第35話 百層


 翌日は七十層からまた始める、ダークスコーピオンをさっさと蹴散らして、七十ニ、三と降りていく薄暗い中の戦いであったが、別段これと言って不利なところは無い。気配でものを感じるので、皆気合いを入れて対処している。


「狭間さんたちはもうちょっといけそうなのに」

「まぁ、レベルが足りなかったんだろ?全体的に」

「まぁ、狭間さんだけ突出してましたしね」

 ワンマンでくるならもっとレベルを上げないといけないだろ。


「来ます!」

 シャドウウルフの群れを蹴散らして、七十五層に降りる。

 精密鑑定でアサシンと出ている人型のモンスター。

 消えたと思わせると右から刃が飛んでくるが見えているので合わせるだけ、しっかりと止めを刺して行く。

「良く見えますね」

「気配でわかるだろ?」

「わかりますけど身体がついていかないですよ」

「もっと強くならなきゃだな」

「はい」


 そんなことを言いつつ八十層、九十層と突破してきた。ここからまたいっそうと暗くなってきた。

 さすがに目が慣れてきたが暗すぎるので明かりを灯そうとするが吸い込まれるように光が消えて行く。

「ここからは、ゆっくり行くぞ!」

「「「はい!」」」

 目の退化したモンスターばかりが出てくるが、やはりそこまで強いとは感じない、嗅覚や聴覚が発達しているみたいで大きな音で耳がやられるようだ。

「ここの敵は暗闇に慣れ過ぎたな」

「ですね、こちらの動きはわかるみたいですけど退化しているみたいですし」

「深海にいそうなモンスターですよね」


 実際百層ともなると相当深いところだしな。

 百層は盲目のドラゴンだった。

 音には敏感だが素早さはなく、一閃で綺麗に真っ二つになってしまった。

「ここが百層?何かの間違いだろ?」

「いえ、百層ですよ、宝箱も出てますし」

 宝箱の中身は巻物と月詠という綺麗な刀だった。

「アズサにやるよ」

「えー!こんな良いものをですか?」

「俺は雪中があるからな」

「はい、それでは」

 アズサは刀を抜いてみると波紋が綺麗に浮かび上がる。

「綺麗」

「闇属性の刀か、巻物も闇属性の心月と言う技らしいぞ」

「はい!」

 アズサは巻物も大事に預かり外に出る。

「明日からは百層からになるから気を抜くなよ」

「「「はい」」」


 次の日は、百層からと言うこともあって気合の入ったヒナ達であったが、百層から下は明かりが差し込む洞窟のようだった。

「なんだ?百層からは違うな」

「明るいですね」

「来ます」


 ライノウルフと言う犀と狼を足したような見た目のモンスターだ。

「硬い!」

「関節を狙え」

 鎧のような皮膚だからだろう。ヒナの短剣では弾かれてしまう。


 しかし、ミアの魔法はよく通るみたいでミアが大活躍だ。

「アイスランス」

「グビィッ」

 アイスランスに貫かれて煙に変わる。


 よし、この調子で突破して行くぞ。


 特級ダンジョンは何層まであるかわからない。ペース配分を間違えるわけにはいかない。

 百十層、キングヒュドラ。

「デカいな!」

「アイスランス」

「シッ」

 小手調べで出したと思われるアイスランスを一本の頭が飲み込むと、短剣で傷つけたところは自動回復してしまう。


「なにあれ?無敵?」

「別に無敵では無いだろう!一閃」

 首を二、三本斬ってみるが再生途中だ。

「やだ!再生なんかさせないから!」

 全員で攻撃してなんなく倒してしまう。


「再生するとかまじあり得ないんですけど」

「いやぁ、怖かったね」

「ここらで帰るぞ」

「「「はい」」」

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