第3話 星見さん、お部屋に突撃訪問!

【場面転換、藤吉ふじよしの部屋】

(目覚ましのアラーム音)

藤吉「(目覚ましを止めて)ふぁ~あ……もう朝か……」


藤吉(心の声)「……ん? 今何時だ? えーと、スマホスマホっと……(画面を見て)うわっ! 何だこの着信件数は!?」


藤吉(モノローグ)「この日は休日だったから、いつもより遅くアラームをセットしていたんだが、起きたらすでに十件以上の不在着信が入っていたんだ。その全てが星見ほしみさんからだったから、俺は慌てて折り返し電話をかけたんだが……」


星見『もしもし? あ、フジヨシさんですか!?』


藤吉「そうだけど……どうしたんだ? 何かあったのか?」


星見『そんなの、こっちが聞きたいですよぉっ!! なんで電話に出てくれなかったんですかぁ!!』


藤吉「悪い……実はさっきまで寝ててさ……」


星見『えぇー! そうだったんですかぁ!? うぅ……ひどいですフジヨシさん! わたし、心配で何回もかけたんですよぅ……(悲しげに)』


藤吉「わ、悪かったって……。今日は休みだったから、つい気が緩んじゃってさ……」


星見『むぅぅー! もう知りませんっ!』


藤吉「……ごめんって」


星見『ふんだっ! フジヨシさんのばかっ! おたんこなす! アンポンタン! えっとそれから……』


藤吉「……おいおい、悪口のレパートリー少なすぎだろ……」


星見『うるさいですぅ! もういいです! 今からそっち行きますから、そこで待っててください!』


藤吉「……はっ!? ちょ、ちょっと待ってくれよ! そんな急に言われても困るって!」


星見『待ちませんっ! それじゃ切りますね!(怒りながら通話を切る)』


藤吉「え、ちょっと待っ……」


(数分後、インターホンが鳴る)


藤吉「うっそだろオイ……」


(インターホンが連打される)


藤吉(心の声)「うぉぉおい! 近所迷惑になんだろぉ!?」

(ドタドタと玄関まで向かう)


星見『フジヨシさーん! 開けてくださぁい!(ドアを叩きながら)』


藤吉「わかったから! 今開けるから静かにしろって!」


星見『早くしてくださいよぉ~!』


藤吉「ったく、もう……」

(ドアを開ける)


星見「むぅ~~っ!! フジヨシさんのばかぁ!!(勢いよく抱き着く)」


藤吉「ぐぇっ……! お、お前なぁ……! いきなり飛び込んでくる奴があるか……!(苦しそうに)」


星見「(慌てて離れて)わわっ……ご、ごめんなさい……! 大丈夫ですかぁ!?」


藤吉「ゲホッ……ゴホッ……! まったく……少しは加減してくれよな……」

藤吉(心の声)「星見さん、背が低いから……下手をすると鳩尾みぞおちに頭突きされそうなんだよなぁ……」


星見「えへへぇ~♪ ごめんなさぁい♪(無邪気に笑う)」


藤吉「はぁ……まあいいけどさ……。それで? ただ文句を言いに来ただけじゃないんだろ? 何の用で……」


星見「遊びに来ました!(元気よく)」


藤吉「……は?」


星見「だからぁー、遊びに来たんですってばぁ~! 一緒にゲームしたり、おしゃべりしたりするんですよ~!」


藤吉「いや、そういうことじゃなくてだな……。なんで俺の部屋に来る必要があるんだ?」


星見「えっ? だって、友達同士なら当たり前のことじゃないですかぁ~! お互いに親睦を深めるために、まずは遊ぶことから始めるべきだと思うんですぅ~!」


藤吉「いやいや……別にそんなことしなくてもいいだろ……。話なら電話でもできるわけだし……」


星見「えー? なんでですかぁ? 直接会ってお話した方が楽しいに決まってるじゃないですかぁ~! ……それともフジヨシさんは、わたしと会いたくないんですか?(上目遣いで)」


藤吉「……うっ……そういうわけじゃないけどさぁ……」


星見「じゃあ決まりですね! おじゃましま~す!(喜びながら部屋の中へ入っていく)」


藤吉「ちょ、おい!(星見の服のすそを掴む)」


星見「ひゃっ! な、何するんですかぁ!?」


藤吉「いや、ちょっと待ってくれ……片付いてないからさ……」


星見「えぇ~? わたし、ちょっとくらい散らかってても気にしないですよ?」


藤吉「俺が気にするんだよ……! だから、少しだけ待っててくれ……」


星見「はぁい……わかりましたぁ」


(しばらくして)

藤吉「よし、いいぞ……入ってくれ」


星見「わぁい♪ お邪魔しまーす♪」

(部屋の中へ入っていく)


星見「えへへ~♪ フジヨシさんのお部屋だぁ~!(嬉しそうにキョロキョロしている)」


藤吉「あんまりジロジロ見ないでくれ……」


星見「えー、いいじゃないですかぁ~! 減るもんじゃないですし~」


藤吉「俺の精神力がすり減ってるんだよ……」

藤吉(心の声)「まあ、さすがにそこまで見られて困るようなものはないが……それでもやっぱり恥ずかしいもんは恥ずかしいんだよ……! ああもう……! なんでこんなことになってるんだ……!」


星見「わ~……なんか、わたしの部屋より広く感じますねぇ……」


藤吉「ん? そうか? どっちかっていうと星見さんの方が角部屋だから、そっちの方が広いと思うけど……」


星見「そうですけどぉ、やっぱり自分の部屋と比べると違うっていうかぁ……」


藤吉「ふぅん……? そんなもんか……?」


星見「そういうものなんですぅ~! だから、フジヨシさんのお部屋の方が居心地が良いんです~!(楽しそうにソファに座る)」


藤吉「まぁ、気に入ってくれたなら何よりだけどさぁ……」


星見「うふふ~♪ このソファ、ふかふかで気持ちいいですねぇ~!」


藤吉「おいおい……さっそくくつろぎすぎじゃないか……?」


星見「いいじゃないですかぁ~! あ、そうだ! フジヨシさんもこっち来てくださいよ~!」


藤吉「え、俺もかよ……? いや、俺はここでいいよ。遠慮しておく」


星見「えぇ~! そんなつれないこと言わないでくださいよぉ~! ほらほらぁ!(ソファの隣をポンポン叩く)」


藤吉「はぁ……わかったよ。行けばいいんだろ行けば……」

(隣に腰掛ける)


星見「えへへぇ……♪(にこにこしながら)」


藤吉「……なんだよ」


星見「なんでもないですよぉ~♪(上機嫌で鼻歌を歌い始める)」


藤吉(心の声)「ほんとなんなんだこの子……距離感近すぎないか……? それとも単に人懐っこいだけなのか……? いやでも、男の部屋に一人で来るってのはさすがに無防備すぎるような気が……」


(足をパタパタさせている星見を、藤吉は横目で見る)

藤吉(心の声)「……しかし、改めて見ると小さいよなぁ……。手足とかも細くて折れちまいそうだし、肌も白いし、それに髪もサラサラして綺麗だし……」


(じっと見つめられていることに気づいたのか、星見が振り返る)

星見「あのぉー、フジヨシさん? さっきからずっと黙ってますけど、どうかしましたかぁ?」


藤吉「えっ!? あ、あぁ……別に何でもないよ……」


星見「そうですかぁ? それならいいんですけどぉ……。それより、何かお話ししましょうよ! そのために来たんですからぁ~!」


藤吉「お話ねぇ……うーん……そうだな、例えばどんな話がしたいんだ?」


星見「そうですねぇー……あ、それじゃあ何かわたしに質問してみてくれませんかぁ?」


藤吉「質問? なんでまたそんなことを?」


星見「だって、わたしばっかりしゃべってて不公平じゃないですかぁ~! だから、たまにはフジヨシさんからも話しかけてほしいなぁって思ったんですぅ~!」


藤吉「ふーん……? まあ、別にいいけどさ……。それじゃあ聞くけど、地球人と宇宙人のハーフだっていうのは本当なのか?」


星見「はい! そうですよ~! あ、もしかして疑ってますぅ~?」


藤吉「いや、そういうわけじゃないんだけどさ……。ただ、本当にそんな人がいるんだなぁと思ってさ」


星見「ふふん、わたしは特別な存在ですからね! 他の人たちにはない力が備わっているのです!」


藤吉「へぇー、そうなのか……。それって具体的にはどういう力なんだ?」


星見「それはですね……うーん……。あ、じゃあ今からやってみます!(おもむろに目を閉じる)」


藤吉「え、何をやるんだ……?」


星見「いきますよぉ……! むむむ……っ!!」

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