにそう言う里緒が涙を流した。堤防が決壊したかのような思いがけないほどの量で、血とともに体内の全ての水分を流さんばかりだ。総司にできるのは身を振るわせることくらいだった。里緒の今の姿は、そう遠くない先の総司の姿でもあるのだから。


「り、里緒ちゃん……」


 目を涙でいっぱいにした葵が里緒の手を握り、


「はなして……あなたはわたしの葵ちゃんじゃない」


 想像もしていなかった里緒の言葉に、葵の手から力が抜ける。その手から里緒の手が滑り落ちて床を叩いた。


「りおちゃん……?」


 里緒は葵の問いかけに応えなかった。その声が聞こえているのか、意識が残っているのかも判らない。目を閉じ、呼吸が非常に弱くなったその姿はまるで彫像のようだった。


「りおちゃん……?」


「今の向日は俺達の知っている向日じゃないし、今の俺達は向日の知っている俺達じゃない。それぞれ別の場所でコピーして作られた存在なんだ」


 総司が葵の背中にこの迷宮のからくりを説明する。葵が背を向けているので今どんな表情をしているのか判らない。それをいいことに彼女の祝福の正体も全部まとめて、事務的に説明した。

 その説明が一通り終わるのを、まるで待っていたかのように里緒が事切れる。彼女の安置された場所から、その床からスライムが湧いて出てきたのが何よりの証拠だった。スライムが里緒の身体を包み込み、半透明のその体内はおぼろげにしか判らない。人の形をしていた里緒の影はすぐにばらばらとなり、どんどんと細かくなり、スライムの身体に吸収されて失われていく。里緒の身体も、衣服も、全てが溶かされて消え去り、スライム自身もまた床の石材の隙間に潜り込むようにしてこの場から消えていった。

 ――その場に残されたのは総司、葵、そして死んだように座り込む若葉だけだ。里緒の死を見届けた葵は立ち上がり、そのままこの部屋の出入口へと足を向けた。


「向日?」


「……わたし、行かなきゃ……わたしの里緒ちゃんがまだどこかに隠れてるかもだし」


 それはただの自殺行為だ、と引き留めようとして思いとどまる総司。もう戦闘不能な若葉と最初からろくに戦えない総司と一緒にいたところで、生き延びられる時間に大差はないだろう。それなら少しでも自分が納得できるように行動した方がいい。

 総司はアイテム一式が入った魔法のカバンをコピーで増やして餞別に渡し、葵が通路の奥へと去っていくのを見送った。彼女はずっと総司に背を向けたままで、最後まで顔を見せることがなかった。


「……とうとう俺達二人だけか」


 若葉のいる部屋に戻ってきた総司が彼女の前に佇む。若葉はまだ息があるようだが、両腕と脇腹からの出血は止まらず、流れる血は大きな水たまりとなっている。総司はズボンが血で汚れるのも構わずに若葉の横に腰を下ろした。


「ここで終わりか」


 とため息をつく総司。若葉が死んで総司一人となれば、どれだけ逃げ回ったところで早いか遅いかの違いしかない。遠からず侵入者に殺されて終わるだけ。仮に生き延びたところで総司には帰る場所も目指すべき地平もなく、成すべき目的もない。総司は晴れ晴れとした顔を―――単に自棄になっているだけだが――天井へと向けた。


「もうじたばたしたってしょうがない、俺も逝くよ。少し遅れるだろうけど……」


 そのとき、隣の若葉の身体が光を放った。え、と目を向けると、若葉が音もなく立ち上がる……その身体に何一つ傷はなく、その衣服に血の跡もない。左腕も含めて全てが最初のまま、ベストコンディションの若葉がそこにいた。


「な……どうして」


 何が起こったのかを問うまでもない、「再生の巻物」を使ったのだ。瀕死の若葉は今デリートされ、コピーされた新しい若葉が出現したのだ。


「どうせ死んでいた、それが少し早まっただけだ」


 その説明に総司は言葉の出ない口を開け閉めするばかりだ。そこに若葉が「それに」と付け加えた。


「自分が死んだ、新たにコピーされた、なんて言われるまでこれっぽっちも気付かなかったし、今も全く自覚がない――だから、


「気にしないって……」


「わたしはまだ生きていて、まだ戦える。他に気にすることは何もない」

 彼女のその割り切りは自分自身に言い聞かせているとしか思えなかった。一体どれだけの覚悟を持ってそれを選択し、それを決断し、それを実行したのだろうか。我が身に置き換えてちょっと考えてみたが、絶対に無理だという結論にしかならなかった。今の自分が消滅するのが何よりも怖ろしい、それが最大の理由だが、


「そんな、どうして……戦って、生き延びたって、もうどうしようもない」


 今の自分を殺して新しい自分を作ったところで、犠牲者が一人追加されるだけではないか。新しい自分にあてもなく目的もなく地獄めぐりをさせるだけ――

 若葉が総司の首元をつかんで締め上げ、その身体を持ち上げる。無理矢理立たされた総司は爪先だけで何とか立った。総司を見つめる彼女の瞳が燃え上がる炎のように輝いている。


「お前は悔しくないのか。腹が立たないのか。高月を、向日を、桂川をあんな風に殺されて、これから先もあいつらが、わたし達がくり返しくり返し作り出されて殺される――それをただ見過ごすのか」


 死んだ魚同然だった総司の目に生気が戻ってきたのを確認し、若葉がその手を緩める。総司が自分の両足でしっかりと立ち、彼女がその首から手を放した。


「この地獄を作った奴が誰だか知らないが……


 若葉の怒りの炎は総司にも燃え移り、確固たる意志となった。この地獄を作ったのが誰だかは知らない。その目的は判らない――ならば、知らなければならない。誰が何のためにこの迷宮を作ったのか。何故総司達が地獄に堕ちることになったのか。そして何より、


「終わらせなきゃいけない、この地獄を」


 終わらせなければこのムゲンの地獄がいつまでも続くのだ。無数のコピーを作られ、誰かの玩具となり、際限のない殺し合いを強いられ続けるのだ。葵が、里緒が、匡平が、若葉が、それに他のクラスメイトが、何より総司自身が。

 総司と若葉は互いの目を見つめ、無言のまま頷く。互いの意志を確認するのに言葉は不要だった。総司達に帰る場所はない。だが目指すべき地平は見つけられた。成すべき目的も手に入れた。後はそれを成し遂げるだけ――それだけなのだが、


「それを考えるのは委員長の仕事、委員長を守るのがわたしの仕事だ」


 開き直ったような若葉に総司は苦笑するしかない。前途の多難さを思いやり、総司は長いため息をついた。


「……何にしても情報が足りない」


「正直に言えば戦力も足りない。高月が生きていてくれれば」


 その繰り言に総司はふと、ある着想を得た。もしかしたら新しい高月がまだどこかで生きているかも、新しい虎姫や自分と協力できるなら――

 天啓を得た総司は雷に撃たれたように棒立ちとなった。委員長?と若葉が訝しげに名を呼ぶがそれも耳に届かない。若葉が総司の目の前で手をひらひらと動かすがそれも目に入らず、彫像のように固まっている――と思ったらその手を払いのけてその場に屈み込み、魔法のカバンからノートを取り出してそこに猛然と何かを書き始めた。ものすごい勢いで文字がノートを埋めていく。


「委員長?」


「虎姫、多分俺達はどこにもたどり着けない。この迷宮のどこかで野垂れ死んで、それで終わりだ。この地獄はまだまだ続く」


 そう言いながらも総司はその手を止めなかった。その言葉に諦念は欠片もなく、その鋼のように確固たる意志は健在のままだ。


「でも、できることはある。これまで手に入った情報、これから少しでも手に入れる情報、その全てを伝える……!」


「伝えるって、誰に」


 そんなの決まっている――次の三島総司に。次の虎姫若葉に、次の高月匡平、次の桂川里緒、次の向日葵に。


「その情報を元にすれば次の俺達は今よりもずっと先に行ける。きっとこの地獄を終わらせられる。次で届かなければその次に、それでも届かなければその次に!」


 今の総司達が手に入れた情報はわずかだったかもしれない。だがそれを次の総司達が受け継いだなら、今よりも少しでも前に行けるだろう。そうやって次で届かなければその次で、その次で、その次で――自分達はいくらでもコピーされて新たに作られる。どれだけ玩具にされて弄ばれようと、どれだけ無残に殺されようと、何度でもリポップする。自分達の挑戦は無限に続くのだ。


「俺達の死は無駄じゃない。礎となって、俺達の死体を積み上げて、いつか必ず真相に手を届かせる!」


 このノートこそ総司達が生きてきた証であり、作り出された意味だ。若葉や匡平が、葵や里緒が血を流して勝ち取った成果なのだ。決してそれを無為にしない――次の自分達が無意味にしないと、信じている。いや、判っている。次の自分だって今の自分と同じなのだから。


「委員長、モンスターだ」


「判った、逃げよう」


 書き込みを中断した総司はそのノートを魔法のカバンに入れ、コピーで増やしたカバンをその部屋に置いた上で移動を開始する。


「少しでも長く生き延びて、少しでも新しい情報を手に入れて、少しでも多くを次に伝える」


「判っている」


 通路の一方からモンスターが接近。そちら側に結界の宝玉をコピーして設置し、総司と若葉は反対方向へと逃げていく。二人の背中は迷宮の暗闇へと溶け込むようにして遠ざかり、消えていった。






「三島、これは……」


 匡平はそれ以上何も言えない。若葉も、葵も、里緒もそれは同様だった。そしてノートを読み終えた総司は天を仰いでいる。零れ落ちそうになる涙をこらえるために。

 彼等はこの「永遠の楽園」と呼ばれる迷宮にトラック転生(?)し、迷宮の探索を開始。その直後というべき時点で放置されていた魔法のカバンを手に入れたのだ。そのカバンには食料や衣服の他、魔法の鏡や結界の宝玉といったアイテム、それに何より前の三島総司が書き残したノートが入っていた。

 そして総司がそのノートをコピーで増やして全体で共有し、今読み終えたところである。


「いいんちょ……」


「三島君、その……」


 ショックだったのは葵や里緒も同じはずなのだが彼等は総司のことを気遣っている。ノートの文面から、その行間から前の総司の感情があふれ出てきており、ついそれと今の総司を混同してしまったのだろう。


「――情報が足りない」


 前の総司と同じように、今の総司が一同にそう告げた。


「ここに書かれたことが事実とは限らないし、事実だとしてもそれは全体のごく一部だ。ともかく情報が必要だ」


 この地獄を終わらせるために。ここに記されたことからさらに情報を積み上げ、次に託すために。


「そのためには迷宮探索を続けなきゃいけない。やるべきことは何も変わらない」


 総司の言葉に「そうだな」と匡平が頷き、若葉も、葵も、里緒もまたそれに続いた。

 彼等の迷宮探索はまだ始まったばかりで、いつ終わるとも知れなかった。だが目指すべき場所は既に明らかだ。この地獄を終わらせる――総司達はそれを目指して暗闇の中を手探りで進んでいく。

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