第2話 赤信号の車の中

(バタン!!!)


(勢いよく車のドアを閉める音)


「え? もっと大事にしろ?」


「仕方ないでしょ? こんなに降ってるんだから!!」


「そんな、ドアの事なんか気にしてたら、せっかく濡れないで車に乗せてもらう意味なくなっちゃうじゃん!!」


「え? それでも、一応先生だから? ふふふ。センセ、そんなに大人扱いして欲しいの?」


「それって、逆に子供なんじゃない? 可愛い!!」


「え? 大人をからかうな? やっだ!センセ、耳、赤くなってるよ?」


(急に静かな声になる)


「センセ…、やっぱり…あたしのの事、気付いてた?」


「何が…って…」


(口ごもる女子生徒)


「センセを…見つめてたこと…だよ…」


「え? やっぱり乗せるんじゃなかった?」


「それは無いよ…センセ…」


(チラリ…横目でセンセを見る女子生徒)


「この…雨…だよ?」


「だから? って…。色々、気付くところない?」


「運転してるから、よそ見できない?」


「まぁ、それはそうだよね…」


「ねぇ…、こんなこと言ったら…センセ、やっぱり怒るかなぁ?」


「何かって? う~ん…、言うの…やめとく…」


「え? それは、乗っけてやってるんだから、言え?」


「それとこれとは、別問題なの!」


「何がって? 乙女心、本当にわからない男の子って…って言うか、大人の男っているんだね…」


「…変な言い方するな? …だって…そう…じゃん…」


「あー! 今、センセ、絶対イヤラシイ妄想したでしょ!?」


「ふふふ…」


「え? 何がおかしいかって?…そりゃ…こっちのペースだからに決まってるじゃん」


「ペースって何って?」


「そんな事も分からないんだ…。本当に、センセって子供なんだね…」


(クスクス…助手席で笑う女子生徒)


「あ、センセ、赤赤!!」


(キキッ!!)


(キューブレーキをかける音)


「…そんなに…イヤラシイ言い方した? あたし…ふふっ」


「…、センセ、今なら、見られるよ…」


「何が? って?」


「…じゃあ、こっち…見てよ…」


(先生が振り向く)


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