第12話 決死の救出

ようやく攻撃チームは、敵要塞の裏道へと到着すると、すぐに壁のドアを打ち破り、警戒しながら中へと侵入した、辺りは薄暗く明かりが無いためライフルに取り付けられたのライトが救いになった、「Clear、」隊員がそう言い放つと一度武器を下ろした、内部のルートは二つに別れ、このまま一階を探索するか、上へと上がるかの選択を迫られた、「What will you do Nanjou?(どうする、南条?)」 隊員達は南条の選択に任せると告げた、しばらく南条はその場で考え込み、南条と他二人が上の階へと向かい、その他は一階の捜索を任せると応えた、その頃青葉は、

「なんとか、耐えてくれぇ!」 αチームが耐えしのぐ敵の猛攻はさっきよりも激しさを増していき、弾が命中し絶命する隊員も現れだしてきていた。

「バン!バン!」武器を構えながら2階に設置された多くの部屋のドアを蹴り倒し、捜索を続ける南条は焦りを感じ始めた、「加藤!どこにいる!」 必死に部屋を探し回っていると、突然一人の隊員が驚いた声を見せた、その部屋が気になり、すぐにその場へと向かうと、部屋には痩せ細った子供の姿があった、「なんて事だ、これが青葉の話してた人身売買の子供か」 悲しげな顔を見せる子供の顔を見つめていると、突然後ろから何者かが南条達に殴りかかってきた、「グゥヮ!やめろ!」狂気じみた顔を見せる敵の男は南条の背後に回り込み、必死に首を抑えつけようとするのを南条は苦し紛れになんとか手で相手の腕を離して、敵の体を一回転で回し投げた、「がぁぁやゃゃー!」投げ捨てられた男は、衝撃によって動かなくなり安心していると他の隊員が敵と激しく争っているのに気がつき、南条は敵に向けてライフルで弾を撃ち放った、「バーン」 弾は命中し敵の男はその場に倒れこんだ、「先を急ごう、このままだとαチームは全員全滅する」南条は真剣な目付きで二人にそう訴えた、隊員は黙って深く頷くとすぐに別の階へと走り出した。




「Ha aparecido un intruso!(侵入者が現れました!)」 ブラックの部下の一人が突然扉を開いて拷問部屋の中へと駆け込んできた、部下の額は大量の汗を吹き出し、焦った表情を見せていた、ブラックは疑問を浮かべながらゆっくりと椅子から立ち上がった、ふとブラックの奥を覗くと、手足を縛り付けられ、長時間の拷問を受けた影響で頭から血を流し疲れきった様子を見せる加藤の姿が見えた、「no se quien、 Instalado en todas las áreas activa la bomba(何者か知らないが、エリア全てに設置された爆弾を起動させろ)」 ブラックは部下の目を合わせることなくそう言い放ち、ライフル銃を手に取った、部下は命令を受け入れると、すぐに部屋から飛び出していった、「はぁ…はぁ…はぁ…」 ロープで縛り付けられ身動きの取れない加藤はふとブラックの方を振り向くと、血だらけの顔でニヤリと笑みを浮かべた、ブラックはライフル銃に弾を詰め込み終わると、無理に余裕をかます加藤の頬にライフル銃で殴り倒した、「グゥ!」加藤は床に倒れ込んだままブラックは部屋を出ていった。

「加藤!どこにいるんだぁ!」 警戒を怠らず加藤を探し続ける南条には、時間との焦りを感じていた、やがて、とある部屋の前へと辿り着くと、瞬時に不審な気配を感じた、ドアの左右に隊員と南条は配置につくと、一斉にドアを蹴り倒した、「¡Guau!ー!」すると中から刃物を持った男が襲撃してきた、「Fire!」次の瞬間、近距離にいた隊員の一人かすぐに男を発砲した、「バン!バン!」 白目を浮かべて男はその場に倒れた、他に敵がいないことを確認すると三人は部屋の中へと入った、「Is there really a man with a blueprint?(設計図を持った男は本当にいるのか?)」 隊員の一人か焦燥した表情で南条に問いかけてきた、「You must be here!(必ずここにいる筈だ!)」 南条は一瞬気持ちが揺れ動いたが、加藤がいると信じ、隊員に応えた、浮かない顔を見せながらもその隊員は部屋を出た次の瞬間、突然敵から銃撃が飛んできた、「ダダダダダ!」 部屋を出た隊員は瞬時に避けることが出来ずその場で何発か撃たれてしまった、「配置につけ!」 すぐに南条と残りの隊員は武器を構え、ドア付近の壁を盾にして、対抗しだした、「Come On!(しっかりしろ!)」 撃たれた隊員は悶えながらその場に倒れ込んでいる、必死に南条は諦めるなと隊員に言い続けたが、敵の刃は緩めることなく倒れている隊員に向けて弾を撃ってきた、「ダダダダ!」 敵の撃った弾丸は倒れた隊員の右膝に命中した、「NOーー!」 隊員は痛みに耐えきれず叫びだした、「畜生、Don't die here, come over here!(ここで死ぬな、こっちに来い!)」 そう南条は叫ぶと敵に向けてライフル銃を撃ち続けた、「Come over here!」 しかし隊員の顔を見ると、今にも限界を迎えようとしていた、「I'll ask for the rest(後は頼む)」 倒れた状態のまま隊員は静かにそう南条に囁いた、「待て、よすんだ、諦めるな!」 必死に止めようと言い続けるも隊員はリュックのポケットに装備していた手榴弾を取り出した、「ここから離れろ!」南条は咄嗟に気づいてもう一人の隊員の背中を掴んで部屋の奥へと逃げ込んだ、そして三秒後、手榴弾を持った隊員のいる付近から爆発が起きた、「ドーン!」 南条らは爆風によって身体を遠くへと飛ばされ、部屋の壁を突き破り廊下へと投げ出された。

青葉がいるαチームでは、ビルからの突然の爆発に驚きを見せ、最悪な状況を予想し始めていた、「Are you ok?(大丈夫か?)」 身体を打ち付けて瓦礫に倒れた南条をもう一人の隊員が慌てて気付き、南条を起こそうと呼び掛けた、「ヴヴぅ、」 南条はなんとか目を覚まし瓦礫を払って立ち上がった、「先を急ごう、」南条はそう隊員に告げると再びビル内を走り出した、やがて狭い廊下を走り抜けていると、上から何者かの声が聞こえてた、南条は足を止め静かに耳を澄ますと、斜め上の階の廊下で部下に話している、あのゲラート・ブラックの姿を見つけた、だがブラック側もこちらに気がつき、上から銃を撃ちつけてきた、「伏せろ!」 慌てて南条と隊員は廊下の手すりに隠れ対抗した、「バン!バン!」

「加藤は恐らくあそこにいる!」 すると隊員の一人は自分が援護すると南条に告げて、すぐに銃で弾を撃ち始めた、南条は黙って頷き、上の階に繋がる階段の方へと走り出した、南条はライフル銃を握りしめ全速力で廊下を走り抜けた、「Activa la bomba inmediatamente.(ただちに爆弾を起動させろ)」 下の階にいる隊員に弾を撃ち続けていたブラックは、焦りを感じ始め、部下に爆発の命令を下した、「はぁ…はぁ…」 息がきれだす南条はようやく階段へと到着すると、武器を構えて慎重に階段を駆け上がった、やがて階段を上りきると、不審にドアが開いたまんまの部屋が奥の廊下に見えた、「あそこか、」奥の部屋へと走り出した次の瞬間、奥の廊下から再び爆発が起きた、「 ! 」 そして数秒後に次は少し前の廊下で爆発が起きて行き、爆発が徐々にこちらへと近づいてきた、「まずい、」 南条はすぐに近くにあった部屋へと身体を投げ込んだ瞬間、さっきまで立っていた廊下で爆発が起きた、「ドーーン!」

粉屑が南条の元へと吹き飛び、思わず目を覆った、「ゴホ、ゴホ」 咳き込みながら南条は立ち上がった瞬間、突然銃弾が南条の元に飛んできた、すぐに南条は壁に身を隠し敵の弾丸を防ぎながら、時々ライフル銃で引き金をひいた、その場は激しい銃撃戦と化し、不発弾によって壁に飛び散る粉が、南条の視界を悪化させた。

その頃、拷問部屋に取り残されていた加藤はなんとか手にしたナイフで必死にロープを切ろうとしていた、その時、部屋の中で不審に赤く点滅を繰り返す箱を見つけた、やがてそれが爆弾であるという事に気づくと、更に焦りだして素早くロープを切り続けた、「クソ、クソ、早くちぎれろ、」 加藤は計り知れない死の恐怖が襲い始めた、「畜生、早く切れてくれ!」。


「カチ、カチ」 ようやく敵の弾が無くなった次の瞬間、南条は壁から飛びだし敵に向けて引き金を引いた、「バン!バン!」 弾は敵の急所に命中し、そのまま敵は絶命した、「はぁ…」 疲れきった様子で南条は銃を下ろし、一度青葉に無線で連絡をした後、すぐに奥の部屋へと向かった、「クソ、クソ!」 加藤は焦りながら必死にナイフでロープを切り続けていると、思わず焦っていたせいか、ナイフを手放してしまった、慌ててナイフを取ろうとするも、身体は床に着いたまま手を伸ばす事が出来ずナイフがどうにも取れなかった、その瞬間加藤には死が向かっている絶望感が一気に押し寄せてきた、「そんな、ガァーーーーーーー!」 加藤は絶望で叫んだその瞬間、何者かが部屋の入り口に突如駆け込んで来た、「!、おい頼むロープを離してくれ!早くしろ!」 パニックに陥っている加藤は必死に助けを呼び続けた、「あなたが加藤さんですね、ようやく会えることが出来た」 南条はそう呟くとすぐに縛られているロープをほどき始めた、「お前は誰だ?」

「私はあなたと同じく、TIMEに所属する工作員の南条です、ずっとあなたを探していた、設計図のUSBはどこにあるんですか?」

「フッ、斎藤の司令という事か、USBなら俺の靴の中に入れてある」 「ならよかった」

そう話している間にようやくロープがほどき終わった、「すぐに逃げよう、ここはもうじき爆発する」 そう告げたその時、「ジャキ、」

南条の後頭部から銃を突きつけたブラックが姿を現した、「ユーエスビー、渡せ、はやくしろ」 ブラックは睨みつけながら設計図を渡すよう言いかけた、後ろの見えない南条はブラックが目線で見える加藤の表情で状況を判断した、「はやく渡せ、」そう話すとブラックはゆっくりと銃のレバーを下ろした、ブラックは今にも引き金を引こうとしている、すると南条はゆっくりと後ろへ身体を向けた、「!?、おまえ、誰だ」 「悪いなブラック、お前の負けだ」 すると次の瞬間、南条は加藤の上半身を握りしめたまま部屋の窓を突き破って外へ飛び出した、「!?」

二人が窓の外から飛び出した、その数秒後に拷問部屋の中から爆発が起きた、窓からは赤い炎が勢いよく飛び出してきた、そして窓を突き破った南条らは二階下、反対側の廊下に運良く背中から落ち、急死に一生を得た、加藤はふと上を見上げると、さっきまでいた部屋が燃え上がる姿に、言葉を失った、 「おい南条、すぐにここを出よう」 すると南条の横で落ちていた無線から誰かが応答するよう話す声が聞こえてきた。

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