Case3-19 少女

 ……――。

 ……――――――。

 ……―――――――――いつからだろうか。

 完璧な、闇の中をただよっている。

 藻掻もがいても何一つ掴めないこの空間の中で、ふと頭の芯の方から、焦燥が迫ってくるのを感じる。

 断続的に、満ち潮のように、寄せては引き、強まっては弱まり、だがその度に侵食を深めていくそれ。

 すると、やがて焦燥は実体を持ち始める。何も見えないはずの無空間の先に、粒ほどの大きさの「何か」がはっきりといる。

 満ち引きの拍子に合わせて、点滅する光のように現れては消え、その度にこちらへ迫り来る。

 逃げ出したい。どうしようもなく。

 声を上げたかった。

 しかし、体中は張り詰め、金縛りにあったかのように肉体は言うことを聞かない。何もできない。何もさせてもらえない。

 来る。

 「あれ」が来てしまう! 来ないで!

 私の命が終わってしまう!

 やめて!




「やめて!!」

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