自爆するブロッコリー

倉井さとり

自爆するブロッコリー

ひとりじめ、きみの寝顔を撮りまくる この胸だけでバズらせるから


待ち合わせ 夏、炎天下 砂時計 木陰は我慢 空、泣かないで


感情にしおりしていくように写真撮っては俯瞰ふかんをキメる


のこぎりのギザギザみたいな夜だけどキツツキまねてカンカンカ~ン


ため息はダイヤルロックの奥底で、何を数えているんだろうな


ケンカして、約束なんかを盾にして、線香花火で会話する夜


問えばこそ返る言葉の端々の淡いやさしさ千切っては投げ


病むたびに不規則になるあまだれは研ぎ澄まされて憂鬱になる


爛々らんらんよどみ渦巻く血眼ちまなこで視力検査の欠損あばく


ストレスを予約してるとふと気づく メロンの皮の迷路の果てで


科学者はどのくらいまでカフェラテを分離できるかひとり考える


人魚です。千の金魚に砕けても微かに残るきみのぬくもり


バラバラだ、ブロッコリーがメチャクチャだ 投げた犯人、あたしだけどさ


想い出のコーヒーカップ投げ捨てて、恥のたらたら、消せたらなんて


道ばたの石を蹴飛ばしすぐ拾い、「ごめんね」と言い涙をながす


変な夢 波の音だけ聞こえてさ。海もなければ、あたしもいない。


今更さ、他人言葉で話しても、映画の字幕見ているみたい


やさしさを発明しては涙ぐむ 人はこうして生きるんだよね


手をにぎり寄せてかえして熱い波 胸の鼓動がうしおになって


あざなって きみの手でそうしてほしい。燃える瞳と冷たい肌を

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自爆するブロッコリー 倉井さとり @sasugari

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