第15話 炎上。炎上。

ひぇええ。僕、壮絶になぜかテレビで叩かれてる。  


アンチがあることないこと言って、それで炎上。


僕がガルキマサラを倒したのは全部やらせだって。


ガルキマサラ2体目やって、売名行為やってるって。


テレビでもネットでも今、僕の話題はアンチばかり。


なにかファンサイトの僕のファンの人たちが滅茶苦茶怒ってて、世間にたいして宣戦布告をしてる。


僕のファンの女の子が抗議行動で飛び降り自殺しようとした。


炎上。


母さんが心配して僕の相談にいろいろ乗ってくれるけど。ごめんね。母さん。


一人だけテレビでは乙姫セリカが大声で言ってる。


「あの人は素敵な人です。私はあの人が好きです。結婚したい」


絶対売名行為だよね?


クラスで僕のことが大嫌いな中山が笑ってる。


「嫌われてそのまま消えろよ・・・。ごっつぁん栄養士」




ただ、その後、もっとひどいことが起きたんだ。


乙姫セリカが僕について神父みたいな人を連れてきて宣言。


「この人は東京品川キリスト協会の教皇の人です。この人が今、重大発言を行います。みなさん、聞いてください。世界の夢が今叶います」


東京キリスト協会の教皇の人がコホンと咳払いをした。


教皇ってバチカンの人じゃなかった? なぜ、東京の人が教皇なの?


「こほん。ええと、私は東京キリスト協会の教皇として宣言します。伊藤隆起くんは神が選ばれた勇者です。乙姫さんの推薦もあるし、世界一特別な人と言えるでしょう」


いきなりバチカンから独立して教皇とか宣言しちゃった。この人。


僕、東京キリスト協会の人に勇者認定されちゃったっ。


それからは世界中でブーイングの嵐。いきなり勇者認定された僕は世界の敵になった。


とくにバチカンのキリスト協会の教皇がものすごい勢いでぶんすか怒ってる。


乙姫さんの策略で勝手に勇者認定した東京キリスト協会も、勇者認定された僕も、世界の敵だ。





ルルナに相談。


「信じられない! 私が世界の人たちを滅ぼすわっ! 隆起が勇者だっていいじゃないっ」


「いや、大げさだよ。ルルナ」


「そうだけど、許せない。うう。私がモンスター使いだったら、アンチを全部皆殺しにするのにっ」


「ありがと・・・。ルルナだけはわかってくれるよ」


「うーーん。でもこのままじゃまずいわね。勇者は世界で嫌われているわ。ここは、ボランティアやっておいたら? 視聴者にコビを売るのよっ」


「どういうこと?」


「ほら。ガルキマサラが上層に現れて、今府中大変なのよ。だから、上岡ダンジョンの復興のためにボラを募るの」


「アンチばっかりの僕でボラ集まる?」


「面白い動画を撮りましょう。それで注目を集めるの」


「なにやるの?」


「それはこれから二人で考えましょ」


「ありがとう。ルルナ協力してくれて」


「あなたのお蔭で私も炎上したけど、アイドルとして知名度あがったし。決して、あなたのために言ってるわけじゃないんだからっ」


「はは。わかっているよ」



玉石さんにも相談。


玉石さんはいつも双剣と、ラムネシガレットをかじっている。おいしそう。


「ん? ・・・面白い動画? ・・・ダンジョン中継全盛の今・・・。・・・面白い動画なんて見つからない・・・」


「そうですよね」


「・・・無難にやっておくべき・・・。アンチが面白がって炎上する・・・」


「えっ? アンチを使うんですか?」


「・・・嫌われ物も商法の一つ・・・」


・・・なるほど。


「・・・ただ、色々言われるからタフにやらないと・・・持たない」


うっ、僕に出来るか。

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