沼津「聖地」巡礼~ 第1回短歌・俳句コンテスト短歌の部二十首連作部門参加作品~

Mikan Tomo

沼津「聖地」巡礼

Aqoursアクアなるバーチャルアイドル九人が我を導く海沿ひの町


初に行く三津みとの浜辺は思はずにちひさかりけりしばし佇む


唸りをり 磯の香しをり 砕けをり 長井崎なる岬来るなみ


石碑いしぶみに刻まる言葉引き締まる「克己創造」学舎まなびやの前


チームの名砂に記して決めにける島郷とうがう海岸目に開けゆく


真砂地まさごぢに文字書き出して駆け出して波しゆわしゆわと快かりき


一冊をつひに尽くせるスタンプ帳「聖地」巡礼一年をかけ


来るたびに地点は増えてスタンプの果てなむ時を目指しまた来る


缶バッジ ピンクのリュック飾りたる人と推しメン語るバス停


「Aqours無キャ、ココ終ッテタ」門番の言ふに重ねて鈴虫はリン


波止場から見る浮き標舟過ぎり揺るるたびをぞ独りするかな


農協のコラボポスター炎上す応援せむとこたび赴く


黄金柑・寿太郎みかん・伊豆はるか触れて箱詰めする嬉しさよ


西浦の海動きたり届くかな七大陸へと海はつながり


歌枕旅せる人ら同じかもバーチャルリアル融けて歌降る


「寒いね」の代はりに聞ける「寒いずら」今し立つなり駿河の国に


歌読みの護りたる浜 黒松のかたじけなくて千本松原


八度目の沼津正月牧水の歌碑を訪れなぞる言の葉


にし向けば打ち出でて見る田子の浦富士の高嶺ぞ雪化粧する


ひむがしをかへりすれば素顔なるAqoursの海はまぶしかりけり

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