第19話 ささやかな幸せ

 俺は今、姿見の前に立っている。


「うーん、これでいっか」


 着ている服を確認しながら、チェックの完了を呟いた。

 今日は小鳥遊との約束の日。そう、一緒に食事をしようと言った日なのである。


 俺が着ているのは、黒い無地のTシャツに焦げ茶色のジャケット、それから黒いカーゴパンツ。仕方がなかったんだ。だって俺陰キャだし、外に出るときは基本パーカーだったから……。


 その他もろもろの準備を終えて家を出る。

 今日は快晴だ。雨じゃなくてよかった。


 それにしても、女の子と二人っきりで食事とか初めてだぞ……。

 マジで何したらいいか分からん。一応財布には多めに持ってきてるけど、小鳥遊は俺なんかよりもっと稼いでるだろうしなぁ。主にスパチャ代とかスパチャ代とかスパチャ代とか。


 あれこれ考えている内に、小鳥遊の家に着いた。

 時刻は待ち合わせしていた時間にぴったりだ。


 ピンポーンとインターホンを鳴らす。


「はーい」

「あ、東雲ですー。今日は小鳥遊さ……じゃなかった、彩矢さんに用があって来ました」

「…………」


 自己紹介をするも、相手からの返事はない。

 まさか嫌われてるとか……!? いやいやいや、それはないと信じたい。

 だって俺何も悪いことしてないもん! ほんとだもん!


 だが、その心配は杞憂に終わった。


 ガチャリと音を立てて扉が開くと、半目でこちらを見ている少女と目が合った。

 名前は……そう、たしかつむぎちゃんだ。


「ああ、つむぎちゃん。こんにちは」

「……こんにちは」


 相変わらずの警戒っぷり。

 そんな嫌われるようなことしたかね?


 心の中で大粒の涙を流していると、つむぎちゃんがちょいちょいと手招きをしているのが目に入った。


「ん?」

「どうぞ、上がってください。お姉ちゃんまだ準備してるみたいですから」

「え? えっと……いいの?」


 問いかけると、つむぎちゃんは無言で頷いた。

 その姿勢がまるで小動物みたいで、つい可愛いと思ってしまったのは内緒だ。


「その顔キモイです。今すぐやめてください」


 つむぎちゃんの指摘でハッと気づく。

 俺の口角は、知らない間に笑っていたようだ。


「お、お邪魔しまーす」


 つむぎちゃんの後に続いて、一応挨拶をしながら家の中に入る。

 どうしよう、もしもご両親が怖い人とかだったら。


 小鳥遊家の玄関入り口には花が何本も飾ってあり、甘くて良い香りが漂っていた。

 おまけに靴もきちんと並べられていて、清潔感がある印象だ。


 うちは両親も姉もずぼらだったから、そこらへん適当だったなぁ……と昔のことに思いを馳せていると、服の裾をちょいちょいと掴まれた。


「そんなところで突っ立ってないで、早くこっちに来てください」

「あ、うん。ごめんね」


 靴を脱いで丁寧に揃えると、そろりそろりとつむぎちゃんに先導されるがままに廊下を進んでいく。リビングに通されると、そこには小鳥遊家の面々が揃っていた。


 しかし、当の本人は不在だが。


「あらあらまぁまぁ、あなたが彩矢の命の恩人さん? ありがとねぇ、あの子ったら、危険なところにもすぐに突っ込んで行っちゃうから」

「ああ、いえ。困ってたら助けるのは当然っていうか、なんというか……アハハ」

「………………」

「………………」


 怖い、怖いよ!

 つむぎちゃんはムスっとした顔でこっちを睨んでるし、お父さんに限っては新聞で表情が見えないし! 唯一フレンドリーに接してくれるお母さんだけが味方だ、ここはなんとしてでも乗り越えないと!


 そう思っていた矢先だった。


「東雲君、といったか」

「は、はい!」


 不意にお父さんから声がかかる。

 俺は思わず緊張して、居住まいを正してしまった。


「うちの娘はとても可愛い。彩矢も、つむぎもだ」

「そ、それはそうですね。僕もそう思います」


 そう返した瞬間、ゴッとお父さんからの圧が上がった気がした。

 どう答えたらよかったんだよ……! 誰か正解を教えてくれ、正解を!

 助けを求めてお母さんの方を見るが、相変わらずニコニコしたままだ。

 

 畜生ダメだ、救援を呼べない! メディック、メディーック!


「二人とも自慢の娘だ。それこそ目に入れても痛くないほどには、私は二人を愛している」

「は、はぁ」

「だからこそ、だ。東雲君、君には言っておかなければならないことがある」

「それはいったい……!?」


 金輪際うちの敷居をまたぐな! とか、もう二度と彩矢と関わるな、とかだろうか。予想はできるが、実際に言われたときのショックは計り知れないものだろう。

 もしかしたらうっかり山奥で首吊っちゃうかもしれない。


 戦々恐々と次の言葉を待っていると、お父さんは新聞から顔を離した。


 流石は小鳥遊家だ。少し厳かな雰囲気はあるものの、目鼻立ちは整っていて小鳥遊の面影を感じる。


 そして、冷酷な審判ジャッジをくだそうと、口を開いた。


「貴様にウチの娘はやらん! 出ていけっ!!」

「ひっ、ひぃぃ! すみませんすみませんすみません、俺みたいなゾウリムシがお宅の彩矢さんに近付いてしまってすみません! でも、決して下心があったとかそういうわけではないんです!」


 お父さんの怒号に、俺は地面に額をこすりつけて謝り倒す。


 が、周囲からはクスクスと笑い声が聞こえる。

 なんだ? と思って顔を上げると、お父さんもお母さんもつむぎちゃんも、顔を見合わせて笑っていた。


「……へ?」


 鳩が豆鉄砲をくらったような顔をする俺の前で、つむぎちゃんがクラッカーを引いた。


「「「パンパカパーン! ドッキリ大成功~!」」」

「はいいいいいいい!?」


 ドッキリ? 何が? え、ドッキリナンデ?


「いやぁ、一度は言ってみたかったんだこのセリフ。すまなかったね千紘くん。心臓に悪かっただろう」

「え、あの、いや、まあ……」

「私だって難しかったんだよー、お兄さんのこと嫌ってるフリするの。お姉ちゃんのこと助けてくれたんだから、嫌いなわけないじゃーん?」

「つむぎちゃんまで……」

「あらあらまぁまぁ、いい驚きっぷりでしたね、ねっ? 昭人さん」

「ああ、そうだな春香」


 察するに、さっきのお父さんの発言も、出会ったときからのつむぎちゃんの態度も、全部演技だったということなのだろう。


「はぁぁぁ……」


 一気に安心したせいか、ソファーにもたれかかる。

 人生で初めてのドッキリだ。驚かないはずがないだろう。


 本当に心臓に悪い……。


「やばーい! 遅刻しちゃった! みんな、行ってく……る……あれ?」


 ドタドタと階段を下りてきた彩矢と目が合う。


「東雲、さん?」

「あ、どうも」

「え、どうしてここにいるんですか!? それに、そのクラッカー……みんなでなにしてたの?」

「娘の初彼氏ですもの、盛大にお祝いしなくっちゃね。うふふ」


 隣ではお父さんがうんうんと無駄にダンディーな顔を縦に振っているし、つむぎちゃんは意地悪そうな笑みを浮かべてにやにやしている。


「そ、そ、そんなこと……最初から言ってよぉぉ」


 風船から空気が抜けてしまったときのように、へなへなと座り込む小鳥遊。

 奇しくも、さっきの俺と同じ状態になったわけだ。


「さ、これから二人でご飯なんでしょ? 気を付けて行ってらっしゃいね」

「千紘君、うちの娘を頼むよ」

「お兄さんがいれば安心ですから!」

「ま、まぁ……はい」


 若干二名から謎のエールを貰った俺は、なんとも言えない気の抜けた返事をすることしかできなかった。


 あと一応言っとくけど、俺恋人じゃないからね?


 ◇◆◇



 あれから、へにゃへにゃになった小鳥遊と一緒に外へ出て、ウィンドウショッピングを楽しんだり、一緒にクレープを買って食べたりして楽しんだ。


 そして現在は──


「東雲さん、どうですか!?」

「おお、凄く可愛いですよ。小鳥遊さん青が好きそうだし、似合ってると思う」

「えへへ……」


 服屋でお買いもの中だ。

 もっぱら俺は見る専門。だっておしゃれとか全然分からないし。


 ちなみに小鳥遊は今日、白いワンピースに薄いピンク色のヒールを履いている。


 しかしこうして見ると、小鳥遊は本当に天性の美少女だなと再認識させられる。

 服は何を着ても似合うし、さっきのクレープだってクリームを顔につけずに綺麗に食べてたし、性格も良いし。


 というか、これってデートでは? 実質既にオールレディ、デートでは?

 あ、うん。ダメだ今の俺、鼻の穴かっぴらいて目ん玉真ん丸にしちゃってるもん。


「お待たせしました~」


 ちょうどそこに、服を買い終えた小鳥遊が戻ってきた。

 俺は慌てて顔を取り繕うと、おかえりと声をかける。

 両手にはたくさんの買い物袋。いったいどれだけ買い込んだというのだろうか。


「それ、俺が持ちますよ」

「え? でも……」

「いいからいいから、ほれ」


 交渉の末、俺が半分、小鳥遊がもう半分を持つことにした。


「えへへ、なんかこういうのいいですね」

「そうですか?」

「はいっ! 何かカップルみたいで、こう……ドキドキします」

「ふんんんんんん!!」

「わわわっ、どうしたんですか、東雲さん!?」


 荒ぶる己の心を鎮めるために、俺は自分で自分をぶんなぐった。

 小鳥遊は心配そうにこちらを見てくるが、大丈夫と断って冷静さを取り戻した。


 大丈夫、俺と小鳥遊さんじゃ釣り合わない。

 今の発言はただのジョークだ。ただのジョーク。


「そろそろ疲れてきちゃいましたし、ご飯にしませんか?」

「あ、ああ。そうですね」


 小鳥遊の先導の元、フードコートまで歩いていく。

 俺はもっとおしゃれな店で食べるのかと思っていたから、ちょっと意外だ。


「ふわぁ~、どれにするか迷いますね!」

「そうですねぇ。俺は無難にワックかなぁ」

「ふんふん。じゃあ私はその隣の、ラーメン屋さん!」


 荷物を置きっぱなしにしたら置き引きに遭う可能性も高いということで、小鳥遊に先に注文へ行かせた。いわゆるレディーファーストってやつだ。


 ……いかんいかん、思考がナルシストになってるぞ。


 程なくして小鳥遊が戻ってきたので、次は俺の番。

 手早く注文を済ませて、呼び出し用のブザーを貰う。


「なに頼んだんですか?」

「照り焼きチーズハンバーガー。小鳥遊さんは?」

「私は魚介ラーメンにしました!」

「おお、いいですね。あれ、意外とさっぱりしてて美味しいんだよなぁ」


 そんな話をしていると、両方のブザーが同時に鳴る。


「ああ、いいよいいよ、先行って」


 俺は手をひらひらと振り、小鳥遊を見送る。

 窓の外を見ると、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。

 もうじき夜かぁ。


「東雲さーん! お待たせしました!」

「あ、はーい」


 どんぶりの載ったトレーを持ってきた小鳥遊と入れ替わるように、俺も自分の注文を受け取りにいく。愛想よく接してくれた店員さんにお礼を言い、小鳥遊のいるテーブルに戻った。


「あ、待っててくれたんだ」

「当然です! ごはんっていうのは、一緒に食べた方が美味しいですから!」

「そうですね、ありがとうございます」

「いえいえ」


 一瞬の間、沈黙の間ができあがる。

 俺たちの目は、出来立てほやほやの飯に釘付けだ。


「それじゃあ……」

「「いただきます!」」




 ◇◆◇



 「ふあ~食った食った」


 すっかり満腹になった腹をさすりながら一人呟く。

 小鳥遊も満たされたようで、幸せそうな表情で鼻歌を歌っている。


 もう店もあらかた回ったし、名残惜しいがそろそろ帰る頃合いだろう。


 その前にトイレ行っとくか。


「小鳥遊さん、ごめん。俺ちょっとトイレ行ってきますね」

「はいっ、わかりました! では私は、そこのベンチで待ってますね」


 笑顔で手を振ってくれる小鳥遊に片手で挨拶しながら、トイレに入る。

 事件が起きたのは、軽く用を足してトイレから出たときのことだった。


「いーじゃん、一緒に遊ぼうよ」

「俺らけっこう上手いよ? 姉ちゃんもちょっとは興味あるんじゃない?」

「や、やめてくださいっ!」

「大丈夫大丈夫、お金なら払ってあげるからさ」

「な? 俺らと一緒に行こうぜ?」


 正直思ったのは、憤りよりも「うわぁ……」という感情だった。

 今もこんなカッスいナンパしてる奴いるのな。

 とはいえ、折角の楽しかった時間を邪魔されて不愉快な気持ちもある。


 ここはいっちょやったるか。


「だから、本当に嫌なんです! 私のす……大切なお友達を待ってるので!」

「はぁ、しかたねぇな」

「おう、あれやるか」

「何をやるって?」


 俺は二人組の間にズカズカと入り込むと、その肩を抱いて尋ねた。


「だ、誰だよお前っ!?」

「お前には関係ない話だろ!?」

「いーや関係大ありだね。だってその子……俺の彼女だから」


 小鳥遊には申し訳ないが、ここでこういう騙りを入れると成功率が高いんだ。

 姉貴にそう教えてもらったことがある。


「チッ……彼氏持ちかよ」

「あーあ白けた。帰ろうぜ」


 男達は不満げに地面に唾をペッと吐くと、どこかへ立ち去っていった。

 あのー、一応ここ、お店ですからね? 


とはいえ、逃がすわけにはいかない。

あいつらはきっと、同じような手口で暴行した経験があるはずだ。


「ばきゅーん」


銃の形を手で作って、乱暴に暴れてるチンピラ共の背中目掛けて撃ち抜く。

これはいわゆる『魔法』だ

これであいつらには呪いがかけられた。悪いことをしよとするたびに、心臓を鷲づかみにされるような気分になるはず。


 なんて去っていく二人を半目で追っていると、横から小鳥遊が抱きついてきた。


「東雲さんっ!」

「おーよしよし、怖かったですよねー」


 が、この状況だけに限って言えば、その気持ちは分からなくもない。

 だから俺も邪念を捨てて、小鳥遊の背中をポンポンと叩いてやった。

 それから数十分後。

 自宅の最寄りの駅で降りた俺たちは、特に言葉を交わすこともなく道路を歩いていた。行きと違うことといえば、小鳥遊と手をつないでいることくらいだ。


 小鳥遊いわく、あの男どもの件が相当こらえたらしく、手を繋がないと安心できないということだったので仕方なく繋いでいる。


 ホントダヨ? ワザトジャナイヨ?


 つんつん、と横腹をつつかれた。


「ん? どうしました?」

「……公園、行きませんか?」


 小鳥遊が指を差したのは、この前二人っきりで話したあの公園だった。


「いいですけど、その前にこっちですね」


 今度は俺が小鳥遊を先導するようにして、自動販売機の前に辿り着く。


「何か飲みたいものありますか?」

「え? えっと、ミルクティー……」

「了解」


 ポケットから財布を取り出して、お金を入れる。

 それから程なくして、ガコンッという音とともに二本の飲み物が落ちてきた


 俺はコーラ、小鳥遊はミルクティーだ。


「あ、あの、ありがとうございます」

「いいですよこれくらい。っていうか、事前に好みとか聞いておけばよかったですね。そしたらもっとスマートに渡せたのに」。


 アハハ、と後頭部を掻きながら言う。


「それでも……それでも嬉しいですよ」


 そういう小鳥遊の顔は儚げで、とても柔らかい笑みだった。


 公園のブランコに座って漕ぐ。

 もうさほど、先程までの恐怖心は無くなったようだ。小鳥遊は強い子だ。

 しかし、そうでもなければ探索者なんて仕事はやっていけない。


 仲間が目の前で無残に死ぬ可能性もあるし、瀕死の状態でなんとか這いずって逃げ延びることもあるし、な。


 だが、そんなありきたりの話よりも、きっと何か話したいことがあるんだろう。

 なんとなく察した俺は、余計な口を挟まずに小鳥遊の言葉を待つ。


「東雲さん、どんどんすごい勢いで伸びていってますね」

「いやいや、俺なんて先輩方に比べたらまだまだですよ」

「そんなことはありません! きっと、世界的に見ても東雲さんはトップランカーだと思いますよ?」

「買い被り過ぎだなぁ」


 そう言うと、小鳥遊はぷくぅっと頬を膨らませる。


「その……もしよかったらなんですけど」

「ん?」

「私に、稽古をつけてくれませんか?」

「え」

「ちょ、ちょっとした時間の合間とかだけでもいいんです! 私は、もっと強くなりたい。東雲さんみたいに、第一線で活躍してみたいんです!」

「第一線なんて、そりゃ大げさな……」


 笑って誤魔化そうとしたが、小鳥遊の表情は深刻だった。

 しかたないか……。


 俺は胸ポケットから煙草とライターを取り出し、火を点ける。


「フゥ~……。まぁ、それならいいよ。それで小鳥遊さんの気が済むなら」

「ほんとですか!? やったぁ!」


 小鳥遊はブランコに勢いをつけると、そのまま飛び上がってくるりと回転して地面に着地。それから、俺の方を見て言った。


「約束、ですからね」

「お、おう……」

「それから、敬語は禁止です。あと、ちゃんと彩矢って呼んでください」

「ええ……? それは流石にいくらなんでもハードルが高すぎるんじゃ……」

「い・い・で・す・ね?」


 有無を言わせない無言の圧が漂い始める。

 顔は笑っているのに、声はまったく笑っていない。


 こんな怪奇現象、ラノベの中だけの話だと思ってた。


「せめて、名前呼びだけは勘弁してくだしゃい……」


 はい、大事なところで噛みました。

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