いざ、新天地の宮津市へ
「それじゃあ、向こうでも身体に気を付けるのよ」
「ああ、向こうでも頑張るよ」
「連絡先は他の息子と娘には内緒にしておくさ」
翌日。
まだ二人の兄や妹が帰ってきていない間に、俺は今いる場所から遠くの場所へと住処を変えるのだ。
必要な荷物は、積み込みが完了しており、後は目的地に向かって車で進むだけだ。
なお、父さんの親族が今回の手助けをしてくれたのだ。
「じゃあ、兄貴。 彼を京都の宮津にあるアパートまで送っていくよ」
「頼む」
「たまには連絡をして頂戴ね」
「自分のペースで配信頑張るんだぞ」
「行ってきます。 お元気で」
両親に挨拶を交わしてから、俺は車に乗り込んだ。
理解してくれた両親だからこそ、寂しくあるが、配信やイラストレーターなどの仕事を自分のペースで頑張ろうと思う。
遠ざかる両親に手を振って、車は新たな居住地の京都府宮津市に向かって進んでいくのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「しかしまぁ、あんな事になるとはなぁ」
「あの兄たちと妹が化け物すぎるんですよ」
「あの【チーム飛鳥】でさえ他と一緒になってようやく倒せるドラゴンをソロでワンパンとか。 あの甥と姪は転生者か何かかな?」
「そのラインも否定できないのが……」
高速道路を走らせながら、あの化け物の兄たちの話題を口にする叔父と俺。
そこで出て来た【チーム飛鳥】というのは、飛鳥財閥の娘の美波さんをリーダーに、
個人のチャンネルもあるが、メインはグループでの活動となっているものの、個人でも20万人で、グループでも50万人の登録者を誇っている。
その【チーム飛鳥】でさえ、他の攻略者と協力しないと倒せなかったドラゴンをあの兄たちと妹はソロでワンパンで倒したのだ。
そのせいで、他のダンジョンライバーが霞むほどあの三人が注目してしまったのだ。
叔父はあの三人が転生者じゃないかと冗談交じりに言ったのだが、あんな能力持ちだと否定しようがないのが悔しいです。
「あれは、流石に政府も頭を抱えてたろうな」
「そうかもしれませんね。 対策庁も取り急ぎ、他のダンジョンライバーの配信も見るように勧めてますが」
「やはり例の三人の配信を見にいくという事か」
「そうですね……。 俺の配信はそこそこ見に来てくれますが」
「今じゃインパクトやエンタメ要素がないと見向きもされないって奴か」
「はい」
叔父との話で、あの三人のせいで政府も頭を抱え、対策庁も他のライバーの配信動画を見るように勧めているが、効果がないようだ。
最早、【ダンジョンライバー】の本来の目的からかけ離れてしまっている感じだった。
Vtuberなどの配信みたいに、ダンジョンライバーにもエンタメやインパクトを求める視聴者が増えてしまったのだ。
「それでも俺は、新天地でまったりと攻略配信をしていきますよ」
「その意気だ! 俺は応援してるぞ」
それでも俺の意思は変わらない。
新天地となる宮津で、自分のペースで攻略配信などを頑張るつもりだ。
叔父も両親と同様に、応援してくれているので、頑張ろう。
「よし、少し飯にしようか」
「そうですね」
暫くして叔父が飯にしようと声を掛ける。
丁度、大きめのインターチェンジに着いたようだ。
俺もそれに応じ、早い目の昼食を摂ることにしたのだった。
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