3、母の話

「そうね・・・では話しましょう。」


 と母は言う。


 内容は、こうだった。


   ◇◆◇


 この辺りの海には海神様がいる。


 その神様は、15年~20年おきに必ず暴れ、プレートを沈み込ませ、大地震を起こす。



 大地震が始まると、寿島、唐島、華島は交代で海に女性の人間を1人奉納する。つまりは、“生贄”だ。


 生贄をしても神様が暴れているのならば、同じ島の2人目がひずみを切断し、人工的に地震を発生させ、その身は帰ってくることなく、神様に捧げることになるらしい。


 



 そして、今回は、なんと寿島がその“生贄”の順番らしい。




 そして、今回は、母の、ローゼが、




             “生贄”



 になると言う。





   ◇◆◇



 『────っ‼️』



 ザフィーアとヴァイスは揃って目を剥き、絶句した。



 「・・・お母様が、」

 「生贄・・・?」


 母は珍しく優しい顔で、

 「後は、お父様とこの寿島をまわしていくのよ?」

 と言ったが、優しい顔から突如顔を変えた。


 「うふふ、そう言いたいところだけど、」


 母は艶っぽく笑う。いつもの、妖艶ようえんな笑みで本日二つ目の爆弾を投下する。



 「ザフィーア、貴女は眠ってしまっていたけれど、ガイアルディア王子を覚えているかしら?」


 「勿論です、お母様。」

 ザフィーアは淀みなく答える。


 「そのガイアルディア王子は1年後、皇太子になられるの。そこには、正室が必要なの。」


 「そうでしたね。『王族は代々3つの島から身分の高い女性を1人ずつ登殿とうでんさせ、課題を与え、優秀だった者を室に迎える。』、ですね?」



 「ええ、そこで、寿島からは貴女たちどちらかにするの。これは私のなかでもっと前に決めていたわ。」


 「では、もう退室なさい。」


 と言われ、2人は母の前から辞した。

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