身内に劣等感を抱くダンジョン配信者は、新天地でまったり配信したい
イズミント
劣等感を抱く配信者は決意する
「では、ここで本日の廃ビルダンジョンの攻略配信を終わります。 お疲れ様でしたー」
《おつー》
《おつかれー》
《¥10000 なかなかよかったよ。 スケルトンの倒し方、勉強になりました》
俺は視聴者たちに終わりの挨拶を交わして、ドローンの電源を切って配信を終える。
今日俺がやった配信は、ある廃ビルダンジョンの攻略配信だ。
ダンジョンレベルは2で、比較的易しめのダンジョンで、アンデットが多かった。
その廃ビルダンジョンの攻略配信を今さっき終わったばかりなのだ。
20年前から福井県の東尋坊で発生した歪みから次々と化け物……のちのエネミーやのちの【ダンジョン】となるその住処が現れたのだ。
それから日本だけでなく海外にもダンジョン発生報告があり、そこから女神様が現れたりで色々あったが、結果的にダンジョンを攻略するための法案が作り上げられた。
俺達ダンジョンを攻略する者は、一般に【攻略者】と呼ぶが、ダンジョン配信も同時期に許可された事で何人かがダンジョンの攻略配信に勤しんでいた。
なお、攻略配信を行う攻略者の事は【ダンジョンライバー】と呼ばれている。
(さて、同時接続数もそこそこあったし、お布施チャットもいい感じか)
俺こと
同時接続数もお布施額もそこそこあったので、自分としてはいい感じだろう。
(だけど、二人の兄と一人の妹がなぁ。 どうしてこんな差になったんだ?)
俺のチャンネル【ゼロチャンネル】の登録者数は5万人でもうすぐ6万人いくところだ。
国の基準では、【ダンジョンライバー】自体の内容からして1万人はいければ最高級という見解だから、これでも多い方だ。
元々、ダンジョン攻略配信は、国の新機関【ダンジョン対策庁】も見ており、何かのアクシデントがあった場合にすぐに援軍を差し向ける事が出来るからだ。
しかし、俺にとっての二人の兄や、一人の妹がそれを軽く上回り、登録者数も俺の20倍~40倍にも上る化け物となっている。
故に、今の自宅では肩身が狭いので、食事も個人の部屋で食べている。
(ドラゴンをワンパンで倒すとか……、俺の兄や妹が化け物じみた能力を持ってるが故か。 俺は至って普通の攻略者なのに)
どうもあの兄たちと妹は、配信中に単体で倒すことが不可能なドラゴンをワンパンで倒した事でバズったようだ。
元々、能力自体は俺よりはるかに高いので、それも可能なんじゃという懸念は的中してしまった格好だ。
(母さんと父さんが良心的なのは救いか)
幸い、父さんと母さんは俺の心情を理解し、相談を重ねて色々と動いてくれた。
もうすぐしたら、あんな化け物の兄や妹と過ごさなくて済む。
俺もそろそろ20歳だし、独り立ちもしないとな。
(もう一つのデザイナー&イラストレーターの仕事の報酬を含めたらいい額だし、そろそろ荷物の準備をしますかね)
そう思いながら、俺はすぐに役所に報告するために向かい、報酬を貰ってから帰宅するのだった。
早く家を出て、自分のペースで配信できるように。
内容が固いと言われても、俺の生き様として見せればそれでいいからね。
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