1 君と彼女と『はじまりのループ』(3)

「それで?朔也を助ける方法って?」

 病院の外に出た私は、彼女にそう聞いた。

「過去に戻るんです。」

「そんなの、どうやって?」

「……スマホを貸してもらってもよろしいでしょうか。」

「え、何するの?」

「晴香さんのスマホにタイムリープ機能を入れます。」

「そんなのどうやって?」

「そこはまあ……。秘密ですよ……。」

 彼女は面倒くさそうな顔をしながらそう答えた。何だか聞いたこっちが悪い気がしてきた。

「分かった。パスワードは――。」

「ああっと!言わななくても分かるので大丈夫です。」

「……そう。」

 これも聞くのは野暮な気がしたので、聞くのは止めた。


 ――しばらくして、彼女が私にスマホを返してきた。

「はい。これで過去に戻れるはずです。」

「ありがと。でもこれどうやって戻るの?」

「スマホのタイマーで時間を設定して、開始ボタンを押すとできます。」

「分かった。ちなみにこのスマホは普通に使えるの?」

「安心してください。スマホのタイマーの機能以外は全て同じなはずです。」

 スマホを開くと、確かに壁紙もアニメのキャラだし、アプリの配置も変わっていない。

「……ホントだ。」

「そのタイマーを今日の朝に設定してください。」

 私は言われた通りにタイマーを設定する。

「それでこの『開始』を押したらできるの?」

「はい。戻ったら朝イチで5階の空き教室に来てください。」

「……確認だけど、本当に朔也を助けられるんだよね?」

「……はい。詳しい話はで話します。」

「……分かった。」

 私は彼女の言葉を信じ、『開始』のボタンを押した。

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