第4話 一緒にお料理、楽しいですぅ♪

星見ほしみ『フジヨシさん……フジヨシさん……聞こえますか……?(頭の中に響くように)』


藤吉ふじよし「うぉわあ!! 何だ!? 直接脳内に……!?」


星見「(目を開けて普通に話す)ふふふ……♪ これがわたしの能力なのです!」


藤吉「え……これってテレパシーってやつか!?」


星見「その通りです! わたしは、相手の心に直接話しかけることができるんですぅ!」


藤吉「すごいなそれ……! まるで漫画みたいだ……!」


星見「そうでしょうそうでしょう! もっと褒めてくれても良いんですよ!(得意げに)」


藤吉「あぁ……びっくりしたよ……マジで驚いた……」


星見「えへへぇ~♪ ありがとうございますぅ~!(嬉しそうに)……でも、この力には欠点があるんですよねぇ……」


藤吉「欠点? それってどんな……」


(その時、星見のお腹がぐぅーっと鳴る)


星見「ふにゃあ……力を使うと、お腹が減ってしまうんですぅ~……(ソファに倒れ込む)」


藤吉「……なるほどね。確かにその能力は燃費が悪いかもな……」


星見「うぅ……すみません……。もう少ししたらお腹も落ち着くと思うので、それまで待っててくださいぃ~……(力なく)」


藤吉「あぁいや、俺が頼むような形になったのが原因だし、謝らなくていいよ。お昼時には少し早いが、飯にしようか。お詫びにご馳走するからさ」


星見「ふぇ? ご飯ですかぁ?(起き上がって)やったぁ~! 嬉しいですぅ~! あ、でもいいんですか? ご迷惑じゃ……?」


藤吉「気にしなくていいって。つーか、今さら遠慮しなくても……あ、俺なんかの飯じゃ嫌ってことか?」


星見「そ、そんなことないですよぉ~! むしろフジヨシさんの手料理なんて、嬉しいに決まってるじゃないですかぁ~!」


藤吉「お、おう……そうか……ありがとな……(照れてる)」

(台所へ移動する藤吉)


星見「あっ、わたしも手伝いますよ!(後を追いかける)」


藤吉「いやいや、お客さんなんだからゆっくりしてて良いんだぞ?」


星見「えぇ~……でもぉ~……(しょんぼりと)」


藤吉「うぐっ……わかった、じゃあ手伝ってもらおうかな……(罪悪感に負けて)」


星見「わぁい♪ 頑張りますね~!」


【場面転換、キッチンにて】

(冷蔵庫を開ける音)

藤吉(心の声)「さてと……何があったっけなぁ……? 卵もあるし、野菜も少し残ってるからオムライスにでもするか」


星見「フジヨシさぁん、何作るんですかぁ?(後ろから覗き込んで)」


藤吉「うわっ! びっくりした……! 急に後ろから話しかけないでくれよ……」


星見「えへへぇ~♪ ごめんなさぁい♪ それでぇ、何を作るんですかぁ~?」


藤吉「あー、えっとだな……オムライスにしようかと思ってさ。だからとりあえずご飯を温めてもらっていいか? 冷凍しといたのがあるから……」


星見「は~い♪ 了解ですぅ~! 任せてください~!」


藤吉「うん、よろしく頼むよ。俺はその間に具材を切っておくからさ」


星見「わかりましたぁ~!(電子レンジを操作する)」


(野菜を切る音)

星見「おぉ~……フジヨシさん、料理得意なんですかぁ?」


藤吉「得意ってほどじゃないけど、それなりに出来るとは思うぞ。普段は自炊してるからさ」


星見「そうなんですかぁ~! 凄いですねぇ~!(感心して)」


藤吉「そんなに難しいものじゃないし、慣れれば誰だってできるさ。星見さんは普段、料理とかするのか?」


星見「うーん、そうですねえ……。一応はできますけどぉ、あんまりしないですねぇ~」


藤吉「そうなのか。まあ、人それぞれだよな。……そういえば、星見さんは一人暮らし始めたばかりなの?」


星見「はい、そうですよぉ~! ハタチになったので、パパにお願いして一人暮らしさせてもらうことになったんですぅ~」


藤吉「へぇー、そうなんだ。ちなみにお父さんは何の仕事をしてるんだ? やっぱり科学者とかだったりするのか?(野菜を炒めながら)」


星見「うーん、そうとも言えるし違うとも言えますねぇ~」


藤吉「どういうこと?」


星見「わたしのパパは宇宙研究者なんですけどぉ、他にも色々なことをしてるんですよぉ~」


藤吉「色んなこと……? 例えばどんなことをするんだ?」


星見「そうですねぇ……たとえばぁ、宇宙船の開発をしたりしてますねぇ~」


藤吉「……はい?」

(一瞬固まるが、すぐに我に返って聞き返す)

藤吉「えっ? それマジで言ってるのか……?」


星見「はい、マジですよ? あ、そうだ! 今度、うちの研究所に来てみませんかぁ? フジヨシさんになら特別に案内してあげてもいいですよ~♪」


藤吉「あぁー……えっと……機会があれば行きたいところだな……(動揺しながらもなんとか返事をする)」


星見「えぇ~? 絶対に行った方が良いですってぇ~! 楽しいですよぉ~!」


藤吉「あはは……まぁ、気が向いたら行くかもしれないなぁ……」


藤吉(心の声)「なんというか、星見さんのお父さん……さすがは宇宙人と結婚した人って感じだなぁ……」


(チンッという音が鳴る)

星見「あっ! ご飯が温まったみたいですよ~!(電子レンジの方へ駆けていく)」


藤吉「お、おう……。いや待て、熱いから気を付けた方が……」


星見「大丈夫ですよぅ! ちゃんと気を付けてま……あちちっ!(慌てて手を離す)」


藤吉「言わんこっちゃない……! ああもうほら、大丈夫か!?(駆け寄って)」


星見「ふぇぇ~……ごめんなさいぃ~……」


藤吉「まったく……ほら、水で冷やすぞ。手を出してくれ」


星見「ふぁい……」


(しばらく冷やした後、再び料理を再開する二人)

藤吉「もう大丈夫か? あとは俺がやるから休んでても良いぞ?」


星見「いえいえ、これくらい平気ですからぁ~! やらせてくださぁい!(張り切っている様子)」


藤吉「……わかった。じゃあ一緒にやろうか。その方が早く終わるしな」


星見「はぁい♪」


藤吉「チキンライスの方は俺がやるから、星見さんは卵を溶いてくれるか?」


星見「はい! お任せください!」


藤吉「卵は二個で頼む。あと、牛乳を少し入れておいてくれると助かるかな」


星見「りょーかいしましたぁ!(ボウルに卵を割り入れ始める)」


藤吉(心の声)「よしよし、大丈夫そうだな……。これなら安心して任せられそうだ……」


星見「ふふ~ん♪ よ~し、高速で混ぜますよぉ~!(菜箸さいばしを構えて)」


藤吉「……ん? 待て待て、高速じゃなくて良いからな!? 普通でいいんだからな!?」


星見「大丈夫ですよぅ! ママに教わった秘技をお披露目しますからぁ~!」


藤吉「いやいや、やめとけってマジで……! てか、星見さんのお母さんって宇宙人じゃん! 秘技って何だよ!?」


星見「ふっふ~ん♪ それはもちろん、宇宙式混ぜ方ですよぅ~! よく見ててくださいねぇ~! それぇ~!(勢い良く混ぜ始める)」


藤吉「うわあぁぁぁぁ!!??(段々小さく)」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る