第2話
「良し着いた!ここが軽音部の部室!」
「はぁ・・・はぁ・・・なんで軽音の部室ってこんなに隔離されてるの?」
紫苑が元気よく紹介をしてくれたのはいいが俺はもう疲れ切っており、息を切らしながら聞いた。
何せ目の前にある部室は学校の坂を登り、坂の上にぽつんと立っている一軒の小屋だからだ。
「俺も詳しくは知らないけど多分音が大きいからだろうな。学校敷地内だと吹奏楽とか弓道部、他の運動部とかもいるだろ?集中しなきゃいけない弓道や、演奏をする吹奏楽とかは特にいい成績を残しているからもし軽音の音で邪魔したらいけないからって事でこの小屋で練習しているらしい。」
なるほど。確かに軽音部は音も出るし、他の部活に比べればうるさいだろうから隔離されるのは分かるがまさかここまでとは思わなかった。その代わり思いっきり練習できる環境というのはいいのかもしれない。
「そんなに疲れてんなよ?入部したらここには沢山来ることになるんだからな。」
「まだ入るって決めていません~!ていうか今日めちゃくちゃ熱くない?こんなに熱くなる予報だっけ?」
「あ~それは多分あれだよほら」
紫苑は遠い目をしながら指をさす方を見ると、制服を着ていなければ小学生に見えそうな程低い身長に、黒く長い髪、気が強そうだが端正な顔つきをしている一人の女子がキラキラとした目をして部室内を見ていた。
しかも彼女の周りには熱気のような物が見えそうなほどメラメラしている。
「あの人って同じ一年生?」
「そそ。1組の美月咲桜(みつきさくら)だよ」
「他クラスの人か・・・どおりで見たことないって思った」
「普通に学校生活送るならクラスメイトさえ覚えれば何とかなるもんな」
「あ、でも1組は可愛い人が多いって聞いたよ」
俺は入学式に遅れたという伝説を残している一人の女子を思い浮かべながら言った。
「らしいね。俺も咲桜を入れて3人は可愛い人を知っているくらいだからな。でも1組の美少女を狙うならやめといた方がいいぞ。」
紫苑は人差し指を立てながら、言う
「何で?」
「名前は知らないけど、今年の入試トップで入学式遅刻の人は入学式の日に男子と一緒にご飯食べに言ってたらしいし、佐藤って人は誰とも付き合う気がないって事で有名だからね」
「あの美月さんは?」
「ああ・・・あれはね、可愛いし性格もいいんだよでも・・・」
そう言いかけた紫苑の言葉をさえぎるように、前の方から一人の女子がドドドド・・・と音を立てて走ってくる。
「あれ!紫苑じゃん!!!隣の人は?!」
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