第4話 妹に自分の気持ちがバレた件

「……」//SE 鼻をすする音


「……ごめんね、取り乱しちゃって」


「びっくりしちゃって……お兄ちゃんが、私を……その……す……、すすすすすすす好きだなんていうから」


「ね……、お兄ちゃん」


「さっき言ったこと、ほんとう?」


「私のこと、ずっと好きだった……って」


「アイドルになる前から? ただの妹の頃から好きだった? ……ふーん……そっか」


「私もね……、ずっとお兄ちゃんのこと好きだったよ」


「けど、お兄ちゃんだから諦めなくちゃって思ってて。けど、諦めきれなくて……」


「だから今日、そんなお兄ちゃんが私のことアイドルとしてずっと応援してくれてるって分かって、嬉しかったのに」


「さらに好きだったなんて言われちゃったら、嬉しさの限界値を超えちゃって、もう訳分かんないよ」


「ばか」


「ばかばかばかばか」


「お兄ちゃんのばーっか!」


「信じられないっ、乙女心の全然分かってないお兄ちゃんにこんなに心をかき乱されるなんて」


「……ううー、悔しい」


「今日はお兄ちゃんにびっくりさせられっぱなしだったから、添い寝して、お兄ちゃんの弱点の耳をたーっぷりいじめてやろうと思ってたのに」


「結局またどんでん返しみたいに、びっくりさせられるんだもん!」


「いや、そりゃ嬉しいよ!? お兄ちゃんが私を好きで、すっごい嬉しい!」


「……けど、悔しい〜」


「もうっ、こうなったら彼女命令! 今晩お兄ちゃんは、私のことぎゅーってしながら寝ること!」


「え? なに? 異論は認めません!」


「え? ……彼女ってどういうこと……って?」


「……う、うううー」


「だーかーらー、そういうところに突っ込むところが乙女心が分かってないのー!」


「お兄ちゃんは私に好きって告白したでしょ?」


「私もお兄ちゃんが好きって返事したんだから、これはもう付き合うってことなの!」


「……なに? 文句あるの?」


「……」


「……ふふっ、それならいいの」


「そっかー……、私がお兄ちゃんの彼女かー」


「これでも私、結構売れっ子のアイドルだからなー……」


「グループじゃ恋愛禁止されてるしなー……」


「もし彼氏がいるなんてバレたら大変」


「だーかーらー、お兄ちゃんがどうしてもって言うなら付き合ってあげてもいいんだよ?」


「え? さっき付き合うことになったんじゃないの……って?」


「お・に・い・ちゃ・ん?」//怒気を孕んで


「……」


「……うん、分かればいいの。分かれば」


「そっか。お兄ちゃん、どうしても私と付き合いたいんだ……」


「しょーがないなー。大好きなお兄ちゃんがそこまで言うなら、付き合ってあげる」


「どう? 嬉しい? 大人気アイドルグループ、虹色クリームの凛奈がお兄ちゃんの彼女だよ?」


「……ふふっ、お兄ちゃん可愛いー」


「……私も、お兄ちゃんが彼氏で、嬉しいよ」//耳元で


「ほんとにお兄ちゃんはすぐ赤くなるなー。こんなんじゃ、これから先が思いやられるよ」


「もう私はお兄ちゃんの彼女なんだから、早く慣れてもらわないと」


「じゃあ、はい。お兄ちゃんの特訓も兼ねて、さっきの彼女命令。どうぞ、いつでもいいよ?」


「え? さっきの彼女命令本気でやるの……って?」


//以降耳元で


「……むしろ、どうしてやらずに済むと思ってたのかな?」


「ほら、簡単だよ。お兄ちゃんは、その両手で、私の体を、ぎゅーって、抱きしめればいいだけ」


「ほらほら、早く。その空中でわたわたしてる手で私を抱きしめて」


//SE 恐る恐る抱きしめる音


「……そうそう。そうやって、腕を回して」


「ぎゅーって……。うん、いい感じ……」


「緊張して震えてるお兄ちゃんも可愛いよ……」


「え? 私もドキドキしてるって?」


「そ、そんなの当たり前じゃん。男の人と抱きしめ合うなんて、初めてなんだもん……」


「しかも、相手はお兄ちゃんだし……」


「……」


「ね、お兄ちゃん?」


「……」


「あれ? お兄ちゃん?」


「……もしかして、もう寝ちゃったの?」


「……なんて、寝つきの良さ……」


「……ほんっとにお兄ちゃんは……どうしてこう毎回毎回天然で私を翻弄するかなー……」


「……けど、そういうところが可愛くて大好きなんだけどね」


「……ふふっ、そうだ」


「お兄ちゃん、寝てるー?」


「寝たふり……じゃないよね?」


「つーんつん……。つーんつん……」


「寝てる……なら……、今まで言えなかったぶん、言っちゃおうかな」


「……好き」


「……お兄ちゃん、好き……」


「好き好き……大好き……」


「分かってないんだろうなー……私がこんなにお兄ちゃんのこと、好きなこと」


「……好き……だーい好き」


「……浮気はもちろんだけど、推し変も許さないんだから……ちゃんと分かってる?」


「ね、お兄ちゃん……大好きだよ」





----------


 あとがき


 これにて完結です。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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アイドルの妹を推してることが妹にバレた件〜俺をイジってくる妹は天然の返しに弱過ぎる〜 路地浦ロジ @roji041

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