NTRは寝取られ。ではMTRとは?そう「看取られ」です。 学生運動華やかなりし頃にジャズ喫茶で親交を深めたタイプの異なる二人の男。ひとりの女が原因で袂を分かった二人は養護施設で再会するのです。 その後の二人の人生と共に語られる真相。それを表現する情緒豊かな筆致が素晴らしい短編です。「馬鹿やったと思ったし、おめェも馬鹿だ」ぜひ、ご一読下さい。
圧倒的な文章力。そこから漂う空気は、まるで質量を持っているような。そんな気さえするほど、4000字に満たないとは思えない充足感を感じる作品です。老人たちが振り返る過去は、決して明るく楽しいばかりではなかったとしても、「悪くない青春」だったに違いありません。
色も匂いも声も、五感がバシバシ刺激される文章で、相も変わらずミトさんの物語は没入感が半端なかったです。おじいちゃんたちの昔が鮮明で、やり取りがリアルで。くすりと笑えるシーンもしんみりするシーンもある。とても面白かったです!
圧倒的な描写で描かれる、二人の老人の、何気ない日常の会話。かつてあったドラマと、何もない今。追憶と寂寥。色々なことがあったけど、いい人生だったぜ、と笑って逝ける老人の生き様は、文句なくカッコいい。自分の最期もこうでありたい、と思える作品です。