遠足は友だちと 8

沈黙。。。


そして、

「私は勇者。

勇者とは、勇気を持って困難に立ち向かう者。

大切なのは何が出来るか、ではなく、何をしようとするか、、、


私は一歩を踏み出したい!

行こう!レオナ!」


神騎士アイン(魔王)の言葉を思い出し、決断をしたティファ。

レオナはそんなティファに、満足そうに微笑みながら、


「よく言ったわ!

なら、急いで出発よ!

子どもの頃にお城を抜け出す為に使った抜け道があるから、それを使うわよ。

夜明け迄に都を出たいところね。

早く支度をして。」


「うん!」


盛り上がる2人をよそに、アイシャは落ち込んでいた。

「は~、これ、始末書じゃ済まないよね。

勇者様を勝手に連れ出すんだよ。

アウトなやつじゃん。。。

でも、こうなったレオナ様は止まらないもんな~。

捕まる前になんとか成果を出さないと。

勇者様を連れ出したのは正解だったと言わさないと。

もし、脱走みたいな扱いになったら、、、

この3人だと、責任取らされるのは絶対私になるわ。。。」



そして、ティファの準備が整った。

白い革鎧は少し目立つが実用的なデザインだ。

「似合ってるわよ。

冒険者は革鎧を好んで着るの。」


「冒険者?」


「そう。

いかにも勇者パーティーって感じだと、目立ち過ぎてすぐに捕まるわ。

だから、冒険者のフリをするの。

冒険者はモンスターを倒すのを生業にしているわ。

勇者には最適でしょ♪」


一番楽しそうなのがレオナ。

緊張で顔がひきつるティファ。

どんより落ち込んでいるアイシャ。

3者3様の面持ちで出発した。


・・・そしてはまった。


「どうしましょう。。。」

アイシャが不安な声を出している。


レオナのルートは子ども向けだった。

細い道に小さい穴。


長身で出るところが出ているアイシャには苦しい道のりだった。

そして、柵の隙間をすり抜ける時、胸がつっかえて動けなくなった。


「助けてくださいよ~。」

アイシャが弱気な声を出す。

しかし、アイシャの胸だけが通れなかったという事実が、レオナとティファにはダメージを与えていた。


「アイシャの胸が大き過ぎるのよ!」

「切り取りますか?」

「ひぃ~、ティファが怖過ぎる。」


「じょ、冗談ですよ。ハハハ。」


残念ながらティファは幼児体型だ。

体型のコンプレックスが無意識に出たのかもしれない。


「は~、ふざけてないの。

こんなところで時間をかけてられないわ。

もうすぐ城の外なのに。

さっさと破壊するわよ。」


「・・・どうやって?」


「アイシャに選ばせてあげる。

ティファの剣と私の魔法、どっちがいい?」


アイシャに冷や汗が流れる。

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