第2話 道具に踊らされる人々

 欧米、特に米国人が好みそうな言葉に『Time is money』という言葉が有ります。

『時は金なり』という直訳でご存じの方も多いと思います。

 まさに我々人類が道具たる貨幣に弄ばれている事を如実に示しています。

『どんなにお金を注ぎ込んでも、長い時間をかけて育てられた人の経験値や得られた知恵は、買うことが出来ない』というのであれば、主人たる人間の尊厳は損なわれなかったでしょう。

 しかし、インターネットが普及し、ChatGPTのようなツールの出現は、新たな経験と豊富な知恵を提供してくれるようになりました。

 勿論、より良いサービスは課金によって実現します。

 結局、『時は金なり』だけが残り、『タイムパフォーマンス』なる、訳の解らない単語が大手を振って闊歩してしまうのです。

 無駄な事は排除し、必要な事を細大漏らさずごく限られた時間と費用、コストで理解したいという欲求が『タイムパフォーマンス』の原点だとするならば、人は実に軽薄短小なものに成り下がったものだと思います。

 世の中には情報が溢れ、ともすれば、情報に振り回されてしまいます。

 ある種の信念を持たなければ、柳の枝のように、風が吹けばただなびくだけ、恐らく情報の波に呑み込まれてしまうでしょう。

 ある種の信念が正しいかどうかは、分かりませんが、間違いがあれば正し、新しい発想が理にかなっているならば、取り入れればよいだけの事なのです。

 それに気付けない限り、人は『時は金なり』を崇敬し、道具に弄ばれてしまうのです。

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