男装して騎士団に入団したら姫様専属の騎士に選ばれたけど、命令には逆らえません!!
春白 ルナ
第1話 なんでバレてるの?
とても天気のいい晴れた日に私の父は急な病でこの世を去った。その後まもなくして、母も体調を崩してしまった。私には弟が1人と妹が3人いる。そんな状況でも、父が商人だったこともありしばらくは暮らしていけるぐらいのお金があった。しかし、父が他界して3年、我が家にはもう芋と水しか残っていなかった。
「母さん!私、騎士団に入団する!」
「なに言ってるんだい。大体あんたは女だろう」
「大丈夫。私、女にしては背が高いし、顔も中性的だってよく言われてるし」
「あんたがそんなことしなくたって大丈夫だよ」
「なに言ってるの!もう食べ物だって3日ももつかわからないのに」
「でも…」
「もう決めたことだから」
「…わかったよ。でも、辛くなったらすぐ戻ってくるんだよ」
「うん。それじゃあ行ってくるね!」
とまぁ、あのときこんな感じでかっこよく家を出てきた訳だけど、女っていうことがバレるんじゃないかっていう不安も結構あったんだよね。やっぱり体とか声とかって違うからさ。でも、意外とバレなかったんだよねこの2年間。なんかちょっと虚しいかな。うん。元々あんまり胸ないし。他にも、私には剣のセンスがあったみたいで結構強かったからさ。
そんなこんなで騎士団に2年勤めた私は、お金が手に入ったから騎士団辞めて実家に戻ろうかな~って思ってたんだけど、団長に呼ばれて何故か王城まで来ちゃったんだよね。
そして今、私、改め僕は窮地に立たされています。時を戻したい。切実に。
今日の朝、団長に呼ばれたのは僕を含めて4人。姫様専属の騎士を選ぶらしくて、ここに来るまでは模擬戦とかをやって、1番強かった人が選ばれると思ってたから、程よく負ければいいかと思ってたんだけど、姫様が直接選ぶらしくて人生最大に焦ってるんだよね、僕。
流石に、王族欺くのは無理だよ。だって、バレたら牢獄行きだよ。
あ〜神様!本当の本当に一生に1度のお願いです!どうか、どうか!選ばれませんように!
「私、この人にするわ」
「ライリー・ノア・マーティン、彼をフレイヤ・フォン・アルネス様の専属騎士に任命する!」
パチパチパチパチ
僕、選ばれてないから。本名レイリーだし。ライリーじゃないし。ていうか、姫様が直接決めるなんておか「ねえ」…
「…はい、何でしょうか姫様」
「あなたいくつなの?」
「18歳です」
「ふ〜ん、私の1つ上なのね。まあ、年齢なんてどうでもいいんだけど」
そう言うと姫様は僕の耳元に顔を寄せて、確信を持った声でこう言ったのだ。
「貴方って女の子、よね」
「はい?」
18歳の夏、私の前で満面の笑みを浮かべている姫様に、人生最大の秘密がバレてしまったのだ。
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