その邂逅は泡沫に似て淡く

立藤さんの、実直で丁寧な文章がとても好きだ。
目を閉じれば祭りの風景が浮かんでくる。
ラムネは中でも郷愁を誘う。
よくあるカップル未満の男女のデートかと思えば、それだけではなかった。
夕方は去り、暁へと託す。彼女は、その証人。
切なさと少しの遣る瀬無さ。苦くて甘い。こんな段階を経て、彼女は大人になるのだろう。
最後の和歌は、この作品の集約だ。とても美しい。
その邂逅は泡沫に似て淡く、いつまでも咲き続けるのだろう。