第2-13話

アランが去ったあとで、少女達は宴を楽しんだ。

ギルドの個室で、特別に用意された大きな焼き網があり、炭火がその下に灯されている。

テーブルの上には、高級な食材が並べられていった。

鮮やかな色合いをした豪華な食材や料理達が目を引く。

まずは特別に肥育された厚切りの牛肉が登場。


この肉は人肌程度の体温で脂が溶け出す程の代物。

目の前で料理人が肉を切り、網の上で丁寧に焼いていく。

炭火でほどよく焼き上げられ、一口大に切っていき、少女たちの皿の上に乗せられていく。

軽く塩を振り、ノアが一口食べる。


「!?!?!?!?!?!!!?!?!?!?!????」


その濃厚なとろけるような味わいに脳が揺さぶられる。

肉が口の中で溶けたのだ。

柔らかくてジューシーな牛肉の旨味が口いっぱいに広がり、その暴力的な美味しさに言葉が出ない。肉汁が舌の上で広がる感触に、彼女は満足げな笑みを浮かべた。次に、ベルとエリナもその美味しさに感嘆の声を上げる。


次に網の上で焼かれて行ったのは“ドラゴンの翼”だ。料理人の手によって丁寧に焼かれて行き、たっぷりの肉汁が滴り炎を巻き上げる。

力強くも食欲をそそるような野性的な香りが部屋に広がり、三人は今か今かと焼きあがるのを待つ。

暫くして焼きあがった翼の肉を切り分けていき、三人の前に出される。


口に入れて食べると、肥育された肉とは違った豊かなうまみと力強い風味が口内に広がる。肉は柔らかく、噛むほどに肉汁が迸り、旨味が濃くなっていく。

肥育牛のようなとろけるような味わいとは違い、噛み応えのある肉質。程よい弾力を持ちながらも、噛む度に飛び出す肉汁が爆発的な美味さを引き出す。


何よりもドラゴンの肉は、独特な香りをしている。

じっくりと燻され、熟成されたスモーキーな香りがするのだ。この香りは非常に豊かであり、ドラゴンの力強さや神秘性を感じさせる。


「これは……ダメだ美味しすぎる……止まらない!」


ベルが呟く。

手が止まらない。

普段口にする事の無い高級食材の数々に、少女達は完全に打ちのめされていた。


テーブルには海の幸も豪華に盛り付けられてた。

海から採れた新鮮な魚介類が、炭火で丁寧に焼かれていく。

シェルハートは美しい貝殻を持ち、鮮やかな色合いの身を持つ特別な貝。その甘みとクリーミーな食感は、通常のホタテとは一線を画しており、贅沢な味わいを楽しむことができる。

シェルハートは、高級な食材として珍重され、異世界の美食家たちによって喜ばれています。

ぷりぷりっとした食感のシェルハートに舌鼓を打ち、エビやイカ、貝類が焼きあがるたびに、少女たちは喜びの声を上げていった。

特にエリナは、焼いたシェルハートの香ばしい香りや味に興奮し、拳大の貝柱に齧り付く。


最後に、豪華な食事の締めくくりとして、特別なデザートが登場した。テーブルの上には、色鮮やかで美しく盛り付けられたフルーツやスイーツが並べられていく。新鮮なベリー類や瑞々しいメロン、トロピカルフルーツの香りが室内に広がります。

肉や魚介類の暴力的な油や美味さも最高だが、やはり最後には口をさっぱりさせたい。

それらの欲求を満たす事の出来る果実や菓子料理が並べられていく。


「な、なんなんだこれは……」 と、ベルが驚愕する。

「宝石みたいですねぇ」 と、エリナがうっとりとした表情で言う。

「う、美味そうだな」 なんだかよく分からんけど美味そうなものが来たと思っているノア。


三人の注目を集めたのは、ミステリアスな存在感を持つ「神の果実」と呼ばれる果物。


「こちらエーテルフルーツと言う果実になります。南国にある聖域でしか育たない植物から採れる果物で、神の果実とも呼ばれているぐらい美味しいですよー」


料理人が軽い解説を入れる。

果実の外見は実に美しかった。この果物は透き通った美しい色合いを持つ宝石のような果物だ。

その外見は、澄んだ深紅色に輝く滑らかな皮が包み込んでおり、内部には煌めく輝きを持つ果肉が広ぎっしりと詰まっている。果実の形状は、楕円形であり、優雅で整ったシルエットをしている。


「見る角度によって色合いが変化しますね」


エーテルフルーツは光の加減で微細な色のグラデーションが浮かび上がる不思議な果実だ。

ノアが試しに切り分けてくれたものを一口食べると悶絶した。

果肉は瑞々しく、ジューシーでありながらも柔らかな食感。甘みと酸味が絶妙に調和し、口に広がると一瞬にして五感を包み込む幸福感が生まれた。

爽やかでありながら濃密な味わいは下手な菓子では足元にも及ばない。

エーテルフルーツが持つ美味しさはその名に恥じない代物だった。


彼女達はデザートをとことん楽しんだ。

フレッシュなホイップクリームやシャーベット、香り高いハーブを使ったアイスクリーム。

どれも口の中でとけるような滑らかな食感と、爽やかな風味が口いっぱいに広がっていった。このデザート達は食事の最後にふさわしい贅沢な味わいである。

彼女達三人の舌をとことん喜ばせることができた。


少女たちは幸せそうにデザートを頬張りながら、優雅な雰囲気の中で会話を楽しんだ。彼女たちの笑顔は、この特別な食事の喜びと幸福感を物語っていた。

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