第21話  エリサ、暴走

 エリサは、知らない部屋で目が覚めた。


 青白い髪で導師の服を着た老人魔法使いと、身なりの良い王冠を付けた少年が、エリサの寝ているベッドの近くにいた。


「ここは何処?」


 エリサは、魔法使いのフェザーに聞いた。


「ヴィスティン王国の王宮じゃ。ラウール王子、どうですか?王子の大叔母のマリエッタ姫の孫にあたります」


「肖像画の間にある絵とよく似てるな。そうか…… これが銀の森の若長わかおさが気に入った女か…… はとこだというのが気になるが、まぁ、良い…… そなたは、余と婚姻するのだ」


 そう言うとラウール王子は、身体を起こしたエリサを押し倒したのだった。

 意味の分からないエリサである。何故、ティランが気に入るとこの王子に襲われるんだろう「??」パニックになった。


 暴れるエリサにラウール王子が言った。


「フェザー、結界を張っておけ!」


「「「いや!!風の騎士!!水のぬし!!火竜の精!!針葉樹の貴婦人!!みんなまとめて出て来て~~!!」」」


 <エリサ、大丈夫か?>


「リカルド、思い切り暴れても良いわ!!ティランが気に入った私がどんな女の子なのか教えてあげて!!」


 <承知。手加減はしないぜ>


 こういう時の風の騎士は本当に嬉しそうである。


 火竜の精も、針葉樹の貴婦人も、水の主もエリサの命令に従った。


 フェザーの張った結界など、四大精霊の前ではもろくも崩壊した。

 ベッドの横の大きなタンスが倒れてきそうになったのをフェザーがラウール王子を助けるために移動して来た。


「王子様!!」


「逃すな!!」


「しかし、四大精霊を連れた術者だったとは…… それにあまり暴れられても不味いことになりますぞ」


のことか?」


「はい」


 フェザーとラウールが、何か話し込んでいる隙にエリサは窓ガラスを開けて、脱出に成功した。

 風の騎士に飛ばせてもらって城から出ることが出来たのだった。


 空から見ると、王城は半分崩れ落ちていた。

 そして、王城の周りをぐるりと父の騎士団が取り囲んでいたのだった

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