第三話 alive 3

「うわっ、めちゃくちゃ寒っ。くっそー、だから外に出たくなかったんだよな.....」


 何故寒いって?外気温がマイナスだからだよ。コレは地域にもよるとは思うが東北の1月の寒さを舐めてはならない。

 下手したら、外に出て一瞬で身体全体が凍傷になりかねないくらい、この地域はマジ寒いからな。雪もかなり降るしね。

 しかし今降っているのは、それはもう雪.......というより吹雪にも近いような荒々しい雪模様であった。

 それも結構な勢いでこちらに吹いてきてるし、かなり多い。

 地面は一面雪で真っ白で、その雪によって足が掬われて、いつもよりかなり動きづらかった。

 きっと北陸で雪なんかで喜ぶのは穢れを知らぬ子供と、九州ら辺にお住まいであろう県外人とかだ。

 俺なんてもう、この白くて寒い光景には既に見飽きたものだ。

 11月から3月の約4ヶ月の間はこの嘘のような地獄のような寒さが続く。

 寒いのに地獄と名付けるのは、暑さよりも寒さの方がつらいと感じるからだ。

 暑いのはある程度耐えられるが、寒さに関しては無理なことだ。


「いやぁでもほんと、家から結構近いって割と便利だなぁ。ここに作ってくれた人に何らかの賞をあげたいくらいだぜ。」


「ん、なに?俺が今いったい何をしているんだって?ふっふっふっ、それは愚問だな。そう、答えは簡単、俺はこの『24ths』スーパーで夜用の自分の大好きなお菓子を買いに来た。それで、いまそのお菓子を揃えるためにスーパーをずっとぐるぐる回ってるんだ。」


 ここまでを見てすぐに気づいたイケメンならきっと気づいたであろうが、至極残念なことに、俺はかなり独り言の多い、いわば一般社会的に見ても許容しきれないような、ちょっとヘンテコな人間であった。

 それは捉え方によっては、とても悲しい人といえば悲しい人だと捉えられるし、別にそれを可笑しくとも思わず、普通の常人まとみんなが思うのであらば、俺は常人だ。

 まあ、とにかく俺はかなり独り言が多い。

 小さい頃からぶつぶつ言っている。

 常日頃からそんな感じだから、俺が虚言癖なのかと親にずっと心配されていたほどだ。

 ちなみに、その残酷な事実を知ったのはつい最近のことであった.....。

 なんだろう、、、、、複雑。


「つーかさ、なんか俺のお気に入りなお菓子が無いんだよ。さっきからグルグルまわって探してるのに。おかしいなぁ。この前まではここのコーナーにあったはz@&。

こまっ.ち@_aw/なあ。やっP@_/&$*646〆。&p(_._&/#/。」


 ん?なんだ、なんだ?

 さっき、急に今まで感じたことも無いような不思議な感覚を覚えた。

 なんか.....どういうわけか理解できないが、急に呂律がどんどん回らなくなってきた。

 というか何がどうなっているかもが一瞬にして全てを理解できなくなってきた。

 完全に思考能力が鈍ってしまっている。

 一体俺はどうしてしまったというのだ。

 明らかにいつもとは違う感じだ。

 それだけは今の俺でもわかるくらい明確だった。

 ということは、俺の体に何かが.....貧血か?いや、まさか、脳卒中とか?いや、俺には何もわからない。

 原因はまったくわからないけど明らかにやばそうなことだけは、かなり明白なことだ。

 早くなんとかしないと。

 

「どag@).もgja@51或母奈屋話屋」


「ん?ん?ん?目の前が反転し、暗転した...。目の前が真っ暗だ。何も見えない。瞼が開かない。なんだ...これ?まt&@か。俺は死@_/だのk...」






 俺の意識は急にプツンと途切れてしまった。

 それは長期的な病的で違和感のある前触れも無く、まるで昭和のテレビのように、あっけなくプツンと切れた。

 苦しみとか、悲しみとか、それらのことをなにも感じる事なく、恐怖すら与えられず、何が起こったのかも理解することも出来なかった。

 そう、たぶん死んだのだ。

 俺はこの短い間が少し長く感じたが、その間、僅か10秒の事であった。

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