第37話 クランハウス


「秋葉クラブなんて名前からして胡散臭いわぁ」

「あ?喧嘩売っとんのか梅田クランは?」

「いえ、申し訳ありません」

「兄貴もちょっと落ち着いて」

「あ、お茶が入りましたよ」


 静岡から帰ってきた俺たちを待っていたのは、梅田クランの狭間と柳、秋葉クラブの太郎と三郎だった。


「で?なんでここに集まってんだ?」

「富士は攻略してきたんか?」

 狭間が聞いてくる。

「したぞ、二百層まであったがな」

「なんやそれ!まだまだやないか!」

「梅田クランはどこまでいったんだ?ほれ?」

「太郎やめとけよ」

「七十層はクリアしたんですが」

「あほぉ!律儀に答えんでええねん」

「あははは!中途半端な!」

「笑うな兄貴、俺たちは行ってないんだから」

「そや!行ってへん奴に言われとぉないわ!」

「あははは、ホープクランはやっぱすげぇな」

 太郎、三郎、柳に狭間。みんな名のあるクランメンバーだろ?なんで弱小のうちのクランに来るんだよ。

「レクトはんは移籍しぃひんのか?」

「来るならうちだろ?」

「悪いけどホープクランから移動する気はないね」

「かぁー、振られてもうた」

「なんだよ、梅田クランが来てるからって遠慮しなくていいんだぞ?」

「太郎、遠慮はしてないぞ?」

 何を血迷ったことを言ってんのか。


「それにしても二百はきついで」

「それはわかるな」

「まぁ俺たちもしんどかったしな」

「そうそう、だってお風呂もろくに入れないんだもん」

「そこかい!」

「大事なことよね」

 静岡ではキャンプだったからなぁ。

「と言うわけで私達は上に行きまーす」

「じゃあ俺も」

「レクトは待てよ」

「は?」

「客が来てるんだからおもてなしだろ?」

「はぁ、なんだよ」

 太郎が目を細めている。

「海外に動きがある。レクトなら大丈夫だと思うけどホープクランは守備が悪いからな」

「まぁな、警備は弱いからな」

「うちから人貸そか?」

「梅田クランは大阪で張っとればいい」

「そやな、東は秋葉クラブに任せるわ」

「と言うわけでうちのもんを何人か連れてくるからホープクランは少しの間動きを小さくした方がいい」

 海外からなんかくるのか?

「それは有難いがなんで海外が?」

「そりゃ、アイテムボックスに今度は最古のダンジョン攻略を成し遂げたんがホープクランやからやな」

「そう言うことだ、それだけレクトの強さが欲しいクランが海外にもいるってことだ」

 はぁ、面倒なことになってきたな。


「まぁ、狙いがレクトだから他はおまけ程度に考えてると思うけどな。嬢ちゃん達もそれなりにやるんだろ?」

「あぁ、強いと思うぞ」

「だろうな、だから逆に危ないぞ」

「そうやんな。嬢ちゃん達が暴れたら大変なことになるかもなしれへんし」


 ヒナ達が暴れたら手加減なんてできないだろうしな。


「まぁ、それは置いといてクランハウスでも建ててそっちに移ろうかな?」

「あ、それええかも。ここには誰か置いとけばええしな」

「よし、ならいいとこ紹介してやるよ」

「おう、ありがとな太郎」


 そこからクランハウスの建築をお願いして、それまでは俺がここにいることになった。


「悪いねレクト君」

「いいんですよ、マスター」

「クランハウスも急ピッチで建ててくれてるみたいだし」

「あれは俺もビックリしてますよ。太郎が全部用意してくれたんですから」

 クランハウスはそれなりのデカさで部屋数も多いし、マスタールームも作ってもらったし。このビルは受付だけのビルになるだろうな。


 

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