第48話 溶岩竜!?
◇◇◇◇◇(リュノ視点)◇◇◇◇◇
大成功に終わった消火活動に、にへへっとふやけていたんだけど…
調査に向かった者から溶岩竜が出たと報告があり、ミズハ姉さんが険しい顔をするのが見えた。
溶岩竜は4足歩行で、口から灼熱の炎のブレスを吐き、黒光りする鉄鋼のような甲羅をまとった凶悪な生物だ。その甲羅は生半可な物理攻撃や魔法を通さないから、魔力の乏しい今の状況では厳しいよね…
魔力を回復するためにカズマの所に戻る?…間に合うだろうか?
この場で直ぐに魔力が回復できれば良いんだけど…
あ、前に貰ってた丸薬があるか!
丁度2つあるし、私と姉さんが回復すればいけるよね!?
…いや、でも激マズだし、できれば避けたいな~
…姉さんなら魔力があれば1人でも大丈夫かな?
うん、ここはひとまず姉さんに
フラウ姫には勧められないけど、姉さんなら良いよね!
『ミズハ姉さん、これ、カズマの魔力を圧縮した丸薬!魔力が大幅に補充できるわ!!』
『何、ホントか!?』
『うん!!』
『助かった!…あれ?それを何で今まで黙ってたんだ?』
『味がエグくって…あっいや、ちょっとだけね』
『エグい?…ちょっと?』
『……う、うん』
思わず目を逸らして答えると、ミズハ姉さんが半眼になった。
『だ、大丈夫よ、私は何度も飲んでるし!』
しまったな、思わずエグさをダイレクトに伝えてしまった。
ここは怪しまれない様に”あまり作れない”とか適当にごまかして、スムーズに飲んでもらうべきだった!
焦りながら姉さんに手渡そうとしたら、錆色の丸薬を2つとも取り出して、姉さんの手の上に置いてしまった。
『2つあるな…じゃあ、リュノも飲んで一緒に戦ってくれるか?』
『うぇっ!?ね、姉さんだけで大丈夫だよ!』
『いやここは、経験と実績から確実に魔力回復できるリュノは飲むべきだし、さっきの大活躍を見れば任せられる。それに、魔力回復量もカズマ様との親和性を考えると、リュノの方が良いだろうしな』
えっカズマとの親和性?顔が火照る…
『そっそうかな?……じゃないし!危なっ!!』
思わず叫ぶと、
『危ないってどういうことかな~?』
と姉さんが迫力のある笑顔で迫ってきた。
『えーっと…』
言葉に詰まると、ジト目になった姉さんが
『ふぅ、しょうがないな。一刻を争うし、私も飲むからリュノも飲みな』
と言ってきた。
…もうすっごくエグいのばれてしまってるし、あきらめて飲むしかないか…
『むぅー。分かったよ』
丸薬を1個ずつ分け合うと、それを改めて持ち上げた姉さんは
『しかし凄い色だな…』
と一瞬動きを止めたが
『いや、皆が待っている。いくぞ』
と口に入れた。
私も覚悟を決めて口に放り込み、
((ごくんっ!))
と同時に飲み込むと、
『『ぐぅぇえぇぇ!!』』
と2人は四つん這いになり、激しく悶え苦しんだのだった… orz
・・・・・・・
不味さを乗り越えた私とミズハ姉さんは、溶岩竜を見つけると、この状況に追い込まれた怒りを叩きこんだ!
『お前のせいで!くらえ、ライジング・ウォーター・キャノン!』
私の魔法で極太の水の奔流が溶岩竜の胸下当たりから噴出し、溶岩竜を上空に縦回転させながら吹き飛ばした!
『お前のせいで!くらえ、マキシマム・ウォーター・フォール!』
姉さんの魔法で空中で仰向け状態になった溶岩竜が、上空からの怒濤の水圧で地面に叩きつけられ、地面にクレーターを生じさせながら甲羅がめり込んだ!
逆さになってジタバタもがく溶岩竜を見下ろし、
『『くたばれ!(失せろ!)ナイン・ウォーター・レイ!!』』
私とミズハ姉さんが同時に唱えた魔法により、私と姉さんの2方向から極限に圧縮された水のレーザーが9条ずつ打ち出され、十字砲火で溶岩竜に殺到した!
ズガガガッドガッ!という轟音と一瞬立ちこめた霧が晴れた後には、柔らかい腹側から大量の穴を穿たれ、より深くなったクレーターにめり込み動きを止めた溶岩竜の姿があった。
ミズハ隊長が来るまで何とか抑え込んでいた近衛隊員達は、その凶悪な溶岩竜が瞬殺されたことに唖然とした表情を浮かべた後、目を合わせ、絶対に隊長とリュノを怒らせないようにしようと心に誓い合ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます