日常と変動

第19話 遠征


 秋晴れの良い季節になってきた。

「よっと!」

 屍ダンジョンももう何回攻略したかわからないほどだな。

 あの後秋葉クラブの太郎とはたまに松崎さんと三人で飲みに行く仲間だ。

 あとヒナとミアは二人で屍ダンジョンを攻略させている。ワーキャーいいながらも攻略しているのでなんとかなるだろ。

 アズサは中級ダンジョンをそろそろ攻略するんじゃないかと思っている。


「だからなんども言ってるじゃないですか?アイテムボックスを売って下さいって!」

「マスター斬ります?」

「斬らないでねレクト君」

「は。さ、さよなら」

「もうくんなよ?」

「レクト君がきてくれて良かったよ」

「はぁ、またきたら斬りますか?」

「斬らないでね?」

 マスターの斎藤さんは優しすぎるから聞いちゃうけど売らないって言ってるのにな?


「そうだ、レクト君が探してた上級ダンジョンなんだけど、多分ここで合ってるよね?」

「ん?あー、ここでいいですよ」

「ちょっと遠いけどね」

「車あるんで大丈夫っす」

 千葉県にあるダンジョンが俺にピッタリだった。

「で?なんで着いてくるんだ?屍ダンジョンは?」

「もう速攻で攻略したし!超怖かったし!」

「マジでほんとにあー言うのやめて欲しい」

 ヒナとミアがついてきている。

「んで?お前は?」

「師匠の弟子が中級ダンジョン攻略したんですよ?少しくらい旅行したいじゃないですか?」

 アズサもついて来た。


 着いたのは千葉の匝瑳市そうさしと言うところでど田舎だった。

「畑ばっかじゃん!」

「マジで千葉?デズニーいこうよ!」

「デズニーいいですね!」

「もうとっくに過ぎているし、いくなら電車で行ってくれ」

 駐車場に車を停めて、鳥居に触ると一気にダンジョンの中だ。

「へー、ここがダンジョンなんだね」

「ゴールドスライム収集」

 カード三枚、ダブりだな。

「二層におりるぞ」

「もう、少しワイルドになってるんだから、なんでだと思う?」

「そっちの方が地なんじゃない?」

「師匠は優しいですよ?」

 二層につくと蝶が舞い踊っていた。

「綺麗……」

「インセクトモンスターだぞ?」

「でも幻想的ですね」

「そうかもな、『蝶収集』」

“ザザッザ”

 ケムリになって消えていく蝶のモンスター。指輪をドロップした速さの指輪。

「アズサ、やるよ」

「わーい!」

「えー、私には?」

「もう十分あげてるでしょうが!」

 ミアがブーブー言っている。

「指輪もらってないもん」

「今度良いのあったらあげますから」

「本当ね!」

 ドロップ品をアイテムボックスに回収して

、三層へ。


「なんで、このダンジョンなの?」

「敵が多くて上級だからですよ」

「なーる」

「敵が多いの好きですよね」

「まあね」

 『蜂収集』“ザッザザン”

 レアモンスターからは琥珀のネックレスか、、物欲しそうな顔で三人が見ているが一つだけだ。知らんぷりしてアイテムボックス に入れる。

「あー!けちんぼ」

「あとでそっと渡してくれるのよね」

「師匠がわたしに?」

「その、アクセがでたらもらう癖をやめろ!今のはなんの効果もないものだから」

 ドロップ品を収集して、四層へ。

「いやー!」

「悪魔がいる!」

「カブトムシのメスだろ」

「カブトムシ収集」

 斬って捨てるとレアはオスだった。

 錬金アイテム、効力倍増。

「よし!来て良かった」

「それはツノ?」

「錬金アイテムだ」

「なーんだ」

「師匠、ポーションの材料ですか?」

「まぁ。色々とな」

 効力倍増はそれなりに使えるな!


 それから十層までクリアして宿にチェックインする。

 明日はデズニーに行くって言ってたからようやく一人で出来るな。

「えー、レクトも行こうよ!」

「楽しい夢の国だよ?」

「私初めてですよ!」

「三人で行ってこいよ」

 俺は大人しくダンジョン攻略しとくからさ。

「分かった。明日付き合ってくれたら帰るから」

「マジで?」

「良いでしょう!大人しく東京に帰ります」

「師匠も一緒にいきましょうよ!」

「…分かった」

「「「やったー」」」


 一日くらいは付き合ってやるか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る