第3話 玄徳様 

目を開けると、そこは徐州だった。

目の前には徐州城が見える。

「わあ、すごっ。かっこいい。ね、苗美、孔。」

僕が聞いても、返事がない。

後ろを振り向くと、そこに2人の姿はない。

「うわ、嘘だろ。ワープちょっと失敗してる。

 別々の場所に飛ばされたな、これ。」

とりあえず身を隠せる場所に避難した。

そして、魔力で耳を強化し、

辺りの音や声を聞いた。

「殺すんだ。1人も残すなよ!」

曹操の声が聞こえた。

だいぶ遠くからだ。この距離があれば、

少しくらい出ていっても危険ではないだろう。

ヒヒーン!

「馬の鳴き声だ。近づいてきている?」

敵が来てもいいように、僕は構えた。

だが、まあ、敵は来たのだが、

大事なのはそこじゃあない。

「あ、あそこにいるの、劉備だ。劉玄徳様。

 苦戦しているみたい。」

少し離れたところに"推し"を見つけた僕。

もちろん、速攻でそこに向かった。

劉備「くそっ、敵が多いな。」

張飛「兄者!どうしよう。」

劉備「大丈夫だ翼徳。なんとかなる。」

張飛「あ、兄者、後ろ、、、、!」

劉備「!?」

あ、やばい!

玄徳様狙われてる!

よし、僕もやるか!

天磨「炎よ、我に力を授けよ!

   いけ、ファイアーボール!」

火の玉を投げる。

もちろん、玄徳様を狙っていた敵に命中。

僕って天才かも。

僕にビビって、敵の奴らは逃げていった。

天磨「ホッ、よかった。」

僕はその場から立ち去ろうとした。

しかし、腕を掴まれた。

天磨「え?」

僕の腕をつかんでいたのは、なんと玄徳様。

劉備「ちょっとまってくれ。」

天磨「あ、はい。私、ですか?」

めっちゃしどろもどろに答えちゃった。

劉備「きみ、名はなんという。」

天磨「えっと、性は伏、名は元、字は除小と

   申します。」

いやいや、テンパってしまうわ。

だって、目の前に最推しいて、

しかも手を掴まれてるんだよ?

いや、女子じゃなくてもこれはテンパる。

劉備「除小というのか。助けてくれて感謝する。」

天磨「・・・・・・・・・・。」

張飛「どうしたんだ?兄者が感謝してるんだから、

   素直に喜べよな。」

天磨「あ、ああ。すみません・・・。ええと、

   貴女方の名前は・・・・。」

名前知ってたら不審がられるよな。

ということで、とっさに名前を聞いた。

劉備「私は、性は劉、名は備、字は玄徳という。

   これでも、漢の皇帝の子孫なのだ。」

玄徳様マジでかっこいい。惚れるな。

天磨「そうなのですか。とてもいい名ですね。」

劉備「ふふ、ありがとう。」

あー、かっこいいな。

張飛「俺は、性は張、名は飛、字は翼徳ってんだ!

   玄徳兄者の弟なんだ!」

天磨「翼徳殿といわれるのですね。

   玄徳様の義兄弟でありますか?」

張飛「ああ。お前、兄者のこと玄徳様って

   呼ぶのか?」

あ、クセで行ってしまった。

天磨「それでも、よろしいでしょうか。」

とりあえず、御本人に聞こう。

いいって言ってくれ。

劉備「様、などと呼ばれてしまって

   いいのだろうか・・・。」

玄徳様の回答を待っていると、

なんか、馬の足音聞こえてきた。

関羽「兄者、どうかいたしましたか。」

わあああ、まさかの関羽!

いやー、かっけー。

劉備「ああ、雲長。少しな。」

え、まじかっこいいんだけど。強そう。

関羽「む、その方は?」

劉備「ああ、紹介する。私を救ってくれた、

   伏元除小くんだ。除小くん、彼は

   私のもう一人の義兄弟、関羽雲長だ。」

天磨「伏除小です。父の代から伝えられている、

   魔術なるものが使用できます。」

うん、関羽への自己紹介のドサクサに紛れて

魔術のこと説明しよっと。

劉備「その魔術とは、さっきの炎のような

   ものなのか?」

僕は頷いた。

張飛「えー!そうなのか!?かっけーな、お前!」

天磨「あ、ありがとうございます。

   炎だけでなく、水も操れるんです。」

関羽「ふむ、興味深いな。もっと彼の話を

   聴きたいが、我々には戦いがある。

   兄者、どうにかできませぬか?」

関羽の言葉を聞いて、僕は、思わず声が出ていた。

天磨「あの、皆様と一緒に戦っても

   よろしいでしょうか。」

張飛「それいいな!お前強いし、一緒にいると

   楽しいからな。」

わ、張飛は賛成してくれた!嬉しい。

劉備「でも、危険な戦いだぞ。」

げ、玄徳様、心配してくれている?

わ、めっちゃ嬉しい。

だがしかし!!!

天磨「命の危険は承知の上です。それでも私は、

   皆様と一緒にいたい。」

劉備「わかった。助けてもらったお礼だ。

   しかし、危険なお礼というのは、複雑だ。

   もう一つ、願いを聞こう。」

やったー、連れて行ってもらえる!

しかも、もう一つお願いを聞いてもらえる!

もちろん、叶えてもらいたいものは一つきり。

天磨「玄徳様、私は、皆様と義兄弟になりたい

   です。」

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武将たちとともに 松原来愛 @buraiharisupekuto

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