異世界生活・4日目

朝の礼拝が終わりました。土下座の大人達は、今日は土下座はしていません。昨日のお願いが効いたようです。いつものように寄付の仕分けをしようと倉庫に居たら、エドさんに呼ばれました。

エドさんの部屋には土下座の大人達が勢揃いしています。狭い部屋なのでけっこうな密度です。正直暑いです。視線も気温も。なので、神殿内にしませんか?と提案してそちらへ移動します。


土下座の大人達は全部で6人。教会本部の偉い人たちだそうです。役職とかは聞いてもわからないので覚えていません。エドさんもこの人達と同じくらい偉い人なんだそうです。

その中で一際偉そうなお爺さんが、私に本部へ来ないか?と言ってきましが、私はこの場所に愛着を感じ始めていたので断りました。…美味しい食事は惹かれます。それでも、子供達も来てくれるし近所の人達も優しいし。なにより、得体のしれない私を拾ってくれたエドさんに何か恩返しがしたかったので。


一番偉そうな人が「セイジョ様のご意向なら仕方ない。また伺っても良いですかな?」と言われたので「いつでもどうぞ」と、うっかり答えてから慌てて「エドさんが良ければ…ですけど」と付け加えました。危なかったです。私はココの居候なので、そんな出しゃばった事言えませんよね。それにしても、私の事をセイジョと言っていたけど、セイジョって何でしょう?特殊な言い方なのかな?


お昼過ぎ、土下座の大人達は帰っていきました。入れ替わるように近所の奥様達がやってきます。孤児院向けの焼き菓子の寄付です。教会の分も頂いたので、これは有り難く頂きます。いっしょにお祈りを…と言われたので、頂いたお菓子を少しだけ女神像の前に置いてお祈りをします。また光りましたね。あ、お菓子が消えてます。女神様が召し上がったのかもしれません。奥様達も喜んでました。


そう言えば、女神様に飾ったお花はまだ枯れる様子がありません。そういう種類なのかもしれませんね。奥様達に改めてお礼を言って別れ、焼き菓子を孤児院へ持っていきます。孤児院までは少し距離がありますが、街の外れにあるので仕方ありません。

ここにいる子供たちは戦争孤児だったり、口減らしで捨てられたり、親が病気だったり…そんな境遇の子供達が十数名居ます。


孤児院では子供達が畑仕事をしています。ここで取れる野菜は孤児院で使われる分と、余った分を教会が買い上げて貧しい人向けの炊き出しに使われます。その他にも、街の中で清掃や店の手伝いなどをして外貨を稼いでいるようです。


個人で稼いだ外貨は独り立ちの為に個人で貯めますが、ここの子達はその中から、孤児院の為の資金として寄付もしているそうです。…なんていい子達なんでしょうか。この子達が幸せな未来を手に入れられるよう、女神サマに祈りたいと思います。


さて、焼き菓子は孤児院の院長先生に渡します。奥様達からという事を伝えるのも忘れませんよ。子供達が窓から覗いていますね。きっと後で起こられるんだと思いますが、キラキラした瞳で見ている子供たちはとても可愛いです。

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