第23話 子供達の思惑


 いよいよ話も佳境に突入して来た。それでは先ず、名前のいわれを紐解いて行こう。

 「菊池凛音」のリンネのこの漢字はリオとも読む。理生はリオだから……同一人物で、理生が女の子に変装した時は凛音になっていた。

 だから本名は「菊池理生」


 それにしても理生はゲイ同士の出会い系サイト等もあるのに、何故恋人代行サービス「レンタル彼氏・彼女」をしなくてはならなくなったのか?


 ゲイの出会いの場所とはどこになるのだろうか?

 ゲイ専用のマッチングアプリ、出会い系サイト、ゲイの結婚相談所・パートナー紹介サービス、有料のゲイ専用の出会い系サイト、無料のゲイ専用の掲示板系サイト、ゲイバー、発展場等々


 ※発展場・ハッテン場:ゲイの出会いの場のことを指す。

 そこで出会い、恋愛、多くは行為へと発展していくことから、発展する場=発展場と呼ばれている。ただし、発展場といった施設があるわけではないので、多くの場合は、どこか特定の「公園」「トイレ」「サウナ」

 

    ***


 理生は何故女装するのか?ゲイだったら男同士の同性愛者の事だから、完全に女になりたい性転換するニュ-ハ-フのそれとは違うので、女装するという事は理生はニュ-ハーフ?


 イエイエ、中には女装癖のあるゲイもいるらしい。理生の場合は有名私立校に通っているので、変装して親の目を盗んで思い切り弾けたい。それと…自分の美しさを痛いほど知っていた理生は、その美貌でより多くの好みの男をゲットするために、自分を最大限に利用していたのだった。それから高校生なので出会いの場である、ゲイバーや発展場と言った場所は夜にしかやっていないので、易々とはいけない。


 そんな時に恋人代行サービス社長の目に留まり、空いた時間で勤務する事になっただけの事。だが、色んな事があって首になったが、友達の友樹に誘われるがままにまた「恋人代行サービス」で働き出した。


 そんな時に流星と寺の境内で会った。

 あの時流星だけが理生に夢中になった訳ではなかった。理生も流星にビビッと来た。


(何というハンサムぶり、今まで会ったことのないイケメン。高身長に爽やかな笑顔💛💛💛)


 それから…女装癖の理由は他にもあった。

 実は…理生はひとりっこ。子供を1人しか授かることが出来なかった母は女の子を切望していた。だが、娘を授かる事が出来なかったので、母のたっての希望で理生は幼少期に男の子なのに可愛いフリフリのワンピースを着せられて、着せ替え人形のように着飾られていた名残りがあって、女装にさほどの抵抗が無かったのかも知れない。


 

   ***


 理生と友樹の2人は水商売に足を踏み入れたのだったが、想像を絶する危険な事が待っていた。


 そんな時は必ず大親友の19歳の少年友樹と協力し合っていた。それと言うのも何故友樹は2浪してまで、この学校を選んだかという事だが、以前話していた優秀校だからという理由だけでは無かった。実は…この友樹こそ正真正銘のゲイだった。だが、やはり周りの子供達に受け入れられず、気味悪がられ県立高校に居ずらくなって退学していたのだった。中にはガラの悪い子もいてからかわれて、それに耐えられず退学していたのだった。


 だが、この星信学園高校は良家の子女が多い事から今まで表立った事件は皆無だった。両親もこの子がゲイである事はうすうす気づいていて「この高校だったら安心できる」親子で話し合ってこの高校に決めていたのだ。


 それでは、想像を絶する危険な事とはどのようなものなのか?

 

 それは、お客様の中にはデート中に襲ってくるお客さんもたまにはいる。ある時などは、車で夜の公園で車を止めて、いきなり襲ってきたお客様もいた。一気に股間を触られた事も何度か有った。


「オ オ お前オオオ男じゃないか?」

 これは理生の話だ。女装して「レンタル彼女」として会っていた時の事だ。やはり大概の男は女好きだからこうなってくると気味悪がられ首になる。でもこれで知恵がついて次の「恋人代行サービス」ではこんなヘマハはしなくなる。次の「恋人代行サービス」は友樹に紹介されたのだった。



   ***


 一方の流星は凛音に一目惚れをしてしまい、その思いは薄れるのではなく日を追うごとに凛音に対する思いは募る一方。だから、あの日幽香と出掛けた中田商店近くにある凛音を見掛けた一軒家を時間が空くと、こっそりうろうろするのだった。


 そしてとうとう、ある日凛音ちゃんとやっとの事遭遇することが出来た。だが、暫く待っていたが、その家から出て来たのは凛音ではなく、見知らぬ少年と中年の男性が寄り添ってその家から出て来た。だが、なんと……その少年は凛音ちゃんにそっくりだった。


 実は…幽香と特注品の「金文」のノコギリを見に行ったことが有ったが、以前から流星は幾度となくこの辺りにやって来ていた。


 それは一体どうしてなのか?


 それは、以前サッカーの試合でこの近くに遠征に来たことが有ったのだが、その時に夢にまで見た少女凛音ちゃんらしき少女に、一瞬だけ遭遇した事が有った。  


 だから……幽香が岡崎市の特注品「金文」のノコギリがある店「中田商店」の住所を調べてくれた時はビックリした。

(自分の恋焦がれた女の子を見掛けた場所の近くではないか?)


 こうして…幽香と流星は日曜日のあの日金物店に出掛けたのだった。そして…またしても日曜日の雑踏の中で、あの美しい謎の少女を一瞬だが、見掛けて付いて行った。


 子供達の人間模様の中で、あの恐ろしい首なし死体事件は起きて行くのか?


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