新卒切符でアドミラル

第21話 学園長のお願い

 学園長のお願い


 〜〜〜マリィ

 アテナの学園への道で


 爽やかな秋の朝、黒色の魔導車を運転して学園からの道をゆっくりと走っている。

 学生が自動車通勤なんて良いのかって?

 もう卒業だよ良い学校だった。

 学園から出てきたのは、仲間達に王都アルテミスへ開拓開始の正式な挨拶に行く事を伝えるためだ。

開拓開始のために特別教室の皆は私と卒業だ!

この挨拶には開拓の副代表としてアリスも同行する。

このまま、全部の仕事を任せたい所だ。

 王都へは、このままマリアの実家への挨拶込みで行くので助手席を見るとマリアも乗っている。

 なんで飛んでいかないのかというと、王都付近の飛行が危険だからだ。


「しっかり前を向いて運転して。」


 危ないと注意されてしまったので前を向く。

 王城のアルテミスの弓は、この都市の壁であるアイギスの盾と同じ前時代の魔導兵器で貫通矢の雨を降らせるだけでも、とんでもないけど、サブシステムとして空中にいる存在の自動迎撃がある。


 王都に行くために貫通矢の雨での迎撃を抜けていくなんて勘弁してほしい。


 だから万全を期して、魔導車で行くのだ。

 遠出なのに魔力はアリスの全負担か?

 後ろの席をルームミラーで見ながら思い出す。


 〜〜〜マリィ

 学園長室で


「マリィ!よく来てくれたんだ」

 立派な机越しに座っているシールド氏が出迎えた。

 机の横に白髪で目立つアホ毛のある女の子がいる。

 魔法使いのレベリングで見たことのある子だ、頭を下げてくる。

 会釈を返して、シールド氏に向き直る。

「開拓のことで依頼があるとか?」


「そうなんだ。 魔法使いの護衛実績のある君のところで、魔法使いの開拓実地訓練を護衛してほしいんだ。 訓練するのは、この前マリィにレベルを上げてもらった子達なんだ」


 ! 

 開拓訓練前にレベルを上げておいて、事故を防止したのか。

魔法使い…アリスが大変すぎると考えていた所だ。


「その依頼、受けます!」


「助かるんだ。 代表としてこのリンを王都の正式な挨拶に同行させるんだ!アリスによろしくなんだ!」

 アホ毛の子が挨拶してくる。

「よろしくお願いします!」


 !!!

 アホ毛がピーンと立った!

 これは…魔法なのかな?

 一体、どんな魔法がかかっているんだ?

 知識のない私には、見当もつかない。


 〜〜〜マリィ

 魔導車の車内


 ルームミラーにはアリスとリンが映っている。

 やはり、リンのアホ毛がヒョコヒョコ動いている。

 動体検知か?目線と連動してる気がする。

 知覚の補助みたいなものかな?

 魔法は不思議だ。


「マリィ!前を見て…!」


 ジト目ででマリアに注意されてしまった…

 ちょうど馬車が横切る所だブレーキを踏み止まる。

 ちょっと、車がガクンと振動したけど大丈夫!少し壊れても専門家が二人もいるから安心だ。



 そういう訳で、女の子4人?と1個の車旅が始まった。

 実質大戦士3人とその補助の魔法使いパーティーだから凄く強力、道中は安全だろう。

しかも、アルテミスへの旅ガイドを買ってある!



 リンと発火器以外は、免許を持ってるので交代して運転だ!

 マリアも私が学校に行ってる間に魔導車の免許を取っていたらしい。

 

 前から思ってたけどなんでも出来るなマリア、戦いの立ち回りを教えてもらったし、私にずっと乗り続けても少し休めば復活するし、体力があって賢くって戦術もわかるって武門の家の子だったりするのかな?


 今回の旅でマリアの実家に挨拶に行くけど、娘はやらんって親父さんが武器を持ち出したりするんだろうか?

 スキル外で非殺傷の剣腹アッパーの練習が要るかな! 多少、負傷させても致命傷以外はマリアの奇跡があるから安心だ!


相変わらず、デコボコの街道を行く。(よくきた)


朝は車の外で私が拾ってきたキノコを発火器で焼いて振る舞う。

マリアが解毒の奇跡を使えるから、皆安心して食べてくれる。(いいのか)

…味はとにかく、毒があるのは避けてるから大丈夫なのに。

 運転は私が張り切ってやる。

たまに失敗するけどご愛嬌だ!

街道をガタゴトと走るのは、自分で走るのとはまた違った良さがある。

飛ぶのもいいけど運転で旅も良いな!


昼は車内できのこ採りついでに拾ってきた甘苦い山いちごを皆で食べながらアリスが運転だ。(貴公ら傾いているな)

アリスの運転はしっかりしていて安心できる。

つい、眠ってしまった。


夕方はマリア、いつも私に乗っているせいか速度感が狂っていて前進ペダルベタ踏みで速度メーターはずっと振り切っている!

前言撤回だ!


「どうやって、免許貰ったの?」


「外専用よ!」

道理で…


晩はお休みだ。


街道の足跡にハンドルを取られて危ないから緊急時以外は夜は停車しておくのが無難だそうだ。

アテナの雑誌なので魔導車のウンチクが載っていて楽しい。

北方面への旅なのでどんどん寒くなる。

お休み中は車のエアコンが大活躍だ!


夕飯のために、外で発火器がお湯を湧かすのを見ている。

積載に余裕があるので、いつものフライパンじゃなくてヤカンみたいな湯沸かし器だ。

しばらく、発火器の器用に火を使ってのマリアへの抗議、鬼マリアやらを見ていたら、お湯が湧いて蒸気がモクモク出てきた。

発火器とお湯入りヤカンを車に持って帰り、支店で買った海外のお茶の葉を放り込み皆のコップに注ぐ、あ〜車の中はあったかいな〜

「あ…」


携帯食を微妙なお茶と一緒にゆっくり食べたら…

座席を倒して皆で毛布に入って…

あったか〜い…

おやすみなさい…


[確認]アルテミスへの道 アテナ編_紙製_街道の地図がついている_記録可

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