レベル9億のモブ生徒 ~ハーレムによって幼馴染を奪われた男の復讐物語~

星野海豚

一話 最悪な日常

「きゃあ!?」

「ちょっと誰?!」


今でもあの光景は目に焼き付いている。


「リリア...?」

「オルス...」


俺の幼馴染のリリアが一人の男...ヒロ・マイン・キャクティーズと一緒に全裸になってベットの上に居た。

しかも二人じゃない、他の女も二人いた。

部屋の中には色々とキツイ匂いが充満していた。


「はぁ...あんた女は貰ったぜ...こんな最高の女お前見たいなモブキャラに渡すわけないだろ?」

「リリア...嘘だろ...?」

「——ごめんなさい、もう貴方では満足できないの」


俺はその後どうやって部屋を出たのか覚えていない、気づいた時には屋上で柵に寄っかかっていた。

そこで結論つけたのは、幼馴染はあのクソ男に寝取られた事だった。

すぐに柵から離れて、その日はもう寝ることにした。


_____



「オルスくん、最近成績が一気に落ち込んだが何かあったのかね?」


俺はあの日から勉強や魔法の訓練が全く手につかなくなってしまった。

その所為で成績も最悪だ、先生は毎日相談を持ちかけてくるが、そんなこと言ったって何のためになるのか分からなかった。

毎日ずっとリリアの事しか考えられない時期もあった、頭がおかしなった時期もあった、そんな事があっても俺はなんとか自分で死なずに生きていた。


「オルスくん...一緒に勉強しに行こ...?」


これは夜の誘いの合図だ、俺はレベル9億と学年最高、ヒロは俺よりレベルが1低い、だがなんでこんなことになったのだろう?

あの日移行俺は不能になってしまった、お陰で性欲も何も湧かない。

俺も何か間違っていたら...ヒロの様なハーレムをしていたのかな。

黙って毎日女を堪能する日々を過ごしとけば...良かったのか?


——そんな事は考えないでおこう。


俺は本当にリリアの事が好きだった、だから他の女から誘われても断ってきた、初めてはリリアが良かったから。

リリアの体は最高だった、あんな体は他の男には渡したくなかった...なかった...。


——なんで俺って生きているんだろう?


俺はそう思いながら、何となく校舎周辺を歩く日々を過ごしていた。

何か少しでも生きる理由が欲しかったのだ。


ある日校舎裏で泣いている女の子が居た。

その人物の正体はすぐに分かった、あの日ヒロと共に夜を楽しんでいた女だと言うことを。

俺は見捨てようと思った、何故ヒロと一緒に居ないのか疑問だった。


「——どうしたんですか?」

「...」


彼女は黙り込んだ、だけど何故泣くのか、人に言えない秘密なのか...?


「——アレが来ない...」

「アレ...」


アレと言う単語の正体が何故かすぐ分かった。


「前から来なかった...




妊娠した」


その後した事は単純、彼女...ソフィアと一緒にヒロの元へ突撃しに行った。

そしてヒロから返ってきた返答は...。


「——知らないね、そんな事」


俺は絶句し、ソフィアはその場で泣き崩れた。


「——テメェ...いざと言うときに無責任過ぎだろ!」

「はっ、生でヤる事を求めてきたのはこいつさ、俺はただ要望に応えただけ、そもそも彼女がそれを求めてきたのだから責任は彼女にある」

「は...は、ははは」


危うく納得しかけた、俺は否定したけど、もしかしたらそれを肯定する人もいるかもしれない。

——避妊してたんだ...まぁそりゃあね...ね...。


「その女は渡すよ、その最高の体を知った後に、俺に感謝するんだな」

「——するかよ」



_____



結局、妊娠はしていない事がわかった。

ソフィアとはほぼ腐れ縁の仲になってしまった。


とある日ソフィアから屋上へ呼び出された。


「恋人を取り戻したい」

「恋人?」


ソフィアには同性の恋人が居た。

だがその恋人もヒロにメロメロになってしまったという。


「貴方も幼馴染を奪われたんでしょ?」

「あぁ、将来結婚する約束もした」

「——復讐したいでしょ? あいつを学園を退学させるのよ」

「待って」

「?」


俺はふと疑問に思った事がある。

例えヒロを大学に追い込んだとして残された人達、つまり今までヒロの女だった人達はどうなるんだ? と。

残された人達は立ち直る事ができないかもしれない、俺みたいに急に生きる意味を失って成績がガクンと落ちたり問題行動を起こすかもしれない。


——なら最初は彼女達の目を覚ますしかないのでは?


ソフィアに今の考えを言った、ソフィアは悩んだが納得してくれた。


「ならまずはソフィアの恋人...リコって言ったな? 二人で話してみよう」

「——うん」


俺はやっと生きる意味を見つける事ができたのかもしれない。

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