第2話 第1章 シークレット・プロダクト 裏切り

 「貴様らにはこれから一年間クラス対抗で殺し合いゲームをしてもらう」


 と堂々言い放たれた。


 私達は当然困惑した。クラス中がざわざわして皆どうすれば良いか分からないという状況だった。


 「尚このクラスはバカが一人死んだので九人しかいない、恨むならそのバカを恨め。では私はこれで失礼する」


 といってさっさと出て行ってしまった。


 つまりどういうことだ?サッパリ意味が分からない。


 私達は殺し合いをするのか?理解が全く追いつかなかった。


 その時「皆きいてーー」と急に大きな元気そうな声が聞こえてきた。


 「なにもしらないことには始まらないから自己紹介をしましょう。まず私からね。私の名前は唐木田 持統(からきた じとう)っていうの、これからよろしく」

 

 「私の名前は甘露寺 二条(かんろじ にじょう)といいます。以後お見知り置きを」


 次々自己紹介が終わっていった。


 私も自己紹介は特になにかあるわけでもなく終わった。


 一通り自己紹介が終わったところでまた少しの時間沈黙があった。


 私はとりあえず隣の席の子に話しかけてみた。


 「政子ちゃんだっけ?どこから来たの?」と平凡な会話から始めた。


「私がどこから来たかあなたが知る理由がある?」と冷たく言われた。


 あ、この人関わっちゃいけない人だ。そう思って私は「ごめん、なんでもないから言いたくないなら言わなくてもいいよ」と言った。


 するといきなり顔を赤くして「別に言いたくないわけでは無いけど……」と照れくさそうに頭を掻きながら言った。


 あれ?もしかしてそんなに悪い子じゃない?じゃあ少し話してみようかな?


 と思い話しかけようとした時放送がなった。


 「馴れ合いは済んだか?一度体育館に集まってもらう」


 と放送が流れた直後みんな体が光り、景色が真っ白に染められていった。


 この移動の仕方は二回程度ではなれるはずもなく、少しびっくりした。


 「よしまた四十人集まったな。では今からこのコロシアイを詳しく解説する」


 あんたが四十人集めたんだろというのは飲み込んで隊長の話しを聞いた。


 「コロシアイと言っても好き勝手に殴ったり魔法を撃ったりして殺伐としたコロシアイをして欲しいわけではない。かといって学級で裁判を開いたり犯人を見つけたりするわけでもない。これからは月に一度{ゲーム}をしてもらう」


 ゲーム?そんな抽象的なことを言われても何もわからないぞ。とみな困惑ザワザワしてると

 

「貴様らも風穴が開けられたいのか!」と一蹴された。


 「それではゲームの解説とこれからの一年間の様々なルールについて説明する」


 本当は隊長が言っているのを書きたかったが長くなるため私がまとめた。


 まず一年間この養育所からは出ることはできない。


 毎月始めに一度{ゲーム}が行われる。ゲームとはクラス対抗で行う真剣勝負だ。


 そしてゲームで負けた最下位のクラスは一人処刑となる。


 一クラスに一人{クイーン}を決める。


 クイーンのルールは全部で6つある。


1つ目 ゲームで処刑されるのはクイーン以外。処刑対象は自分のクラスで決める。

2つ目 他クラスにクイーンが誰かバレてはいけない。

3つ目 クイーンは毎月変わる。

4つ目 クイーンは自分がクイーンとなっている間に一人まで殺すことができる。

5つ目 クイーンが人を殺した十分後に全クラスのクイーン四人と、それぞれのクイーンが指名した各クラス三人ずつを含めた合計十六人で{人狼ゲーム}を行う。

 

 この人狼ゲームではクイーンが人狼、他の役職は都度説明する。


 この人狼の終了条件は、人狼が三人追放されることか、人狼が二人以上残っている時に市民陣営と人狼の数が同じになること。

 前者は人狼が生き残っているチームの勝利。後者は人狼の勝利となる。

 前者では人狼が残っているチーム以外人狼参加者は全員処刑。

 後者では各クラスクイーン以外は全員処刑となる。


6つ目 クイーンがいなくなったクラスはクイーン交代の時期までクイーンは無しとなる。


 これでクイーンとゲームの説明はおしまい。


 生活の説明は慣れてくれとのことだ。


 「あともう一つ言わなければならないことがある。今から4月のゲームを始めるのでクイーンを決めろ」


 と隊長は付け加えた。


 え?もうゲームするの?まだまともに話しても無いのに。皆そう考えて中々話さずにいると


 「残り二分で決められなかった全員処刑だ」


 その言葉で皆クイーンを決める会議を始めた。


 そして一分も経たずに全部のクラスが静かになった。


 「もうすべてのクラスが決まったのか。まあ速いに越したことはない。では今回のゲームの名前を発表しよう。そのゲームの名前は……シークレット・プロタクトだ」


 シークレットは秘密、プロタクトは守るだから、秘密を守れみたいな感じかな?


 「ルールは今から各クラスの全員に違う暗号を言う。クイーン交代の5月1日までの30日間その暗号を他人にバレてはいけない。自分の物ではない暗号が分かったやつは4クラスの奥にある私の部屋に来て密告しろ。密告があっていれば、密告された奴は処刑。間違っていれば間違えた者が処刑。誰かの密告に成功した者の暗号を誰かが密告した場合、密告した者は処刑となる。三人以上が処刑されたクラスは敗北となる」


 つまり簡単に言えば自分の秘密を守り通せばいいらしい。密告されたら処刑とかいってるけど、余程ヘマをしないと密告されないでしょ多分。


 なんて考えていると、また体が光に包まれ始めた。


 目を開けたらそこは教室だった。この移動方法に少し慣れたなとか考えてたら、なにかポケットに入っていることに気がついた。

 

 なんだ?と思い出して見てみると


「貴様の暗号は{禁止帳}(きんしちょう)」と書かれた紙が入っていた。


 なるほど私の暗号じあ{禁止帳}か。でも良く考えたら他人に見られちゃだめなんだった。そう思って急いでしまった。


 「みんな自分のクラスの中で暗号を共有しましょう」


 とまたさっきと同じ明るい声が聞こえてきた。すると


 「いいえ、そんなことはしてはいけません。もしこの中で仲間の情報を漏らすクズがいたらどうするのですか?」


 と二条とか言う人が反論した。みんな賛成と言わんばかりにうなずいている。


 「そ、そっか。ごめん確かに信用しきっちゃうのはだめだよね」


 と確か{持統}とか言う女が少し悲しそう下を向いて言った。


 「はいはーい、僕ー1つ提案がありまーーす」


 と緑の髪をお団子にまとめドレスを着ていて見た目は気品があるけど、動きや言動にわんぱく感が出ていて{活発なお嬢様}という印象を受ける子がそう言った。


 「他クラスから適当な人をさらって拷問してそのクラスの暗号聞き出せばいいと思いまーす」


 と、さらりと言ってのけた。


 え?拷問?この子は何を言っているんだ?みんな同じ様にぽかーんとしてた。


 「あれ?みなさーん聞いてますー?拷問すれば簡単じゃないの?って言ってるんですけど」


 と悪びれもせずに言ったので私が「拷問とかはダメじゃない?」と近づいて優しく言うと、急にさっきまでと同じとは思えないほどニヤリとして


 「これが欲しかったんだよ!このバカ。正義面すんな気持ち悪い」


 と言って私のポケットから暗号の書かれた紙を盗んでしまった。


 「へへへ、油断しやがって。本当にバカだなお前。助かるよお前みたいなバカのおかげで僕は死なずに済むからね」


 その目は完全に狂っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法少女コロシア厶 @kisoti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ