第7話 コミックで寝落ち

 とりあえず部屋に戻って一息つく。ベッドの上に、文字通り大の字で仰向けだ。

 はぁー。疲れたー。

 まずは補給。とりあえず何か飲みたい。

 ふっふー。ここはもう、ビール一択だよね。一仕事終えた後の一杯! フー!


 早速、注文っと。つまみはどうしようかな。そこまでお腹が空いているわけじゃないし。

 ――と言いつつ、唐揚げも一緒に注文。

 ベッドの上であぐらをかいて注文すると、いい具合にボトっとマットスレスレに落っこちてきた。



「プハー」


 んまい! ビール最高! 

 唐揚げをつまみ始めたら、なんだかもっと欲しくなった。

 ピザを追加。

 ああ、もう。このぐうたら感よ。言うことないなあー。なんか、会社から帰ってきた金曜の夜を思い出す。


 そういえば俺はぐうたらな人間だった。服は乾燥機の中から出して着ていたし、ゴミ捨てにも手こずっていた。

 一人暮らしだと誰にも注意されなかったから、どんどんダメ人間になっていったんだよな。

 そういや、でも、誰からも何にも文句を言われないな。




 ……寝てた。いつの間に!?

 お腹いっぱいになって、あくびをしたところまでは覚えているんだけど。

 ま、いっか。

 誰に迷惑をかけるでもないし。

 今、何時かな――っと思ったところで、時計がなかった。時間の感覚がつかめないのって、結構不便かも。

 

 とりあえず。魔力と体力を満タンにしておこう。

 魔力ポーションも体力ポーションも何度かコピーして全量使い切った。もう50程度の回復じゃ面倒だから、もっと上等なポーションを買う必要があるな。

 なので、在庫は一斉処分とあいなった。



 ……はあ。

 ……ふう。


 ……暇だな。


 いつもならスマホをいじってるところだけど――――――――!!

 いいことを思いついた。

 スマホアプリなら、いけるかもしれない。


 ふっふー。早速検索。

 おっほ。出てきた出てきた。懐かしい。スマホの画面に並んでいたまんまだ。


 へー。なんだ。魔力50からいけるじゃん! どうしよう。四つ、いや、三つにしとくか。

 いや、やっぱこれっばかりは。四ついっとこう!

 と、その前に。こっちの世界でもちゃんと機能するか確認しないとね。


 俺は、WEBコミックアプリの「ウィークリー+」を選択した。

 一瞬だけ、ぐいっと引っ張られるような圧を感じる。これがダウンロードする時の感覚なのか?

 ステータス画面のアイテムのところに、ちゃんと「ウィークリー+」が表示されている。


「じゃあ、いくぞ。えいっ!」


 ステータス表示と同じように、目の前にアプリのトップ画面が表示された。

 よっし! よっし!

 ページもめくれる。操作もおんなじ。これでコミック読み放題だ。


 じゃあ、遠慮なく。お馴染みのコミックアプリをもうちょっと追加しておこう。

 結構あるけど、やっぱりよく見ていたものを。うーん。でもま、これか。


 と言う訳で、選びに選んで、「ポケット漫画」「緑マンガ」「これでもかコミック」も追加した。


 読み始めたら止まらない。続きが気になっていた漫画を片っ端下から読んでいった。そしていつの間にか寝落ちしていた。




 しっかり眠ったようで、空っぽの胃が朝食を要求している。

 腹時計で朝だと分かる。


 パンとコーヒーでよかったんだけど、なんとなく変えてみたくなって、一度も頼んだことのない中華粥を注文。もちろんベッドの上でサクッとキャッチ。

 だいぶん慣れてきたなー。




 寝たい時に寝たいだけ眠る。お腹が空いたら好きなものを食べて、暇になったらWEB漫画を読み耽る。

 こんな生活って、何年ぶりだろう? 学生の頃以来だ。


 仕事のストレスもないし、というか、仕事していないし。いや、仕事するんだった――宮殿の。

 でも、もうなんだか、このぐうたら生活から抜け出せる気がしない。宮殿の仕事がどんなものか知らないけど、とても働けそうにない。


 アドルフたちはまだ俺のことを、尊いお客様のように扱ってくれているけど、いつまで続くかな……。

 俺って、所詮はへなちょこな訳だし。あんま使い物になるとは思えないんだよね。

 救世主の威光が消えた後もだらだらしていたら、「働かないなら出ていけー」とか言われて、一気に宿無しになる可能性もあるか。




 うーん。うーーん。


 ま、そうなったら、その時考えようか。

 それまでに、いっぱいアプリをダウンロードできるように魔力を上げとこう。

 夢は大型ショッピングサイトのアプリだからね。今はまだ怖くて必要魔力数すら調べていないけど。

 ああそれに、やっぱ相棒がほしいなー。前世はペット飼うのを我慢していたからな。見知らぬ土地で一人。モフモフに癒されたい。

 それと、文化的な暮らし。水道や電気もどうにかしたい。


「あー。よくぼうは尽きないなー」


 でもま、今は、「そろそろ働いてくれ」って言われるまで、とりあえずレベル上げだな。



Lv:11

魔力:5,120/5,500

体力:2,000/2,000

属性:

スキル:虫眼鏡アイコン

アイテム:ゴミ箱、デリバリー館、ウィークリー+、ポケット漫画、緑マンガ、これでもかコミック、19,560ギッフェ

装備品:短剣

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