第23話 迷い

 はじめてみさと出会った時の衝撃は忘れられない。あっという間に全てを支配されたような感覚になり、不思議とりなのこと、忘れてしまった。もちろん反省はしているが、心は正直だった。仕事に追われてしっかり考えることは無かったが…


【はると、チェックしたいから早く入って!】


さきさんの声で我に返った。


【すみません、今入ります。みさ、ごめんね】


【…うん、入れる?私もこれ以上奥には行けなくて、姿勢変えてみようか?】


さきさんの指示で、


【はると、みさ、シャツ👕にならないと、空調管理されてるから大丈夫。みさ、私が変わってもいいけど、データ取れないでしょ?頑張って】


【はい、大丈夫です。はると、少しはスペース空いたかな?】


【みさ、ごめんね、きついけどこれで入れるかな?】


 かなりのキツさだ。これ、設計寸法間違いなく一人用だよな。これで操作出来るのか?


さきさんの声が室内から、


※【はると、みさ、まず空調管理換気、右上のボタン、六個のある一番右、押して】※


【はると、押せる?】


【大丈夫、ちょっと肘ぶつかるけど、ごめん】


 これだな、ポチッ!おおっ、涼しくなってきた。

換気も行われるのか!狭いだけにすぐ涼しく、換気は

効いてるよな?


※【次にシステムとモニター、左側のスイッチ、オンにして、解る?はるとの腰辺り?】※


【みさ、見える?】


【これかな?ちいさなレバースイッチみたいな…】


【オンに出来る?】


【出来るけど…はるとに寄りかかる姿勢になるかも…痛かったら言ってね】


【大丈夫、これ一人でも厳しいよね?閉所恐怖症の人にはきついね。さきさんのコンパクト化にこだわりすぎだ。設計ミスだ】


※【こら~はると!余計なこと言わずにとっとオンに

しろ!】※


 聞こえるのか?しまった!良かった、ぼろくそ言わないで。


【もう少しで、届く…はるとごめん】


【いいよ、少し姿勢変えて…これならどう?】


【いけるかも、これで】


 みさと完全密着!緊張Max、空調効いていても汗出てくる。心頭滅却すれば火もまた涼し!


【はると、ごめんね。強く寄りかかっちゃった】


【ううん、嬉しいかも…あっ、大丈夫…さきさん、空調強めるにはどうすればいいんですか?】


【はると、暑いよね、ここ】


 嬉しいに決まってるよ。みさも汗かいてる…

聞き流してくれたかな?これ、りなとなら、緊張しなかったかな?何で、みさ呼んだんだ?さきさん。


※【はると、みさ、ちょっと待ってて、待機】※


 何だよ、アクシデントか?空調のアクシデントは困るぞ!


【ごめんね、さきさんもこんな大変なこと、りなにお願いすれば良かったのに】


【りな、出張だから。それに、はるとは私では嫌なの?迷惑だったかな?ごめんね…】


【違う違う!そんなことない。間違ってもない!みかさで良かった!本心!みさが適任だ!】


みさが。笑って、


【そんな、必死に肯定してくれなくても、ありがとうね。それにしても、さきさんの声聞こえなくない?さっき待機って言われてから…】


【確かにね、おーい、さきさん、まだ待機?】


【さきさん、さっきのスイッチ合ってましたか?】


※【………………………………………】※


 何だよ、これ?通信トラブルか?まいったな。空調効いてるってことは息は出来るけど。


【はると、大丈夫かな?とじこめられちゃった?】


【大丈夫!これは緊急開放機能ついてるから。さきさんのことだ、耐久試験でもやってんだろ。先に言えよって、感じだけどな】


【聞こえてたら、ぶっ飛ばされるよ、あの美脚で】


【さきさん、自分で美脚って言ってたの?凄い自信なんだな。あの人】


【はるとがチラチラ脚見てるってさ】


 くそ、あいつ、そんなこと言ってるのか?よりによってなんで、みさに…許さん!俺のプライドが。


【みさ、あのね…言い訳になるけど、さきさんのスーツって目のやり場に困るっていうか…】


【解る、解る、自信オーラ凄いよね!】


ふー、凌いた…さきさん、まだかな?


【はると、寄りかかっていい?姿勢きつくて…】


【いいよ、もちろん!気がつかずごめん】


本心は嬉しいのです!ドキドキしてきた…



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