第24-2話 戦艦でファストトラベル 後編
~~~発火器
ローナの試練近海の海賊島上、レクイエム艦橋
主砲発射の起動シーケンスを終え。
スクリーンに映る艦橋の反対側の砲が魔法陣に絡まれてランランと輝く。
なぜかバリバリと音が聞こえる。
砲身周りに影響がないのでプラズマ化ではないと思うけど魔法なのか…?
専用のトリガーにマリィの肘掛けが変形する。
スクリーンもマリィの射撃支援に集中している。
…着弾地点を予測してる。
風や、色々な力の計算をしてか着弾予定位置が揺れている。
サブ画面内では大騒ぎで戦艦へ走る人々が見える。
高精細のサブ画面はこのためだったのか…
画面越しに大騒ぎの眼下の島を睨みながら僕は会議を思い出していた。
~~~発火器
会議室
「今回の作戦の目標は海賊が拠点にしている島。 これの襲撃ですわ」
僕は拠点と戦艦を持つ海賊なんて海賊じゃないと思うけど。
電灯控えめの会議室の唯一明るく照らされた黒板の前でアリス嬢が語る。
ロックの情報で島の場所と戦艦の着陸時期は割れている。
今まで、一方的に狩りをしていた海賊なので撃たれ弱く、全速で向かえば丁度よく撃破可能だと。
デビット君が反応した。
「拠点持ちの敵か、今まで襲撃されたことのない拠点持ち…戦艦も動かす人間が下りていれば、ただの鉄の塊というわけか」
理解しやすい解説にアリスがほほ笑む。
僕も油断した相手はやり易いと思う。
「そうです、国相手ではないので宣戦布告無しに初手で戦艦の艦橋を潰しますわ。 幸い戦艦レクイエムには良い装備を積んでますわ。」
黒板に貼られた図面には魔導砲の名前として、レクイエム砲とある。
フネと同じ名前だ!
この砲を運用するためのフネだったのだろうか?
「この最大魔法出力は…ドレッドノートの大型キャノンに近いです! このフネの砲は旧文明の魔導兵器です! 消耗で落ちないようにレクイエム砲だけエネルギー系統が独立してありますね。ドレッドノートの火力なら動かない艦橋なんて楽勝です!」
機械に詳しいエリス嬢がじっくりとスペックを見ながら楽しそうに語る。
マリアの話とだいぶん違うが特別な船を貸し出されたみたいだ。
ドレッドノートの大型キャノンは回避戦闘機動中の戦艦に掠っただけで艦橋を破壊した実績があると言う。
あの砲並みの兵器か!
一方的な戦いになるだろうがこの機動力の敵に対して拠点を守りながら戦いたくない。
マリィと仲間が一緒なら勝つだろうけど。
ずっと拠点に張り付けるにはマリィはもったいなく感じる。
「いいね!戦艦を落とすよ!」
マリィがとっても乗り気だ!?
ずっと図面でレクイエム砲の撃ち方を見ていたからね。
押しちゃダメなボタンの出番に喜びを隠せていないね。
僕が何回も揺れてマリィを止める羽目になったボタンだ!
よく覚えている!
主砲発射シーケンスだったのか、なんて恐ろしい席にこの子を座らせているのだ。
~~~発火器
艦橋
魔法使いたちはアレスに置いてきた。
これから戦争に行くようなものだからだ。
現実逃避している間にマリィがトリガーをつかむ。
艦長席だからね…
責任の重い判断は艦長がするよね…
精製残弾数3●◇∴とあるけど…
実際にとんでもなく引き金の軽いこの子に大量破壊兵器のトリガーを引く機会が訪れたのは必然だったのかもしれない。
「目標確認!ファイアー!」
とても気軽にファイアーされてしまったレクイエム砲。
気軽に撃ち込まれたが威力は気軽ではない。
最初に命中した島の真ん中にある大きな建物は即座に爆発で瓦礫になって炎上した。
周囲を焼き燃え上がっている黒い炎は魔法の炎なのだろう普通ではない。
精製残弾数2◇∴とある。
「目標確認!ファイアー!」
次に当てたのは予定通り戦艦の艦橋だ。
もう少しで浮かびそうだったが、戦艦レクイエムに頭を押さえられたまま砲の餌食となった。
直撃した砲は艦橋を完全に破壊して、戦艦を巨大な動力付き鉄板に変えた。
ゆっくりと墜落する戦艦、今度は周囲の海ごと凍り付いていく。周りの木造海賊船もあれでは浮かべない。
多彩な弾頭なのか?
精製残弾数1∴だ。
ここまでくると最後の弾頭が僕も気になってくる。
…来た!
揺れてマリィに伝える。
「んんん? あれか!」
凍った木造船にとどめを刺しておくか迷っていたマリィが目標を変える。
「追加目標確認!ファイアー!」
ギュルンと砲の向きを真横に変えたマリィが即座にトリガーを引いた。
客観的にみると今の僕も大概だけど本当に軽いな!?
撃ちだした最後のレクイエム砲は着弾する前に魔法陣に変わり大量の雷を吐き出した!
襲撃された島から逃げようとしていた3隻の木製飛行海賊船は黒焦げに炎上しながら墜落する。
まだ続いている…雷の連続散弾だ…海上では冷静に潜れなければ生きて帰れないだろう。
砲はエネルギー切れだが、この戦艦には大戦士を筆頭にたくさんの戦士が乗っている。
これで拠点は潰した。
後はここに陣取って海賊狩りだ、のこのこと帰ってきた他の海賊や生き残りを殲滅するのがアリスの作戦だ。
結局その日のうちに3隻の船団を2つと単独の木製飛行海賊船を戦艦のラムアタックというよりは刺突斬撃とクラスメイト達がニクス型のアームキャノン連打で殲滅、ボロボロ、半壊の船は最後に拿捕してローナの試練付近にまで戦艦が刺して運び何かに使えるだろうと座礁させておいた。
拠点を潰した時に艦橋を潰した戦艦は任務を果たして帰還する戦艦レクイエムでアテナにけん引してもらい修理して今後のマリィのレベリングの足にする予定だ。
今回の作戦で両用戦艦の機動力、砲撃が気に入ったらしい。
修理と言っても艦橋が丸ごと吹き飛んでいるのでこちらの要望で弄れるらしいがマリィはレクイエムに似せてほしいと言っている。
砲は普通の物しか積めないだろうが甲板を弄り少し先端を鋭く改造だ。
レクイエムはアテナ製だったので、剣のガードのような配置や内装は再現してくれるそうだ。
いつの間にか、魔法使いたちと一緒にボウケンジャーに連れられてローナ予定地に来ていたエレノアが言っていたがこれでローナの試練で集めた遺産は半減らしい。
戦艦を改装しても使い切れない遺産ってとんでもないなローナ氏。
エレノアは乗ってきた戦闘馬車を簡易な防壁に改造しながら、マリィの資産を計上していた。
例の生首ゴーレムは残っている。
マリィが観光の目玉にすると言っている。
僕は彼が残ってくれるのはうれしい。
暇なときにピカピカと交信して仲良くなっていたのだ。
労働時間の交渉をしてあげないといけない。
戦艦は元々四角い形だったので剣とは言えないけど槍くらいには、なるのだろうか?
後付けするには、甲板下の刃状装甲は資源がかかりすぎて手が出しにくいそうだ。
マリィは今の正面から見て□型から▽型に削ってでも剣の形をとりたいようだが速度はともかく装甲が脆くなりすぎではないだろうか?
浮遊用のフロートの配置も怪しいと僕は思う。
マリィの貯蓄が半分吹き飛ぶのとと同時に始まる開拓が心配だが、王様の海賊討伐報酬を楽しみにしながらマリィにはのんびりと開拓を頑張ってほしい。
早々、提督業は無いだろうしね!
[確認]レクイエム砲_金属製_魔法弾を撃ちだす_[葬送予報]
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