ここだけの話/はる まきこ

はる まきこ

ここだけの話

棚の中ジャンル散らかるコレクション 恋の数だけ趣味も増えてく


好きなのに思い出せない君の顔 緊張で目も見れなかったの


「私も」と明日の話題を作るため 欠伸噛みしめ眺めるテレビ


意地張って未読のままで五分待つ 浮かれてるのがバレないように


君とならコンビニだってデートなの 「アイス食べない?」太っちゃうけど


わざとです 君に近づく口実で冷やす指先 鼻先に紅


「寒いのにイルミなんか見に行きたいの?」 ロマンチックとかけ離れた君


恋人のように並んで会話する 手を繋ぐこともできないままで


猫派とかたけのこの里が好きだとか そんなことだけで嬉しいよ


「吸ってくる」すぐ席を立ついつもそう 私の話つまんないかな


まだ私ちょっとしか呑んでないけれど ふわつくヒール 君が支えて


君がいつ触れてくれてもいいように 爪の先まで磨いてきたの


二件目はわざと選んだカウンター 酔ったふりして寄りかからせて


幼さを誤魔化したくて火をつける 美味しさなんてまだわかんない


帰るには名残惜しくて掴む袖 何も言わずに歩いた夜道


ごま油もないキッチンは初めて クレンジングオイルはあるんだ


君が「これ」と渡してくれたTシャツの首がよれてて愛しく思う


私よりかわいい女優が出る映画 観たくないからテレビ消そうよ


曖昧な関係だから 抱きしめた時に好きだと言えなくてずっと


添えられた桜の塩漬け口にする 昨日の涙の味に似ている


なんとなく違うお店に来たみたい 君と来たからよかったのかも


最近の流行りは小さい鞄よね 入ってくれないお泊りセット


掛け布団 重たいほうが寝やすいの 君の腕の重みみたいだし


気が付けば思い出してる昼下がり 淋しさを夜のせいにできない


衣替え 去年しまった浴衣帯 あなたに見せる計画を立てる

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