田毎の月

月瀬澪

インビジルムーン


 三日月は目に見えぬと、

 よろずの神におどされて、

 そんなことないと、

 怒りを請うたのは、

 遥か昔の与太話。


 さてさて、

 あなたはどうして、

 そんな世迷い事を、

 信じてしもうたのか、

 誰も彼も、首を振る。


 さぁ、並べ。

 私の仕舞いに、

 あなたも寄り添えたもう、

 一寸でも声を掛けたら、

 そこは黄泉の国。


 順番に、食べてやろうか、

 言霊を、喉が焼けるほどに、

 目に見えぬ月の妖怪と、

 魅了されぬも、愛を従えよう。


 幻の万華鏡、そこは、

 くるくる、狂う狂うと、

 かかとを踏みしめ、

 あなたとてつを噛む、

 丑三つ時の桃源郷。


 おいで、おいで、おいで。

 瞳に今様色いまよういろを閉ざせば、

 情熱は二度と語ってくれるな、

 永遠とわが誰が為に虚ろを明かさん。



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