夜通しの鎮魂歌

今の時間は午前十一時。

太陽が高い空をパトロールする時間です。

お日様が見つめる視線の先に一件のこじゃれたカフェハウス。

そこは猫カフェ『ノワールキャット』の入り口があるのです。

二人の若者。一組のカップル。とある一家族。

みんな笑顔で入って行きます。


自由な猫よ。気ままな猫よ。

フワフワとモコモコと何と憎らしいのでしょうか。

どうして私はここにいるのでしょうか。

無機質なこの空間に。この部屋に。

私が何をしたというのでしょうか?


今の時間は午後八時。

猫たちは夜の休憩に入ります。

店員達も家族の元へと帰るのです。


独りぼっちの満月の下で、貴方は鎮魂歌れくいえむを歌います。

黒猫は歌が嫌いなのです。

揺れる蝋燭は一晩中残業をしていたのでした。

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