第19話 脅威

「バシャ~~~ン!」でかい水圧音を鳴らしながら南条と佐竹はチャグレス川へと飛び込んできた、先に川へと飛び込んでいた青葉は急いで二人が飛び込んでいった位置へと泳いで向かった、「ブハァ~!」すると先に佐竹が水面から顔を出した、「南条さんはどこにいる?」顔を浮かしながら青葉は佐竹に問いかけた、するとその数秒後に南条が顔を出した。「これからどうする、泳いで岸辺にでも行くのか?」川の中央でしばらく三人は浮かび続けていた、「いや、その必要はない」そう応えると青葉は何かに気づいたかのように指を指した、すぐに青葉が指差す方を振り向くと、こちらに向かって走る小型のボートの姿が見えた、「あいつか、」。





「任務は上手くいったんですか?」ボートから降り浜辺へと足を踏み入れた三人に畠山は率直に浮かんだ疑問を問いかけてきた、「USBは取り返した、だがまた新たに一つ疑問が浮かび上がってきた」異様な目付きで応える青葉の様子に畠山は困惑し理解できなかった、「はぁ…はぁ…」南条は佐竹を浜辺の奥へと歩かせると、砂の上で力尽きるかのように倒れ込んだ、「疑問というのは、どういう事です?」

「あいつを見てみろ、今まで俺達の任務の時に必ず行手を挟んできた佐竹の依頼主が仲間の一人である可能性がある」

「え?一体どういう事です」すると南条が倒れた状態のまま二人の会話に口を挟んだ、「仲間以外にしか知らない情報を佐竹は持ってた、そう言うことだ」するとようやく畠山は状況を理解することが出来た、「じゃーこれからどうするんですか!せっかく手に入れた設計図は疑いのあるTIMEに渡せませんよ」畠山は思わず頭を抱えてその場を彷徨き回った、「フー!」何者かが息を吐いた音が聞こえると次の瞬間、突如油断していた南条のポケットから銃を奪い取った佐竹は、痛みに耐えながら浜辺から立ち上がると銃口を目の前にいる南条へと向けた、すると慌てて青葉は拳銃を抜き取り対抗するかのように佐竹へと向けた、「体の半分が火傷を負ってかなりの重症なのにまだ争う気か?」南条は咄嗟の出来事に慌てる様子はなく冷静だった、「今すぐ設計図をこっちに渡せ、」佐竹はこの後に及んで再び設計図を奪おうと企てた、「それは国家を守る鍵だ!お前達の手で処分することは決して許されない」佐竹はふらつきながらも強い口調でそう言い放った、「いいから早く武器を下ろせ!」青葉は息を呑んで佐竹に警告した、「待て青葉!俺達はまだこの設計図を狙い続けた真相を知らない、真相を知れるそれまでは、俺達は設計図を破壊することが出来ない」そう言い終えると南条は青葉に銃を下ろすよう促した、「でもこいつはまだ何かやる気ですよ」しかし青葉は素直に銃を下ろそうとはしなかった、すると、「ドサッ、」南条に銃口を向けていた佐竹が突然握っていた銃を浜辺に落とし、その後佐竹は膝から倒れ込んだ、「おい!しっかりしろ!」慌てて三人は倒れ込んだ佐竹のもとへ駆け込んだ、「馬鹿が、こんな体で無茶しやがって、」青葉は呆れた表情を浮かべながらも佐竹の応急措置をし始めた、「まだこいつを死なせるな!聞きたい事は山程あるんだ」すると、意識が朦朧としているなかで佐竹は南条の腕を掴んだ、佐竹は南条に何か伝えようとしているのだと、咄嗟に南条は感じ取った、「どうした!?お前を雇っていた人間は誰なんだ?」。



ふと顔を上げた青葉は、何故か不審に立ち止まって遠くの方を見つめている畠山の姿に疑問を浮かべた、やけに畠山の目付きは普通ではなかった、「何してるんだ?畠山、」青葉が話しかけると畠山は驚いた様子でこちらに反応した、「ビッ、ビッ、ビックリした!、一体な、なんですか?」青葉は不審な様子の畠山を一先ず気にすることなく話し続けた、「これからUSBを本部に届けに行く、応援武体を呼んでくれ」。






二時間後、南条、青葉の二人は本部のある地下洞窟へと繋がる氷河地帯へとジェット機から降り、そのまま近くに建設されているエレベーターへと乗り込んだ、そして畠山は治療を受けている佐竹を監視する為ジェット機へとそのまま残った、やがて巨大なエレベーターを降りると、二人はいち早く斎藤のいる司令室へと入っていった、中に入ると既に部屋の中には斎藤と職員二人が各々作業を行っていた、ふとこちらに気がついた斎藤は軽く笑顔を見せると二人の方へと歩いてきた、「よく二人とも無事に戻って来てくれた、列車内での事件はニュースで目にした、さぞかし過酷だったんだろう」斎藤は優しい口調で二人に話しかけた、「えぇ、難しい任務でした」

南条はそう応えると斎藤は手を肩にのせて、顔を見ながらゆっくりと頷いた、「君にはすぐにでも家族の元へと帰してやる、これでやっと娘にも会えるぞ」   「えぇ、そうですね」

優しい視線を斎藤は南条に向けながら、手を差し出した、「これで悪人達から核兵器を使うことを阻止できた、さぁ、USBを渡してくれ、南条」

すると南条は懐から手を入れた、「俺は早く娘と会いたい、だが俺が任務に参加した理由は娘に危害をあわせない為だ」 南条が放ったその言葉に斎藤は一瞬思考が停止した、「貴方は仲間だとずっと思っていたのにぃぃ!」すると突然南条は懐から拳銃を取り出した、そしてすぐに目の前いる斎藤の顔に銃口を突き付けた、「どうして佐竹を使って俺達を襲った?」南条は涙ぐみながら斎藤に問い詰めた、しばらく斎藤は目を瞑り黙り込んだ、「どうして!!」   「お前達は始めから用済みだったんだよおぉぉぉ!」突然、これまでに見せなかった斎藤の真の本性が露になった、「USBを渡せ、今すぐにだ!」 すると横からも青葉が斎藤に向けて銃を突き付けた、「貴方には失望しましたよ、」二人からの銃口で下手に動けなくなった斎藤に南条は追求をし始めた、「まず斎藤さん、どうしてそこまで設計図が欲しかったんだ、最初はテロ行為を食い止める筈じゃなかったのか?」    「日本は世界で唯一の被爆国であり、世界の平和を望む国である、それは勿論非核三原則や三大主権で国々に発信してきた、しかしながら、現ロシアは無抵抗である隣国ウクライナに戦争を仕掛けている、今この時代では、ただ平和を訴え続けるだけではいけない世の中になっているのだよ、この先中国から突然の侵攻が訪れるかもしれない、我が国を守り抜く為に脅威となるものが必要なのだよ」斎藤はそう話すと向けらている銃を掴んだ、「戦争は駄目だ、あの設計図を手にした奴は皆が脅威に酔いしれておかしくなった!核兵器なんか決して作ってはいけないんだ、誰も幸せになんかなりやしない、」

南条はそう言い放つとグッと持ってる拳銃を力強く握り締めた、「そうか、なら力強くで私を止めて見せろ」 次の瞬間、司令室の扉からTIMEの特殊部隊達が一斉に部屋へと突入し始めてきた。

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