第18話 友情の証


 秋葉クラブとは手打ちになった。

「一億で手打ちになります。これが一億円です。お納め下さい」

「は、はいはい、確かに」

 マスターが一億の入った鞄を手に取る。

「これで手打ちだ。天童のことは悪かったな」

 太郎というやつが頭を下げる。

「別にお前がやったわけじゃないんだろ」

「だが秋葉クラブのやつだったからな、けじめだ」

「いまどき小指切るやつがいるかよ!」

「けじめだ」

「けっ!ほれ!やるよ」

 カードを投げるとそれを受け取る。

「その手だと何かと不便だろう?」

 アイテムボックスのカードだ。

「あ、あとあの時は助かった。ポーション代もそれで足りるだろ」

「ハハッ!お前やっぱうちに来ないか?」

「やだね、お前みたいな奴は嫌いなんだよ」

「ハハッ!まじサンキューな」

 太郎はカードを破る。


「いいなぁ太郎、それ俺らにくれたら良かったのに」

「あー?こりゃ友情の証ってやつだよ」

「なんだよそれ」

「お前みたいに下の者と関わらない奴にはわからんさ」 

 三郎はフッと笑うと、

「俺も欲しかったなぁ、その友情って奴」

「だろ?」

 二人は車に向かって歩いて行った。



「アズサは今回の件で怪我しただろ?」

「ポーションですぐ治りましたけどね」

「そっか、ほら持っとくといいさ」

 カードとアンプルだ。

「あいてむぼ、え、アイテムボックス!」

「俺の弟子なんだろ?」

「はい、師匠!」

「ならこれくらいで驚いてたら身がもたねぇぞ?」

「師匠!」

 その場でカードを破るとアンプルをしまう。

「ありがとうございます」

「いいよ、今回はお疲れ様」

 ヒラヒラと手を降り自分の部屋に向かう。

「レクト!なんか…大丈夫なの?」

「ヒナこそ大丈夫か?ミアも」

「私達は大丈夫よ」

「なら俺も大丈夫だ!」

 自分の部屋に入る。


 テレビをつけるとニュースをやっていた。


『天童受刑者が忽然と姿を消しており、その付近の捜索で天童受刑者と思われる遺体が燃やされていたのを』


 さてと、そろそろ屍ダンジョンも飽きてきたなぁ。


 新しいダンジョン探すの怠いな。


 あ、ギルドビルに行ってステータスカード更新しなきゃ。

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