ゲーマーのレベリング

第17話 雑魚を狙う

雑魚を狙う


~~~マリィ

特別教室


 試練突破の次の日、やる気の爆発した私は秋晴れの教室にみんなを集めて、レベル上げ…レベリング!の計画を伝える。

私自身もここで大戦士になっておくぜ。


「皆さんには私とレベリングをしてもらいます!」


 補助系の人もまとめて今のパーティごとに計画したので、みんなレベリングDA!最初にレベリングするアリスパーティに残ってもらって説明だ!

「まずはアリスパーティーからね!」

他の皆が帰ってから話す。


「みんなの戦いぶりを見せてもらった結果、私が探しておいた候補地の内、雑魚敵の大量撃破候補地を担当してもらうよ!」


「雑魚か…」

「うむ…」


雑魚と聞いて残念そうにする皆に私はゲーマーとして嘆かわしく思いながら、追加の情報を伝える。レベリングと言えば雑魚狩りだ!!!


「大量だからね!舐めてると痛い目に合うよ!だけど全部撃破したならレベルアップ確実だよ!」


矢継ぎ早に候補地を話していく、都市アテナ周辺でゲーム時の激うま狩場を情報集めて探し出した!

こんなの絶対にレベル上がるよ!間違いない。


「標的は3カ所!全部アテナ周辺だからアテナを守ることにもつながるよ!

一つ目は東の橋を渡った先にあるほろんだ街で、ここにはたくさんの魔導機械がいるよ!地下遺跡から出てきたみたいだから地下も倒す!

二つ目は南の岩石地帯の岩場で、魔物のサソリ狩り!魔法は無いらしいけど巨大だ!1メトルはあるサソリが繁殖してうじゃうじゃだよ!おいしい!

三つ目は西にある小さな森、ここには小鬼の集落があってここも繁殖して大量だ!」


「アテナの周りにそんな場所があるなんて驚きですわ。」


アリスが驚いている。

ほかのチームの獲物も聞いたら腰を抜かしちゃうかも?

それだけ、この街がシールド氏に守られてるってことだね!


「じゃあ実際に行ってみよう!まずは慣れてるだろう魔導機械から!ここの地下とタイプは一緒らしいけど、大型無し!楽勝!」


事前に揃えた情報を全開放しておく、倒しやすいところでレベルを上げておいてハードルを下げるのだ!



~~~マリィ

東のほろんだ街付近


「機械槍無しの小型ばっかりですねぇ~西の門が開いていて溢れてました~」


 道中の護衛と、退路確保にボウケンジャーに来てもらって、現地情報を更新する。

聖者の試練の時の、茶髪のおっとりポーラが欲しい情報をすぐに教えてくれる。ありがたい!


「ありがとう!西から突入するから、何かあれば信号弾をお願いするよ!即撤退する。」


 ボウケンジャーの戦闘馬車から降りて、ガチャコンと機械槍に装弾する。

地下はとにかく、まずは街の掃討からだニクス2型の初陣だ!楽しみだ!


「アリス!行くよ!西の門から突入する!敵は小型で武装少なし!街中を掃討!」


「門に雷魔法で足止め、…行けますわ!」


即座に作戦を思いついたアリスと一緒に皆もついてくる。

 アリスに今回の作戦を聞きながら。

魔導鎧の一団が機械の溢れる門へ進んでいく。

開幕はアリスの雷魔法だ。


「雷よ!サンダーストーム!」


魔法は詠唱とスキル宣言が必要…だけど、生き残っている魔法使いは全員強力な制御力を持ってるので、みんな実質詠唱破棄の高速行動だ強い!

 アリスの雷魔法で門の周りにガヤガヤとたむろしていた八つ足機械が行動不能になる。


「ここまではいつも通りだな!機械特攻の戦法だ!」


 膝立ちの恰好のアームキャノンでドカドカと牽制しながらデビットが言う。

街から、湧き出す連中の足止めだ!エラー時以外は仲間を踏まないお行儀のよい連中なのだ。

人間を目の敵にする以外!!


「チャージしますので足止めをお願いします。」


 桃髪の重砲使いガリアも砲撃のチャージ開始だ。

私も門から出てきそうな相手を狙撃モードで撃ち抜く。ブーテホー!(美しい!)

狙ってたとはいえ即座にパターン入ったな鉄板パターンだ。


「通しはしない」


ジェイソンが機械剣を構えて集中。

不意に接近した八つ足が破砕される。

機械剣は威力が強くて、大体の敵は行動不能になる。

チェーンソーだもん!痛いよ!


しばらく後、ガリアの砲撃が門の隙間を通り、中の街ごと機械軍を爆砕。


 同じ流れで地下まで機械軍を破壊、アリスパーティはみんなレベル6になった。

心配だったアリスは普通に破裂なんてしなかった。

全然余裕らしい。

人に比べてあんまりにも魔力が増えないのでドヨンと悲しげだった。

安心してよ!?


 おまけでアテナから依頼されていた魔導機械の生産プラント動力も確保した。

学園の地下でまだまだ頑張ってもらいたいそうで学園地下の皆はお疲れさまだ。


~~~マリィ

南の岩石地帯、岩場中空


 足場から2メトルほど下の場所でサソリが喧嘩をしている。

上に行くのは俺だ!いや俺だ!と相手の上に乗ろうと喧嘩をしている。


パアン!と、のしかかっている方の頭の殻がはじけた。


 そんな喧嘩へ横槍、機械槍を撃ち込むのは…私です!ブテホー!(美しい!)


 前回の報酬で、空中足場を導入したのだ。

広さは横3メトルで縦5メトルほどの地面から最高3メトルだけ浮く柵付きの運搬用足場なのだが戦いにも需要があるのだ。


 こういう使い方がな!


 上からズドドドと連射モードでサソリを挑発する。


もっとこいや!


集まってきたサソリが足場のふちに上ろうと鋏を上げる。

届かないので隣のヤツを足場にしようとして喧嘩する。


AI完全再現だ…!!


 習性を調べて確信してたとはいえ変な笑いが出てくる。

みんなでアームキャノンを使って万歳サソリをどんどん倒していく。


 いわゆる安全地帯狩りってやつだ。

弱点モロ見えの。

どんなに大量の相手も攻撃手段が無ければ、的…カモ…瑞鶴だ。

アテナの資料室で見つけたおいしい狩り方で、これを見つけたときは感動した。


「ひゃあ!?」

「あわわ!?」

「ック!」

「うむ…」


 皆も一般教養的に知っていたり、実際にやったことがあったりしたので抵抗もなく実行開始できた。


 でもこんなにたくさんの魔物に囲まれるのは、みんな初めてみたいで顔が引きつってる、わんさか出てくるからねゲームでおいしいなんて相当だし、ボウケンジャーが良い場所を危険地帯として教えてくれたんだ!


ここまでこの浮き足場を押したのは私…

でもおいしいから気にならない!さいこうら!


「レベリングは過酷ですわ…」


アリスの言う通りレベリングは狂気だからね!過酷なのは仕方ないね!ピカピカ

発火器君が抗議してるが務めてスルーする。


戦わなくては生き残れないからね!

明日を生きるためゆえ、これも世の習いじゃ。


 撃ち過ぎで機械槍がオーバーロードしたので私もアームキャノンに切り替える。

後ろに槍を渡すとニクス2の副腕が機械槍をマウントしてくれる。


副腕バックユニット便利だな!


機械槍のリロードも手伝ってくれるし、快適で撃ちすぎる。

ドカドカとアームキャノンを撃ちながら、考える。

私はいつもは速度的に追いつかないから使わないけど副腕保持時、自動照準もある。


エリス曰く「自律魔導機械の研究の結果らしい。」



すでに、着る自律魔導機械では…?


 魔導鎧共通装備アームキャノンのリロード機構を改造したバックユニットらしい。

アームキャノンのリロードはカッコ良くて。

弾切れを検知して複腕が箱みたいなマガジンを腰から出して装着してくれるのだ。

アームキャノンのリロード特化なのでバックユニットよりすごい早い動きで。

先に空箱マガジンも付け直して経済的!強力だからアームキャノンの弾薬費は高いけど!


みんなでドカドカと撃ち込みまくってるがなかなか減らんな。

あっみんなが一気にレベル上がった。

クククこれでアリスたちはレベル7だ。

アリスも普通?の顔してるし安心だな。



固まっている?大丈夫かな?

心配して近づく


「だいじょうぶですわ。」

「うふふ」


隣を見るとガリアが恍惚としている。

なじぇ?



 足場と弾薬費で、ほろんだ街で達成したアテナの依頼報酬は吹っ飛ぶだろうが、レベル上げには犠牲はつきものだ。

この足場も色々悪さができるので、お買い得だった。

次の森でも似たことが出来るんだ!森を吹っ飛ばす許可も得たからガリアにお任せ!


「俺たちは一体、何に巻き込まれてるんだ?」

「うむ…」


 一気にレベルを2つも上げられたし、これだけのレベルがあれば魔導鎧こみで事故死しないだろ。

開拓でも安心だね!


~~~マリィ

西にある小さな森付近


「本当にこんなことをしていいのかな?」


 気弱な言葉と裏腹に桃色の目を輝かせているガリア、うふふと声が漏れている。


「許可は取ってあるよシールド氏から!」

「チャージ完了♪撃ちます!」


即座に発射する。

狙いも何もないからね?森を吹き飛ばしてもらうだけだ。

着弾した砲戦仕様ニクスの魔導ナパーム砲弾は木々をなぎ倒して火災を引き起こす。


「…風よ!トルネード!」


その火災にアリスが魔法で竜巻をぶつけると炎の竜巻が現れる。


 炎の竜巻は秋森の落ち葉、枝を吸い込みどんどん巨大化していく。

学園長譲りなのか精密な制御力をもつアリスはそのまま巨大化していく炎の竜巻を操る。

ボウケンジャーの探索で森の中心に小鬼の集落があるのは確認済み!

小さな森の外側をこちら側以外、火の地獄へ変えていく。

逃げられちゃうからね!火攻めで全滅だ!経験値!経験値をよこせ!


森から少し離れた場所で出待ちしていると、来た!


空中足場の上でアームキャノンを向ける私たちに呆然とする小鬼たち


レベリングはすべてに優先される…

良い時代になったもんだぜ!


アリスたちはこの戦いでレベル8になった。

普通の街の衛兵隊の主力級だ。

私はまだレベル10になれない…次のバレット達とのボス周回レベリングに期待だぜ!


[確認]フロート運搬用魔導足場_鉄製_仕込み魔法(誘導)_足場として使用

[確認]魔導ナパーム砲弾_鉄製_仕込み魔法(上級炎)_砲弾として使用



 

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