第13話 小屋の管理者(1)
っ!…ヤバい!!
全く警戒せずに小屋を出て帰ろうとしていたので、木の
明らかに異常な異世界への扉、管理しているとしたらどんな秘密結社的な組織なのだろうか…?
あぁ…終わったかも。
ただの大学生に抗う方法もなく、あっさり消される未来が見えた。
冷や汗をだらだら流しながら、ほぼ金縛りのような状態で出てきた相手を注視すると、出てきたのは黒ずくめのスーツ姿!…ということはなく…あれ?見覚えがあるぞ。
…あれは、キャンプ場の管理人?
それは人の善さそうな温和な表情を浮かべ、キャンプ場のロゴの入ったベストを身につけた中年のおじさんだった。
おじさんはニコニコしながら近づいてくると
「ちょっと良いかな?あの小屋うちが管理してる物なんだけど、中に入りました?」
と聞いてきた。
え、あれキャンプ場の管理なの?一気に庶民的というか、危機感が去ったというか…
あーでもあのタイミングなら絶対小屋から出てきたのバレてるよな…ここは正直に答えよう
「あっはい、すいません。ちょっと中に入らせて貰いました」
「放置してるから別に構わないけど、どうしてこの場所へ?うちのお客様かな?」
うわっと理由か!?確かに普通来ないよな!?
「えぇ、昨晩泊まらせて頂いて…こちらへはちょっと山頂に向けて散策しようと思いまして」
「そうですか。登山道として整備されていないから危ないですよ。私共も宿泊して頂いたお客様に何かあったら悲しいですので、お気を付け下さい。あーあと、小屋の扉って開けました?」
おぅふっ、全く整備されてない山登るなんて怪しすぎた!山菜採りにうろついてたことにした方がましだったか!?しかも扉!うわっどう答える?…そもそも出てくる所に居合わせるってことは何かで把握されてるんだよな…
やべぇまた冷や汗がドバッと噴出してきた!…とりあえずあっちに行ってないことにだけしとくか!?
「す、すいません。…扉はちょっと開けただけで、奥には進まずに閉めました」
「そうか、ちょっと開けただけか。うん」
おじさんは頷くと、
「そういえば自己紹介がまだだったね、私は
と言って、こちらに手を差し出した。
「あ、どうも」
そう言って思わず反射的に握手をすると、その瞬間両足を払われ、俺の体は手を握られた状態で振り子のように、足が上に頭が下になっていた!
うわっ!ちょっ頭から落ちる!受け身!
いきなりなことに、なんとか高校の体育で習った柔道の受け身を取ろうとあがくと、
握った手と背中の服をグイッと引っ張られ、あれっと思う間に、スタッと足から着地していた。
へっ?無事?
「えっと…?」
認識が追い付かず目を白黒させていると、おじさんは
「ふむ。
と呟いたあと、
「おーい、出てきて良いぞ!」
と声を上げた。
すると木の陰から小柄な人が出てきた。
…もう一人居たのか。全然気付かなかった。
出てきた相手を見ると、鋭い目つきで凄く整った顔立ちをした、女の子だった。
そして高校生ぐらいに見えるその女の子は、存在感のある大きな銃を両手で抱えていたのだった!
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